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rich_poppy335
嬉しさよりも…
母は生まれてすぐに、両親に捨てられてしまった過去があります。
過酷な幼少期を過ごした母は、大変な人間嫌い。
しかし、ちょっと変わった救世主が現れ、その男性(父)と結婚。
意外にも、母は子供を切望する様になります。
そして、ある日…。
「子供ができた!」
そう、喜び勇んで父に報告してみたところ…。
父の表情は、冴えませんでした。
これを見た母は、大変なショックを受けてしまいます…。
「私は、悪い事をしたんやろうか…」
父には、沢山の兄や姉がいます。
その子供達の面倒を見続けたのは、父でした。
小学校低学年で、既に叔父さん。
若くして、子育ての大変さを知る苦労人です。
当時を振り返って、父は言いました。
「『子供ができた!』なんて、単純に喜んではおれんと!」
「責任重大たい!」
「(子育ての大変さを)知らんから、喜んでおれると!」
「子供ができた事を悲しんだ訳では、なか!」
両親に育てられなかった母は、思っていました。
「子育てなんて、簡単やん!」
「親に育てられなかった自分でさえ、育ったんやし…」
「皆、やっとるやん!」
実際に始まった育児は、母にとって地獄と化してしまいます…。
そして、腹立ち紛れに騒ぎ始めます。
「誰も教えてくれへんかったー!」
「こんな、大変な事になるやなんて…」
「ばあちゃん(母の実母)も、お父さんも、黙っとったー!」
これに対して…。
父は、言いました。
「何でも、やってみんと、納得できんと!」
「いくら、口で説明しても、分からんと!」
「子育ての苦労は、苦労のウチには入らんと!」
結局、育児の大半を担ったのは、母の実母と父。
母は、いつものお布団の上。
ぼあちゃん、お父さん、お疲れ様でした…。