父が持っている最強の武器
私の母。
かなりの苦労人で、性格は真っ暗。
父も苦労人ですが、こちらは、とっても明るい性格。
この2人の性格は、まさに両極端。
どちらも、極貧育ち。
でも、育ち方には違いがあります。
母は食べ物もろくに与えてもらえず、常に栄養失調。
誰も、母に愛情を注ぎませんでした…。
祖父は祖母や子供に向かって、「オマエらなんか死んでも構わへんのじゃ~!」と言い放ち、家にほとんどお金を入れませんでした。
母は、祖父の殺害を決意。
大変美しいと評判なのに、殺人鬼的な様相を呈し、世の男性達を蹴散らしていました。
「このバイ菌、いてこますぞ!」的な、恐ろしい女性だったのです…。
一方、父の一家は、食べ物には困っていませんでした。
父の母親(祖母)の実家は農家。
それも、裕福な部類でした。
祖母は両親や兄から可愛がられ、なに不自由なく育ちました。
いわゆるお嬢様育ち。
ところが、大家族の所に嫁に来て、沢山の子供を産んだことから苦労が始まります。
父は空腹ではなかったものの、服装や持ち物はオンボロ。
多くの兄弟や親戚達に揉まれ、幼くして老成化。
変に落ち着いた人間へと成長。
姉達もそれなりに父を可愛がるなどしていたため、全く人の温もりを知らない訳ではありませんでした。
父は物心付く前から大勢の人達の中で過ごし、謎の自信を獲得。
軽やかに生きる呑気者としてのキヤラを確立。
父の醸し出すヘンテコなムードが、老若男女を惹き付けて止みません。
私は、不思議に思いました。
母は、何故、自分と似たような人物を結婚相手に選ばなかったのか?
この疑問に母が、答えるには…。
「私は自分がひねくれて暗いさかい、そういう人物の事はよーく分かっとるんよ!」
「そんなんと一緒に暮らして、面白くもないわ!」
「しょ~もない人生を歩む事になるねんで!」
「ほれ、蛾も明るい所に飛んで行きよるやろうが!」
(あっ、そう…)
この難関人物(母)相手に、父は楽しそうに暮らしているのですが…。
父が苦労して手に入れた、最強の何か。
未だもって、謎なのでした(笑)。