私の中の不思議
母方の祖母は、心配していました。
「花甘露ちゃん、アンタのお父さんは、とても良くできた人で、あんな人は、世の中には滅多におらんのやで!」
「ほやから、結婚したら、お母さんみたいに幸せになれると思ったらアカン!」
「ひたすら、辛抱せなアカンのやで!」
「この事は、よ~く分かっておかんと!」
「花甘露ちゃん、アンタ、絶対不幸になるわ!」
「お父さんみたいな人と結婚できへんわ!」
これを聞いた母は、激怒。
「あの婆さん(祖母)は、女は結婚せなアカンと思い込んどるやろ?」
「変な男と結婚して辛抱する位なら、結婚せん方がエエわ!」
「アンタ、男にしがみついて、食わしてもらおうとか、しょうもない事、考えるなよ!」
「飯食える女になるんやで!」
奇跡的に配偶者に恵まれた母。
一方、祖母は、親の言いなりになって、ロクでもない男(祖父)と結婚。
生まれたばかりの母を、一旦は捨てる羽目に…。
祖父は、祖母と母に向かって言い放ちました。
「オマエらなんか、死んでも構わんのじゃ!」
実際、病気で死にかけていた祖母を放置したことも…。
結婚するまで、母の人生は壮絶なものでした。
悲惨な実母の様子を見せつけられて、結婚に否定的だった母の前に現れたのが、父なのですが…。
ボロボロの小屋みたいな借家に住み、所持金はたったの3万円。
着る物もロクに持っておらず、冬になると鼻水を垂らしていたそうです…。
父の貧困の原因は、両親に給料の殆んどを仕送りしていたこと。
当時、大手企業で重役秘書をしていた母からすると、父は相当冴えない男に見えたのではないかと推察されるのですが…。
しかし、不思議なことに、父はモテ運が強く(笑)、女性陣に(時折男性にも)「キヤーキヤー」叫ばれる星の下に生まれてしまったのでした…。
若かりし頃の父の写真を見て、首を傾げてみる私(笑)。
(へえ~、こんなのがモテるんだ~?)
母自身も、父が飛び抜けて美男子ではないことを承知しています(笑)。
(一体、何なんだ、父よ!)
子供には到底理解できかねる、謎の物質でも撒き散らしているのか?
どうも、合点が行かないのでした…。