消えた殺意
結婚して以来、引きこもり生活を楽しんでいる母。
決して、メンタルが弱い訳ではありません。
むしろ、その逆(笑)。
物心付いた時、母の側に両親はいませんでした。
やがて、両親の所へ逃げ帰るも、迷惑がられてしまいました…。
祖母は、母の弟だけを溺愛。
祖父は家族に向かって、「お前ら、死んでも構わへんのじや~」と捨て台詞。
最悪の家庭環境で育った母には、恐ろしい目標が…。
「アイツ(祖父)、いつか殺したるねん!」
殺意を胸に秘めながら暮らす日々。
それでも、大企業に就職し、哀れな祖母のために家計を支え続けていました。
こうして、ようやく祖母は反省。
母の弟は働き始めても、一切、家にお金を入れませんでした。
やがて、祖母にキツく当たる様に…。
「何やねん、あやつ(弟)は?」
「母親に可愛がってもらったくせに!」
弟に怒りを覚える母。
心の中はいつも嵐。
そんな折、母の前に妙な感じの男性が現れます。
それ、私の父。
大変怖いオーラを放っている母に、ゆる~く接近。
所持金たったの3万円で、寒空の下鼻水を垂らしている様な状態なのに、厚かましくも(笑)、母にプロポーズ。
父を見た祖母は、母に言いました。
「あんたには、優しい人が必要や!」
父も苦労人ですが、母とは違って、心は穏やかでとても冷静。
貧乏でも、屈託なく笑っていたそうな…。
父との結婚で穏やかな生活を手に入れた母。
もう、誰かに悩まされることはありません。
母の父親殺害計画は、こうして、未遂に終わったのでした。
めでたし、めでたし。