静かなる実力者

母方の祖母は、父に呆れていました。

しかし、ですね…。

祖母は、母という娘に散々手こずった挙げ句、結局は自分の思い通りに育てることができませんでした。

産まれて直ぐの母を、貧困と女の子だからという理由で、一旦は捨ててしまった祖母。

「女の子は、将来稼いで、自分達夫婦の面倒を見てくれない…」と考えていたからです。

小学校2年生になった母と暮らしはじめてみたものの、祖母的には、とんでもない娘になっていました(笑)。

祖母の考える良い子とは真逆の母。

母は、実母との暮らしに何らかの期待を抱いていましたが、それは直ぐに打ち砕かれてしまい、ヤケクソな気持ちに…。

極貧故、疲れていた祖母は、母が逃げ帰って来たことを歓迎していませんでした。

母の怒りは爆発。

「お母さん、何で、あんなしょうもない男(祖父)と一緒に暮らしとるんか?」

「早う、別れんか!」

祖父(母の実父)は、ロクでもない人で、家庭にお金を入れず、祖母が病気になっても知らん顔をしていました。

実際、祖母は祖父が大嫌い。

それでも、…。

子供らしからぬ母の発言に嫌悪感を抱く祖母。

「女の人は、大人しく黙って耐えるものだ!」と母に諭してみるも、無駄なことでした。

「あんなんやから、(祖母は)しょうもない人生を送っとんねん!」

気性の激しい母は、言いたい放題。

結婚を機に、母がおしとやかな女性に変身してくれることを期待した祖母。

「アンタのお父さんが、お母さんを教育してくれると思ったんやけど…」

「何で、お母さんを自由にさせとんか?」

この発言を知った母は、激怒。

「何やねん、あの婆さんは!」

「自分も、私に手こずっとったんやろー」

父も言いました。

「ばあちゃんもできんかったことは、ムリたい!」

これに、大きく頷く母。

「そうよ!」

誰かを無理やり矯正しようとしない父。

母と上手く行っているのは、明らかに父の方です。

北風と太陽なる物語を思い出す私(笑)。

それにしても、父は、ある意味、恐ろしい人なのでした…。

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