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影の功労者

私の母。

結婚して自由を手に入れた稀有な人(笑)。

怠ける自由に頑張る自由。

母が怠けていても、父は文句を言いません。

「お母さんも、そのうち頑張りたくなると!」

実際、母が活動を停止しても、ちっとも困っていない父。

やがて、頑張るスイッチが入った母は、凄い勢いで行動を開始。

手の込んだお料理を作ったり、家中をピカピカにしてみたり。

でも、しばらくすると、息切れして活動停止。

冬眠状態へ突入。

申し訳なく思った母の実母(祖母)が、我が家へやって来て、父に土下座。

「娘が、申し訳ありません…」

これに対して…。

「お義母さん、気にせんでよかよ!」と、笑顔の父。

母は、言いました。

「あの婆さん、あんな卑屈にならんでもエエのに!」

そして、祖母に勧めました。

「お母さんも、せっかくウチに来たんやさかい、昼寝でもしときー」

祖母は、母と違って、怠ける事を知りません。

家の中で、1日中働いています。

これを見た母。

「あの婆さんは、可哀想やな…」

「私みたいに、のんびりできんのか?」

「いつまで、遠慮がちに生とるんかー!」

ちなみに、祖母が我が家へやって来ると、父は幸薄い生活を送ってきた祖母を色々な所へ連れて行き、観光案内をします。

これに、余計、恐縮してしまう祖母。

「もっと、一生懸命働かなくては…」

生まれてすぐの母を捨ててしまった過去を持つ祖母は、その母から経済的支援を受けていました。

ですから、母に強く説教することはできません。

それでも、祖母と父と母の奇妙な三角関係の下、なんとなく上手く行っている我が家。

多分、父の功績は大きいのでした(笑)。


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