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その時が来ただけのこと

今月末で、今の職場を去ることになりました。

本日、この職場で、最後の難易度の高い、締め切り付きの仕事が終了。

ホッとします。

この仕事のお客さんには、随分と鍛えてもらいました。

全くの未経験で、このお客さんを任されたときは、目の前が真っ暗に…。

前任者は、メンタル不調で退職。

彼女はボスに対して、相当な恨みを抱いていた為、きちんとした引き継ぎをせずに去って行きました。

それなのに、見栄っ張りのボスが、勝手に私に成り済まして、私の知らないうちに、お客さんにメールを打ちました。

「後任の花甘露です。」

「前任の者よりきちんと引き継ぎを受けましたので、ご安心下さい!」

このウソがばれるのに、それ程時間はかかりませんでした。

訳が分からずに仕上げた仕事を、誰もチェックしてはくれませんでした。

前任者以外、誰もこの仕事の仕方が分からないし、先輩方も忙し過ぎて、新人に構っている場合ではないのです。

間違いだらけの仕事を納品することになって、お客さんから叱責されます。

「ちゃんと引き継ぎを受けたのに、どうして、間違えるのですか!」

傷心の私に、ボスまでもが、文句を言って来ました。

「あなたのせいで、お客さんを失ったら、どうするんだ!」

(オマエが、教育体制を整えないから、こうなるのだ!)

聞けば、先輩方も、新人の頃は、始末書を書かされたり、お客さんの所へ菓子折りを持って、謝罪行脚をさせられたそうです。

ですから、先輩方は、新人さんに厳しい傾向にありました。

「仕事は、教えてもらえないモノなの!」

お客さんに素直に謝ろうとしたところ、ボスがこれを邪魔します。

「システムが、不具合だと言え!」

これを拒否した私。

ウソはつきたくありません。

しかし、ボスの強い希望により、謝罪にもなっていない様な、意味不明のメールを送る羽目に。

すると、お客さん側は、役員が出て来て、大激怒。

怒りの矛先は、私ではなく、ボスに向けられていました。

逆に、私には、ねぎらいの言葉が添えられていました。

すべて、お見通しだった様です。

結局、引き継ぎの時間が十分に取れず、私に負担をかけたことが原因であることを認めて、謝罪したボス。

(初めから、素直に謝れよ!)

これ以後、お客さんは、私に対して親切になりました。

この時の怒りが、今回の退職に少なからず影響を与えていることは、間違いはありません。

(くっそー、仕事覚えたら、退職してやるねん!)

一事が万事。

従業員達に、恨まれまくっているボス。

各人が退職の決意を胸に秘め、その時を待つのでした…。

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