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主人公を生きる
大学生の頃、友人と2人でパソコンの画面を見ていました。
あるホームページを見ていると、突如、大きなヒヨコの絵が出てきました。私は特段、何とも思わなかったのですが・・・。
友人がいきなり、パソコンの画面を叩き始めました。
「シッシ!可愛ない!シッシ!」なんだか、やけくそ気味です。
しばらく画面を叩いた挙句の果てに、「イタイ、イタイ」と言い出す始末。そりや~、手が痛くなりますよ・・・。
驚いて、彼女の顔を覗き込んだ私。
すると、「私は、どうしていつも、主人公になれないんだ!」などと言い出します。突然の心の叫びでした。
3人姉妹の2女である友人。
聞けば、家庭ではお姉ちゃんが主人公で、友人はいつも蚊帳の外なのだそうです。
そして、自分の耳を指さして言います。「ピアスの穴なんか開けたくなかったのに、友達が開けようと言ったから開けたんよ!」
今まで、付き合いたくもない友達と付き合ってきて、その人達の意見に従ってきたのだそうです。
「・・・!」驚く私。
そもそも、私は、「自分が主人公だとか、そうでないとか」という事について考えたこともありませんでした。
そう言われてみれば、彼女は時折、海鳴りの様に「ウ~」などと唸っていることもあり、いつも表情が冴えませんでした。
「あ~、私はどうして、自分を大切にできないのだろうか?」
「流される、流される・・・」と嘆く彼女。
自分を殺し続けて生きてきた彼女。
いきなり「自分を取り戻そうよ!」とアドバイスしてみたところで、「取り戻す自分」というものも、もはや分からない彼女。
その後も、付き合っているんだか、いないんだか分からない男の人に「捨てられた!」と落ち込む彼女。
不幸の連鎖が止まりません。
私を含め多くの友人が彼女を救おうとするのですが、上手くいきません。
結局、彼女自身が「主人公として生きる」覚悟と決断をする他はないのかも知れません・・・。