足りない事で発揮される力
母は、テレビがとても嫌いです。
そんな訳で、私が中学生になる頃まで、我が家にテレビが設置されることはありませんでした。
それまでは、友達の家や母の実家でしか、テレビを見ることができませんでした。
NHKが家にやって来ても「テレビ、ありません!」と答える母。
「奥さん、本当ですか?」とても、怪しまれていました。
我が家の娯楽は、父そのものでした(笑)。
何故か、様々な遊びを知っていました。
工作や絵を描くことも得意で、色々な物を作ってくれました。
父は、話上手で、様々な出来事を面白く話すことができます。
父の周りの人達(特に母や私)が引き起こす悲惨な事件も、面白い出来事に変えてしまいます。いつも、楽しそうな父。周りには、多くの人が集まってきます。
テレビが家に無かったことで、父の力が最大限に発揮されているのでした。
もし、テレビが家にあったなら、私は父のこの力に気が付くことなく過ごしていたのかも知れません。
さらに、母は決して扱いやすい人物ではありません。
そのままにしていると、家庭が暗くなってしまっていたでしょう(笑)。
しかし、そんな母を面白おかしく茶化しながら、家庭を明るくする父。
母自身も、上機嫌で笑っています。(ああ、なんと珍しい事かな!)
足らないものを補おうとすることで、さらに輝きを増す父。
不思議な事に、母の存在は、父をより魅力的に見せているのでした(笑)。