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卵焼き

母の作る卵焼きは甘い味ではありません。どちらかと言うと、だしの味が強めの卵焼きです。砂糖は使いません。関西風です。

ある日、母が足を骨折してしまいました。父が、家事をすることになりました。父はとても器用。何でも母より上手にできます。

父が卵焼きを作りました。

「?!」 とても、甘いのです。

当時子供だった私は、つい、父に「これ、何?」と尋ねてしまいました。

すると「お父さんは、甘い卵焼きが好きたい」という返事が。

いや~、驚きました。

母に聞いてみました。「お父さん、あんなこと言うてるけど、知ってた?」

母は、父の料理の味の好みをほとんど知らないとのことでした。

父は、何年にも渡って自分の好みの味でない卵焼きを黙々と食べていたことになります(笑)。

大体、母の下手くそな料理を文句ひとつ言わずに食べ続けていたこと自体、凄いのですが・・・。

母は、父の卵焼きの好みの味を知ったにも関わらず、その後も自分好みの卵焼きを焼き続けていました。もちろん、父は何も言いません。

これが、夫婦円満の秘訣というやつなのでしょうか(笑)?

それから、関東に引越して有名店の卵焼きを購入して、食べてみました。

父の好みの味よりもさらに甘くて、驚いてしまいました。

ここまでくると、もはや私の知っている卵焼きとは別ものです。

家庭内で、料理の味に関する争いが起こるのも納得できます。



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