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一般社団法人 千葉県宅地建物取引業協会 千葉支部による「ちばレポ」教室開催事例のご紹介
一般社団法人 千葉県宅地建物取引業協会 千葉支部様は、千葉市と協働で「ちばレポ教室」を開催され、2023年の開催会では老若男女、合計33名の方が参加する大盛況なイベントに終わりました。自治体だけなく、民間企業とも協力して市民と協働したインフラ管理、ひいてはまちづくりを行う背景にはどのような思いがあったのか。今回は、宅建協会千葉支部広報委員長の青山様、事務局長の光安様にお話を伺いました。
千葉県 宅建協会 千葉支部
千葉を「住みたい街」にするために活動
— 宅建協会はどのような活動を行なっている団体なのでしょうか。
千葉県宅地建物取引業協会は、昭和42年に設立されました。設立以後、消費者である地域の皆様の保護と不動産業界の健全な発展を目的に活動してきました。全国10万、千葉県で3800余名、そして千葉支部(支部長 古市博文)には710社以上の会員企業様がいらっしゃいます。
— 「ちばレポ教室」の開催に至った経緯を教えてください。
昨今は気候変動によって自然災害も多くなっていることから「減災」という考え方も普及してきており、千葉市も例外なく進めています。一方、我々宅建協会も、よりよい住環境を整備することは重要なミッションです。「ちばレポ」を通した市民通報を促進することは、千葉市を「住みたい街」にするという、千葉市と宅建協会の目的達成に向けた共通の願いに有効な手段であると考え、協働開催に至りました。
市民にとって、日々の生活で使う道路のアスファルトの剥がれや、倒木の放置は、重大な事故につながる可能性があります。特にお年寄りやお子さんの転倒事故などは危険です。しかし、こんな時、どのように対処すればいいか市民の方はわかりません。市役所に電話しても、担当部署が分からず、たらい回しにされてしまった、という話もよく聞きます。管理しているのは、土木事務所なのか、宅地課なのか…。そんな管轄まで市民が理解して通報するなんてことはできません。以前は、担当窓口と思われる部署に何度も電話で連絡し、数日かけて突き止めたなんていうこともありました。その時は、チームのみんなで感動の歓声が沸いたくらいです!
歓声が湧くほど大変だった普段の困りごとの通報が、「ちばレポ」を使うことで一気に短縮され、楽になったことを実感していたので、より広く広めたいと考え、教室の開催に至りました。
市との共催を行うことでより多くの方を巻き込む
— 自治体と一緒に推進してくださるのは、我々としても大変嬉しいです。
はじめは小さく進めるつもりで、千葉支部の会員様に限定して周知し、受講希望者のみが担当者から「ちばレポ」の使い方の説明を受け、一緒に使ってみる体験型のワークショップを実施していました。しかし、会員だけではもったいないため、地域の不動産オーナー様、協力団体にも伝えていこうと活動を拡大し始めました。
そして、この活動の主になる広報委員より「子どもでも参加できそうだ」という声があり、徐々に裾野を広げていくようになりました。
— どのように市民の皆さんを巻き込んで行かれたのでしょうか?
我々も老若男女にどのように情報を届けるかには苦心しました。たとえば、市政便りへの掲載、市主催のイベントでの周知、図書館やコミュニティセンターでのチラシの配布など、市民のみなさんが目につきそうな場所に手当たり次第対応していきました。また、会員の方にはご家族連れでお越しいただけるよう呼びかけたり、オーナーさんのつながりにも頼らせていただきました。
その他、学生さんの参加も目立ちました。政令指定都市である千葉市では、独自の道徳の教科書を使用しているのですが、まちづくりに市民が参加する事例として「ちばレポ」のことが掲載されているんです。我々も「ちばレポ教室」の講師として登場しているんですよ。
そのような経緯から、特に中学生からの認知度が高く、協力を得やすい状況です。
— 実際に教室を開催してみて、どのような方にご参加いただけたのでしょうか?
親子連れで参加いただいた方も多く、和やかな雰囲気の中で進みました。開催してみると、意外な参加者の方も多く、たとえば減災の観点で取り組みを検討されていた警察の警備課の方のご参加などもあり驚きました。また、駅からハイキングコースを提案することで観光客を取り込めないかと思案されていた観光協会の方などにもご参加いただきました。その他、隣接する自治体の市議会議員の方も参考にしたいと参加されていることもありました。「ちばレポ」は隣接している市区町村も使ってもらえると、より管轄や境目を気にせず1つのアプリで通報が完了するので、住民の使い勝手もよくなっていきますからね。
中学生の道徳の教科書に採用されたことによる認知拡大
— アプリの使い勝手の面ではいかがでしたか?
操作も簡単で「使いやすい!」というお声が出ていました。スタッフのサポートもあり、高齢者の方も含めて初期設定完了までは15分程度で終了しました。むしろお子さんの方が操作に長けていて、高齢の参加者の方に教えている場面もあるくらいでした。皆さん一度使ってみたらそれ以降は問題なくレポート投稿できるようになっていてスムーズでした。
— 参加者の皆様のお声で印象的なものはありましたか?
中学生の参加者の方の言葉が忘れられません。
その年は「ちばレポ教室」がJ:COMの番組で報道されたんです。その中学生が地域の活動を頑張る姿を見た保護者の方や先生が、大変その中学生の方を褒められたようなんです。その中学生からは「人生で一番褒められた」との言葉をいただきました。
道徳の教科書には
社会貢献は『人にわからないようにこっそりやるもの』と考えをもつ人も多くいますが、わたしは、それは時代遅れだと思います。
と、我々講師の言葉として掲載されています。
これらの地道な活動が、地域で暮らすお子さんたちに少しでも良い影響をもたらしているようであれば、我々も嬉しいです。
みんなで自分の住む街をつくる
— 改めて、開催してみていかがでしたでしょうか?
地域で暮らす皆さんが、改めて「千葉市で生きている」ということを意識する機会になったのではないかと思います。前述の通り、千葉市では独自の道徳の教科書にも掲載されているくらい、市にとっては大きな施策です。授業を受けた中学生からは、「まちを大切に思う気持ちが生まれました」「自分が住んでいる街を良い街にしたい」「こんなこと(まちづくりへの参画)ができる大人になりたい」といった嬉しい声がたくさん生まれているそうです。
そんな背景もあり、学生さんに周知すると全員が受け入れきれないほどにお越しいただけるかもという期待もあります。
今回のポイントは、市との「共催」だったと思います。我々の領域である不動産にとって「まちづくり」は切り離せません。その点では、市の方針と我々のミッションが重なる部分も多分にあります。目的を共有し、「共催」という形で我々だけでは周知しきれない住民の皆さんへの広報を協力して行うことで、インパクトのあるイベントにできたと思います。
今後も宅建協会としてのビジョン遂行にあたり、市と協力できたらと思います。
また個人的な「My City Report」のファンとして、まちの困りごとの投稿は続けていきたいと思っています。
— 青山様、光安様、ありがとうございました。
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