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「がまくんとかえるくん」が教えてくれた、思い出の力

私は子どものころ、かなり内向的で、人付き合いがあまり得意ではありませんでした。

そんな感じなので、本がずっと友達。休日、親に図書館に連れて行ってもらい、たくさん本を借りて読むのが、唯一の楽しみでした。

小学生のとき、私が国語の教科書で出会った「がまくんとかえるくん」という物語は特に、今でも鮮やかに心に残っています。


二匹のカエルの友情を描いたこの物語は、なんてことない日常の一コマを描いているにもかかわらず、私にとって特別な意味を持つものでした。

教科書のページをめくり、先生の指示で音読する時間になると、私たちの教室は静かに集中して物語に没頭するひとときに包まれました。

がまくんと、かえるくんが一緒に過ごすささやかな出来事、例えば手紙を待つ話や、アイスクリームを作る話。

そのどれもが、子供心に温かさや安心感を与えてくれたのです。

がまくんはどこか不器用で、かえるくんはそれを穏やかに受け止めてくれる優しい友達でした。

二人の間には、誰もが望むような、心地よい信頼関係が築かれていました。

子供だった私にとって、この二匹のカエルは、どこか理想的な友人同士の姿に映り、何気ない毎日が実はとても大切なんだということを教えてくれたのです。

なぜ急にこんな話をしたかというと、たまたま立ち寄った本屋さんで「がまくんとかえるくん」のグッズを見かけたからです。


正直、このグッズを見かけるまで、この話があったこと自体、すっかり忘れていました。

でも、この物語は、大人になってからも私の中で生き続けていたんです。


日々の忙しさに追われ、目の前のことに集中しすぎるあまり、時に大切なことを忘れてしまうことがありますが、「がまくんとかえるくん」の話を思い出すことで、私は自分の周りにある小さな幸せを、もう一度見つめ直すことができました。




思い出とは、過去の出来事の記憶であり、形のないものです。

しかし、それが私たちの心に与える影響は計り知れません。

とくに幼少期の思い出は、その人の性格や価値観を形作る重要な要素です。

私は、がまくんとかえるくんの物語を通して、友達との時間を大切にし、日常の中にある小さな出来事にも価値があることを学びました。

そしてそれが、今でも私の考え方に影響を与えていることに気づきました。


大人になると、どうしても時間が足りなくなり、日々のスケジュールに追われがちです。

私たちは「効率」を求め、無駄なことを省こうとする傾向があります。

しかし、思い出というのはその「無駄」から生まれることが多いのではないでしょうか。

何気ない時間、計画通りにはいかない瞬間、そういった場面でこそ、心に残る大切な思い出が作られていく、と私は思っています。

がまくんとかえるくんのように、友達と一緒に過ごす時間や、何かを一生懸命待つ時間、それらは一見何も起こらない平凡な瞬間かもしれません。

けれども、その瞬間にこそ、私たちは深い満足感や安心感を感じることができるのではないでしょうか。

そして、そういった思い出が、後になって私たちを支えてくれる柱の一つになる、とも思います。


思い出を大事にするということは、過去をただ懐かしむだけではありません。

思い出には、それを振り返ることで今の自分を見つめ直し、未来に向けて新たな一歩を踏み出すための力があります。

子どもの頃に読んだ物語や、友達と過ごした何気ない日々が、今の私を支え、人生を豊かにしてくれています。

だからこそ、思い出を大切にすることが必要だな、と思いました。


忙しさに追われる日々の中でも、時には立ち止まり、過去を振り返ってみること。

そこに詰まった温かい記憶が、私たちの心を満たし、新たな力を与えてくれるでしょう。

そして、その思い出を大事にする心が、今度は新しい思い出を作るための原動力にもなります。

私たちは、過去の出来事を通して学び、感動し、成長していきますよね。

だからこそ、日々の些細な出来事にも心を開き、その瞬間をしっかりと感じ取ることが大切だと感じます。


「がまくんとかえるくん」の物語は、今も私の心の中で生き続け、私に大切なことを教え続けてくれています。

それは、日常の中にある小さな喜びや、友達との時間の大切さ、そして思い出の力です。

思い出を大事にすること。

それは、私たちが過去から学び、今を生き、そして未来をより豊かにするための道しるべになるな、と。

アラサー男のひとりごとでした。

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