【Synthesizer V】 光 feat. Ryo x 弦巻マキ 【オリジナル】創作の裏側
創作の裏側
戦争が始まって、もう作品を作る事は辞めてしまおうかと真剣に思いました。
自分が生きている時代に、しかも時代の流れと逆行するような事がまさか起こるとは思いませんでしたし、私としては他国といえども他人事とは思えませんでした。
芸術や文化は平和の上に成り立っているのだという考え方だったので正直、戦争が終わらない限り創作は続ける意味はないとも思っていたのです。
かといって独りよがりになって創作されている方や普段の平和を謳歌されている方を恨めしそうに思うつもりは微塵もないというのは言うまでもなく。
しかし創作者の性なのかどうしても作りたい欲がふつふつと湧いてきました。繁忙期の最中(であるからなおさら)、次から次へと曲が湧いてはそれをDTMに留め置く事なく消える日々でした。
とにかく時間が欲しいと。
そんな時、ある時たまたま見た書籍紹介で「苦しんだり傷ついたりしている人の心を癒すのは、また芸術や文化なのだ(趣旨:『夜と霧』)」と気が付きました。
また、このまま何もしないで毎日を過ごしていると、いつか必ず後悔すると思いました。支援にしても個人に出来ることは限られてくる。であるならば、悲しい現実を受け止めつつも辛いことを我慢せず、ダメな自分も認めて優しくする。平和な何でもない日常に感謝の気持ちをもって人にも優しく、楽しいことを先送りにせずに楽しめることは精一杯楽しんで生きていこうと決めました。
曲作りに影響された作品たち
今年の1月にNHK「みんなのうた」で「ギターケースの中の僕」という浜田省吾さんと中嶋ユキノさんのデュエット曲を聴いた事と、もう一つはTwitterでフォローしている方が紹介されていた、ねこむらさんの
「サイゼのない町」を拝聴したのがきっかけで男性ボーカルと女性ボーカルのデュエットにした感じに挑戦しようと当初から考えていました。
そんな時、2月9日にJille.さんが発表された
「MiMi feat.kurumi/Jille.Starz☆」を拝聴した時は、内容も衝撃的でしたが私がやりたかった事をしてる!シンクロニシティー!とかなり驚きました。
そして2月24日に戦争が始まってしまい、上記の過程に戻ります。
曲の中身
4度進行を基本にして少し儚げな曲にできないか模索しました。ボーカルはずっと同じフレーズの繰り返しでいろんな角度からコードがアプローチするような。
また男性ボーカルは自分で歌ってみようと思いましたが、残念ながら機材もなければ人様に聴かせる声でもありません。
仕方なく男性ボカロを探しました。Cスケールを基に作る性格上、A2からG3付近で歌うという、かなり低い声で穏やかに歌う感じを要求しました。
(A2はさすがにキツかったので実際の曲はD♭keyに変更しています)
その声の低さを叶え、しかも理想的な声だったのが唯一、「Ryo」(Synthesizer V)という割と最近登場したボカロキャラです。
かなり広い音域をカバーできるイケボだとも思います。質感の設定次第ではロックでもEDMでも何でもこなせるタイプかもしれません。
女性ボーカルは、前の曲でも使用した「弦巻マキ」さんの優しい生活感のある声でピッタリでした。
私はずっとロボ的な声が好きなせいもあって今まで声のビブラートを嫌って使わずにいました。
が、txdHIROSIさんの「あの日の君にあいたい / 初音ミク」を拝聴して以来、考え方を変えました。
SynthesizerV(Studio Pro)のお二人の声はどれも有料版ですがAI機能を使わなくても凄く自然に歌ってくれます(もとからAIが動作しているのかわかりません)。もちろん微妙な調声はしました(キッパリ
声の質感調整も凄く設定しやすく、とても優秀なエンジンを持っていると思います。また動作的に軽いとも聞いています。
工夫した点
なるべく楽器を少なくして音の密度を低くするようにしました。ちなみに、音の密度が物凄く低くて抜群のヴォイシングとグルーヴを作り上げられる方がKogaMoaiさんでいつも凄いなと思います。
エレピはボブ・ジェームスを意識してEZKeysを基にイジりにイジりました。EZkeysは鍵盤が弾けない私にとってとても優秀なプラグインなのですが、ミストーンがあったり「こんな音じゃ手が届かんw」といった修正もかなり必要で、またジャジーに自分なりにアレンジできるか苦闘しました。ジャズは難しくてまだよくわかりませんけれど好きですし勉強になります。
また、シンコペーションというか裏拍に音を入れ込むのがこの曲の特徴でしょうか。
またエンディングをどうするか迷いました。Ⅰ度9thで希望があるようにするのか、いきなり途中でやめてしまうか。結局、まだ完全に平和ではないので微妙な感じにしました。
最後に、DTMはライフワークであると再認識して、聴いていただける方がいる限りこれからも頑張って曲を作ってまいります。
長文ですみませんでした。お読みくださって誠にありがとうございます。
歌詞
【Synthesizer V】 光 feat. Ryo x 弦巻マキ 【オリジナル】
作詞・作曲 メイちゃんP
灰色の凍てついた道 通り過ぎたと思ってた
でも君は綺麗な瞳で微笑んでいた
何気ない愛しさを 歌う日はいつか
どうしようもない事が 僕らを引き裂いてくのだろう
五月のアヤメが蕾をつける頃には
愛しさが雨に溶けてく
さりげない君の優しさ ただ気づかないふりしてた
でも時は未来の翳りを語りかけてた
新しい景色へと急かすように 強く何度でも吹く風は
僕らを試していくのだろう
闇を掻き消す自由なその心で
愛の言葉を叫ぶよ
五月のアヤメが蕾をつける頃には
愛しさが雨に溶けてく
光失くしても
愛をまだ歌うよ
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