不安や恐怖心を煽る言葉の罪

痛み体験から「回復ロード」と「悪化ロード」の分岐点

1.「この腰はもう治らないナ!」、医師の心ないひと言
 2か月以上前に腰を痛めたという老婦人。
楽しみは自家菜園で野菜を育てること。それが春先に腰痛に見舞われた。
からだも九の字になり、腰が伸びなくなった。夜も横向きに丸まってねている。とにかく痛いので腰を伸ばして寝ることも出来ない。
 早速、整形外科医に診てもらった。
 その整形外科医は「この腰はもう治らないな!」と言い、鎮痛薬と湿布を処方されたらしい。
 この老婦人は、「もう治らない」の一言で、すっかり落ち込んでしまった。

2.「このまま寝たきりになるのだろうか😢」不安の日々
 かかりつけの内科医に続けて鎮痛薬と湿布を処方してもらい2か月が過ぎたが、相変わらず腰は伸ばせない。歩行もままならない。
 「このまま寝たきりになるのだろうか?」と不安にさいなまれていた。

3.藁にもすがる思いで..…
 娘さんが、車で当院につれてみえた。
 治療室を歩くのもやっとのありさま。これではベッドに寝て治療も出来ない。
 確かに胸腰移行部の脊椎は突湾曲している。座位と立位で動態をみる。
 右の殿筋と中殿筋に問題がありそうだ。先ずは、診察ベッドに臥位になれるようにと、殿筋の下層の間質液の循環を促すために特殊なテープを貼った。
 もう一度、動態をみると、可動範囲が広がっている。ベッドに仰臥できるように補助具を使用して治療を行った。

4.問題は曲がった背骨にあるのではなく、腰を支える筋筋膜(fascia)に!
 「問題の筋肉や膜が正しく動き始めると治るよ!!」
と言ったが、半信半疑の様子。それでも寝返りや立ち上がり、歩行も楽になって笑顔になった。
 2回目の施術の時には「夜も眠れる。朝まで起きなかった!」と喜んでいた。
 3回目の施術時には、歩行も状態時のようになり、にこにこしていた。腰もそれなりに伸びている。
 「よかった!助けられた!…」と何度も感謝された。

5.痛みの患者さんに、不安や恐怖を与えることの罪
 痛みを訴える患者さんに、恐怖心を煽るような言葉ほど罪なものはない。
なんの解決にもならないだけでなく、逆に痛みを長引かせてしまう。
大事なことは、1に「痛みの正しい理解」、2に「不安や恐怖を捨てる」、3に「痛みに立ち向かう勇気」を持って、日常の生活を取り戻すことが大切である。
 
心理的ストレスは、脳内のホルモン系や機能まで損なうことになる。


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