バレなければ浮気をしても良い? 6
手に入れたスリルと引き換えに。
日常生活が平凡で穏やかな時間と感じている時には、何故なか物足りなさを感じ、その有り難さに気付くことができない。むしろそんな平凡な毎日という淡い色のパレットに、ビビットな色の花を咲かせることで、魅力的な絵が仕上がるのではないか、そう思っていた。その花に、毒があることも承知の上で。
同僚との定期的な逢瀬に夢中になっていた私は、パートナーの変化に気づかないフリをしていたのだと思う。
どんなときでも私のことを支えてくれていた元気なパートナーは、少しずつ、しかし確実にやつれていった。
最初のうちは、ちょっと具合が悪いと言い一時的に寝室で横になる程度。それからは、不調な時間が少しずつ長くなり、今まで分担していた家事もままならないようになってきた。感情の落ち込みも激しくなっていた。そんなパートナーに対して、少しイラつきを感じる自分がいた。
ついにパートナーは、仕事を休むようになった。
私とパートナーは、基本的には共働きで、財布は別にしていた。しかしながらこのような状況になった今、私にかかる生活費の負担は、日に日に大きくなっていった。
そんな状況となった原因も知らず、私は身勝手にも、呆れたようにパートナーに問いかけた。
「家事もできなくなって、仕事もしないで家にいるのか。何か病気でも患ったんじゃないか?」
彼女は、久しぶりに笑顔を見せた。とても悲しそうな笑顔を。
後日、パートナーは会社を休職した。
精神的な病だった。