旅は乾燥を増長させる
「インドの伝統医学・アーユルヴェーダ」の理論を用いて、人間の本質を分析し、私の考える仮説を元に、今の状況や自分の能力の活かし方を提案しているのが、「おSENTOロックショウ」シーズン2。
毎週水曜日21時から、YouTubeチャンネルとFacebookライブで生配信している。
そして配信後に、noteでその振り返りをテキストでまとめているのがこれ。
今回のゲストは、カナダ旅行のソムリエ・ロッキーこと、田中こういちさん。
カナダ在住のいわゆる旅行ガイドさんだが、カナダの中でも自然が多い場所のガイドをされていて、自然の植物や動物、トレッキングやキャンプにまで幅広い知識と経験を持ってらっしゃるスペシャリストである。
Twitterでは、みんな愛称の「ロッキー」と呼ばせてもらっているので、今回もロッキーで!
海と時差を超えて、カナダと日本をつなげてのライブ配信、今回は他の国に移住すると言うことで体にどんな影響が起こるのか、その辺に興味があった。
※この記事では、アーユルヴェーダの健康のあり方をベースにお話ししています。そのベースは動画の冒頭で10分程度で説明しているので、アーユルヴェーダをご存じない方は、ぜひ動画の最初を少しだけ見てからお読みください。
アンケートでは圧倒的に風が多い
事前アンケートで見ると、ロッキーは風がかなり多く、次に火、と言う結果だった。
本質となる部分を考える時に、生まれてからすぐの頃の幼少期がキーとなるのだが、この辺の記憶がないというので、本質的に、と言うことはできず「現状が」と言うことになる。
風っぽさは、ご自身が気にしている「集中力がない」「熱しやすく冷めやすい」はもちろん、
・全体的に乾燥しやすい
・体力がない
などが当てはまる。また、
・イライラしやすい
・食欲旺盛
・他人の目を気にする
・理想が高い
・評価されたい
などは、火のエネルギーを感じさせる部分である。
本人の見解では「水が多そう」
そんな仮説を話してみたところ、ロッキー本人は「水が多いかと思っていた」とのこと。
聞いてみると、
・子どもの頃はまるまるとしていた(母親談)
・朝から夜まで同じところに座っていても平気
・出不精/出かけなくても平気
確かに、これを聞くと水のエネルギーが多い人。
そして、仕事の要領が悪くて時間がかかる、と言う分析らしい。
なるほど、そういうことなら本質的には水もありそう。
が、しかし!!!
そんな部分が、あまり見えてこないのはなぜなのか。
おそらく、風のエネルギーが増えすぎているため、水の要素が隠れてしまっているのである。
カナダの気候と環境が影響している
カナダの気候とはどんなものなのか。
ロッキーいわく「とにかく乾燥している」らしい。
私のイメージでは、マイナス10何度とかになるのだから冷えも強そうと思うのだが、乾燥しているがゆえに体感的な寒さはそこまでではないそうだ。
また調べてみると、気温が季節によってマイナス10度前後から22度ぐらいまでの変動がある。
さらに、日照時間も年間の変動が大きく、一番短い時期は8時間弱、一番長い日は16時間以上と2倍以上の差がある。6月ごろは夜22時にまで明るかったりするそうだ。
そう、これらの「乾燥」「冷え」「変動が大きい」は、どれも風のエネルギーを増悪させる質である。
人は、生まれた土地にあった肉体を持って生まれる。
植物も、その土地の季節や環境にあったものが育ち、それを食べたり利用したりすることが、人間の肉体への影響を緩和し、サポートしてくれるような仕組みになっている。
つまり、カナダで生まれ育ったわけではないロッキーは、この地の影響をより大きくうけやすい。つまり、いるだけで風のエネルギーが増えることになるわけだ。
だから、アンケートの数字でも、風のエネルギーのポイントが多く、それにより対照的な水の特徴は目立たなくなっているのだろうと考えた。
風を増悪させすぎないことが健康維持のポイント
自分の本質よりも多くの風のエネルギーを感じる、今のロッキー。
今回の場合、ロッキーはカナダと言う土地に住み続けるのであれば、ずっと風のエネルギーは増悪しやすい状態にあるということ。
だからこそ、風を沈静させるものを生活に取り入れたり、風が増える行動を控えたりすることで、増悪しすぎないようにしなければならない。
それに関して、アーユルヴェーダの考え方はシンプルだ。
「同質のものは、それを増やす」
「反対質のものは、それを減らす」
風のエネルギーの持っている質を考えてみよう。
つまり「軽い」質の食品や行動を与えれば、自分の中の風が増える。
同様に、「乾く」質の食品や行動、「冷やす」質の食品や行動、「粗い、ザラザラした」質の食品や行動、「動く・変化する」質の食品や行動などは、風のエネルギーを増悪させる。
そして、反対を与えると、それは沈静される。
「軽い」には重い、「乾く」には潤い、「冷やす」には温める、「粗い」には滑らか、「動く」には止まる質のもので抑えることができるわけだ。
食べ物で考えれば…
空気を含むようなフワフワ感、乾いたお菓子や食品、冷やした食べ物、もともと冷性を持つ食品など。
行動で考えれば…
肉体的にあちこち動き回る、乾いた場所、冷える場所に長時間いる、食事や睡眠が不規則な生活を続ける、など。
環境的なことを言えば…
仕事や生活に変化が多い、台風や強風が多い、乾燥している、など。
こうした風と同じ質のものにたくさん触れたり、取り入れたりすることで自分の中の風のエネルギーが増悪し、それが自分の体調や行動に表れる。
例えば、あちこち出張が多い人は、移動の影響で風のエネルギーが増え、結果的にあきっぽさが増す、そんな感じだ。
旅行は風のエネルギーを増悪させる
今回、ロッキーが面白がってくれたのが、旅行をアーユルヴェーダ的に見た時の話。
旅行は「移動」であるから風のエネルギーを増悪させる。
さらに、新幹線や飛行機などに乗れば、自分は体感しなくとも、ものすごい速さで風を切って進んでいることになる。
つまり、強風を浴びているのと同じ。
だから旅行は、元から風が多い人は、さらに風が増え、たいして風がない人でも増えやすい、と言う行動なのである。
風が増悪すると、
・疲れやすい
・集中力がない
・眠れない/目が覚める
・心が落ち着かない
と言う、風の質が悪い意味で表面化してくる。
旅行から帰ってくるとぐったりする、旅先で眠れない、体調不良になりやすい、そんな人は「移動による風の悪化」をしっかり対処しよう。
私は、体力豊富な水のエネルギーが多いため、移動で風が増えても、そこまで悪化することは少なく、旅行先でもすぐ動いて朝から晩まで楽しめる。
若かったテレビマン時代には、一泊3日でロサンゼルス往復してきて、そのまま収録に向かったこともあったぐらい。笑
それに比べると、もともと風のエネルギーが多めの人は、一緒に旅行していてすぐに疲労してくるのが分かる。
風が多い人は旅の最初はテンション高いのだが、朝から一緒に動くとランチ後ぐらいには、Ω\ζ°)チーンってなっていて「そろそろホテル行きましょうか」とか言い出すぐらい、風が増えて疲れが出やすいイメージ。(当社比)
この移動による風の増悪は、どの体質であっても平等に降りかかることなので、対処しておくと旅がより良くなるのは間違いない。
つまり、旅行先ではまず「移動」で増えた風を沈静させ、そこから現地の旅を楽しむ、そんなスケジュールを組むと良い。
動きすぎた体を休め、オイルマッサージなどで体に重みを与え、温かく消化の良い食事で滋養する。
オイルマッサージは、太白ごま油かそれをベースにしたアーユルヴェーダオイルがおすすめ。なぜなら、温性なので、風の持つ冷性を沈静させるからだ。
そう、風を沈静したい時、冷性のココナッツオイルを使ってはダメ。
ちゃんと、時と場合、そして自分の状態にあっているものを使うことに意味がある。
アーユルヴェーダの対処法にマニュアルはない
風のエネルギーが乱れている人は、こうしたほうがいいよ、と言うのはある程度ある。
風のエネルギーは、アーユルヴェーダ的には「ヴァータ」と呼ばれるものなので、ヴァータ対策、などと検索すればたくさんあるだろう。
しかし、こうした記事にある、すべてに自分があてはまるわけではない。
だから、書いてあることを、まるまる真似することだけではなく、自分の今の状態を観察し、何が異常で、それに対応する質は何なのかをちゃんと考えていく。
これがセルフケアなのだ。
マニュアルだけを覚えて実行したとて、ちゃんと増えた質を沈静するという作用につながらなければ効果はない。
体に良かれと思って習慣的にやっていること、無意識に続けていることが、実はアーユルヴェーダ的には良くなかった、と言うことはよくある話。
異常な質に、反対の質を加えることで沈静する。
このシンプルな原則こそが、実は大事なのである。
こんな感じのカウンセリングはこちら!