パンチャカルマ解説①【アーユルヴェーダで若返り】
世界最古の医学とも言われるアーユルヴェーダ。理論と実践の歴史で続いてきたのが体の汚れをとって不調の原因を排除する浄化療法、パンチャカルマです。
では、具体的にはどんなことをするのか。
それを理解していただくには、アーユルヴェーダの健康の考え方について、ざっくりでも認知してもらわないとなりません。
こちらの動画の解説部分だけでも見てもらえたら。
※必要なところから再生が始まります!
肉体を支える3つのエネルギー
風のエネルギー
火のエネルギー
水のエネルギー
この3つのエネルギーにはそれぞれ特徴や役割があり、肉体の中を(髪と爪以外)常に動き回っていて、肉体の生理的な機能維持を行っています。
そして、この3つの量やバランスは生まれた時に、それぞれに決まっていて、風が多め、火が多め、火と水が多め、など配分があり、それによって体質や個性の特徴が作られ、個々の人間に与えられている、と考えます。
だから、生まれた時のエネルギーのバランスがその人にとっての自然な状態なので、そのままいられたら問題がないわけなんですが、このエネルギーは季節や気候、その人の生活スタイル、食べるもの、精神状態などの影響を受け、すぐに変化してしまうものなんです。
そのせいで私たちは気づかないうちに本来持っていたバランスを失い、体調や、時には精神のバランスも崩してしまいます。
言うなれば、本来の自分から離れていくことで、体調も精神も悪くなると言うわけです。
エネルギーの増悪と病気
単純に1つのエネルギーが増悪すると、そのエネルギーの特徴が悪い意味で出てきます。
例えば、風には「軽い、乾燥する、冷える、不安定、落ち着かない、飽きっぽい、変化が激しい、粗い」などの特徴があります。
風のバランスがちょうどいいときは、この特徴がいい形で生かされます。
フットワークが良い、切り替えが早い、新しいものにすぐ挑戦する、いろんなことに興味を持つ、行動が早い…
そんな風にとらえられるでしょう。
しかし、風が増悪してその人のデフォルト以上に増えてしまっていると、これが悪い意味の困りごととして現れてきます。
忘れっぽい、集中力がない、気分屋、不安が多い、肌の艶がない、冷え性…などです。
この増えて悪化していくことが、肉体にも精神にも影響を及ぼし、あまりにもひどくなると病名が付くほどの異常を引き起こします。
だけど、病名がなくても、日常生活は送れても、あそこが痛い、ここがつらい、などちょっとした不調は誰にでもありますよね。
つまり、それをほっておくと病名がつながるほどの状態につながっていくんです。
ですから、そこまで行く前に、悪化したエネルギーがあるなら減らす、あるいは取り除いていくことが病気の予防になるというわけ。
鎮静療法と浄化療法
増悪したエネルギーを減らすのが鎮静療法、
取り除くのが浄化療法(パンチャカルマ)です。
鎮静療法は、YouTubeの配信で言ってるような日常生活でのケアがメインです。
風のエネルギーが増えている人にはオイルマッサージをすすめ、
火のエネルギーが増えている人にはギーをすすめ、
水のエネルギーが増えている人には非加熱はちみつをすすめる。
痛みがあるなら、痛み=風だから、これもオイルマッサージ。
湿疹や吹き出物は火の影響だからギーかローズウォーターを塗布。
体が重いのは水の影響だから、ガルシャナと言うドライマッサージを。
春は水が増える時期だから、はちみつやスパイスを。
夏は消化力が落ちるから、温めて消化に良いものを。
秋は火が増える時期だから、強いスパイスは控えてギーを。
台風が来れば風も水も増えるし、初冬は風、厳冬は水が増えやすい。
こうしたアーユルヴェーダの理論に基づいて、
こういう状況では、こうなりやすい!という目安に沿って
食べるものに気を付けたり、生活を整えたり、自己ケアをして、必要以上にエネルギーの増悪を抑える、増えてるなら減らす、という考え方が「鎮静療法」。
つまり、アーユルヴェーダを知っていると、普段の生活自体が「治療」なのです。
食べることも、寝ることも、生きること自体が、自分の肉体にどんな影響を与えているのか、それを加味して人生を選択する、そういう考え方になります。
一方で、「浄化療法」は全く違います。
まず浄化療法は、素人には出来ません。
アーユルヴェーダ医師のもとで、正しく時間をかけて行われます。
もちろん医師にもピンキリはあるので、ちゃんとしたパンチャカルマが受けられるかどうかは、ドクター選びも重要です。
浄化療法の目的は、体の中で増えすぎてしまったエネルギーを外に排泄する、と言うことなのですが、これがとても難しく、上手に安全に排泄できるかどうか、きちんとアーユルヴェーダを理解した医師のもとで行わなければ意味がないのです。
患者の状態をしっかり観察し、見極めて、原因に対してどのようなアプローチをしていくか。
見立てを立てて治療を施す中で、患者に思いもよらない反応が起きることもあります。そんな時に、正しく対応してくれる医師でなければなりません。
また、パンチャカルマへは、一連の治療を受けても必ず成功するとは限りません。
体から上手く毒素をはがし動かし、外に出せるかどうか、また出し切れたかどうか、これも医師でしか確認できないので、信頼関係が必要です。
つまり、パンチャカルマは…
時間が必要
体力を使う
医師の力も重要
上手くいかないこともある
そういうものなんです。
パンチャカルマの流れ
前出のような理由から、パンチャカルマは「最低」21日間かけるとされています。
それは、体から毒素を出す(便宜上、分かりやすいのでこう言います)ためには3つのステップが必要だからです。
3つのステップは、
前処置
中心処置(パンチャカルマ)
後処置
毒素を体外に出す、メインの治療は「中心処置」の部分。
では、その前後から説明します。
前処置について
つまり前処置は、そのメインの治療の前の準備期間。
この期間は、だいたいの人は体の穴と言う穴からオイルを入れられていきます。
全身のオイルマッサージ(アビヤンガ)などをメインに、たくさんのオイルを体に吸わせます。また、人によっては口からもギーを飲んだりすることもあります。
何のためかと言うと「油汚れは油で落とす」みたいなイメージだと分かりやすいかも知れません。
また、ちょっとした不調とか痛みとかは、基本的に風のエネルギーの増悪がからんでたりするので、まずはたっぷりのオイルで滋養して栄養を与えてあげることで簡単に改善しちゃうことも。
こうして体のあちこちにいた毒素たちはオイルではがされて、体の真ん中「消化器官」に集められていきます。
そして、この溜まる場所と言うのが、エネルギーごとの「座」と言う、決まったポジションがあるんですね。
水のエネルギー➡ 胸のあたり
火のエネルギー➡ 胃のあたり
風のエネルギー➡ 下腹のあたり
毎日、オイルを入れて汚れをとって集めて、それを繰り返し、自分の悪化したエネルギーが大量に「座」たまっていきます。
すると、むしろ悪化していくような感じになったりもするそう。
火のエネルギーが多かった人は、イライラが増したり、胃酸が出すぎて酸っぱいものが上がってきたり、吹き出物がでてきたり。
そういう変化も踏まえつつ、どこまでやったら中心処置に行くかは、医師の診断次第。
中心処置は一発勝負なので、この見極めも重要です。
後処置について
中心処置によって体から毒素を出すという行為は、体にはすごく負担がかかります。
普段の便や尿や汗と違って、本来は必要のない排泄を体に負荷をかけて行うので体をいたわる必要があるのです。
また、毒素が上手く出たとしたら、キレイになった体により良い栄養と滋養を与える必要があります。
そこで、後処置は食事療法、そして体に負担をかけないオイルケアなどが行われます。
弱り切った体を立て直すために、少しずつ各人の体力や状態にあわせて慎重に。ここで失敗したら、すべてが水の泡なのです。
実際、パンチャカルマを受けた後は、受けた期間と同じ長さの期間を療養するのが良いと言われます。
つまり治療が終わっても、すぐ日常生活には戻らず、ゆっくりと体調を整えなさい、と言うことなんですね。
それぐらい、体から毒素を出すと言う行為は難しく、負担がかかると言う風に知っておかなければなりません。
中心処置について
中心処置の定義
では、メインの中心処置について話していきましょう。
実は「パンチャカルマ」と言う言葉には、広義と狭義の意味があります。
広義の意味では、3つあるステップ全体、治療の工程全体を表すものとして使われます。(今まで、この意味で使ってます)
一方、狭義の意味では、この「中心処置」の部分のみを指します。
ここからは、少し狭義の意味での「パンチャカルマ」と言う言葉を使っていきますね。
パンチャカルマのパンチャは「5」と言う意味。
カルマは「行為」と言う意味です。
余談ですが。
カルマを「業(ごう)」みたいに捉えることもありますが、アーユルヴェーダやヨーガでは、カルマは「行為」と言う意味。
「行為」には良いも悪いもありません。
自分のカルマが返ってくる、と言うのは本当ですが、悪いことが返ってくるばかりではなく、いいことも返ってきますからね。
自分のすべての行為が、自分の未来につながっている、と言うことです。
と言うわけで、パンチャカルマは「5つの行為」と言う意味。
前処置で体の中心部に集められた、過剰なエネルギーたちを外に出すための方法5選!と言うことになります。
それがこちら!
経鼻法(けいびほう)➡ 鼻から薬剤を入れて口から出す
催吐法(さいとほう)➡ 口から薬剤を入れて口から出す
催下法(さいげほう)➡ 口から薬剤を入れてお尻から出す
経腸法(けいちょうほう)➡ お尻から薬剤を入れてお尻から出す
瀉血法(しゃけつほう)➡ 汚れた血を抜く
この5つの治療法は、古典の本によって少し違っていたりします。
別の分類では瀉血法をいれず、経腸法を2種類として考えるパターンもあります。
経鼻法(けいびほう)➡ 鼻から薬剤を入れて口から出す
催吐法(さいとほう)➡ 口から薬剤を入れて口から出す
催下法(さいげほう)➡ 口から薬剤を入れてお尻から出す
オイルを使わない経腸法
オイルを使う経腸法
この違いって何かって言うと、すごーく昔にいたアーユルヴェーダの名医に内科と外科の先生がいて、外科の先生は皮膚を切って血を出すのを押してて、内科の先生的にはそれは入れなかったってことなんですよね。
なんで、あまり深く考えなくてもいいです。笑
毒素を出す5つの方法
この中心処置、前処置で集めに集めた毒素を出すわけですが、どの方法がどこの場所の毒素を出すのかも明確です。
具体的にどう出すかも、分かりやすく書いてみましょう。
経鼻法(けいびほう)➡ 鎖骨より上(頭部含む)にたまった毒素を出す ➡ 鼻から薬剤を入れて口から出す
催吐法(さいとほう)➡ 胸あたりにたまった水のエネルギーを出す ➡ 口から薬剤を飲んで吐く
催下法(さいげほう)➡ 胃のあたりにたまった火のエネルギーを出す ➡口から薬剤(下剤)を飲んでお尻から出す
経腸法(けいちょうほう)➡ 下腹あたりにたまった風のエネルギーを出す ➡ お尻から薬剤を浣腸してお尻から出す
瀉血法(しゃけつほう)➡ 皮膚疾患など血液の汚れが原因と考えられる場合に施す ➡ 医療用ヒル、注射器などで血を抜く
大きい治療となるのは、風、火、水のエネルギー排泄に関わる、吐く方法、下剤で出す方法、浣腸する方法の3つ。
この3つのうち、一回のパンチャカルマでやるのは1つだけ。
経鼻法などは、軽いものを他の治療法と合わせてやることはありますが、吐くのと下剤を両方同時にやる、と言うことはありません。
無理ですよね、体力的に。
皆さんも、自分でも何かで下痢が止まらなくなったり、吐き気が続いたりしたときのこと想像してみてください。
めちゃくちゃしんどいじゃないですか。
そう考えると、一回のパンチャカルマで出せる毒素は決まってるわけです。
一回で何もかもがキレイになる!と言うわけではないのです。
特に、今起こっている不調が、風、火、水、単体の増悪で起こっているものであれば直しやすい(出しやすい)ですが、状態が悪くなっていて火も水も悪化、と言うような原因が複合した状態だと、一度では完全には良くならないでしょう。
ただ、すごく悪化してなければ、一つの要因が改善されることで、他の要因も改善しやすくなったりすることはあります。
だから、東洋医学でも「治療は早めに!」なんですね。
私は、お試しで「経腸法」、浣腸療法は何度かやったことあります。
バスティと言うんですが、割と量とか内容でコントロールでき、ライトに出来る療法みたいで、ドクターにも「スモールバスティはやってあげるわよ」みたいに言われたりしました。笑
私的には「ビッグバスティがいい!」とお願いしたんですけど、短期間のトリートメントではビッグバスティは断られました。笑
瀉血療法は、医療用のヒルを使うと、悪い血だけを取ることが出来ると言われています。現代は、注射器を使う先生も多いと聞きましたが。
下記は、以前にパンチャカルマ施設を見学した際に見せていただいた、瀉血療法の様子。
ヒルはとてもセンシティブな生き物だそうで、まずヒルを1晩かけてきれいにし抗菌効果のあるターメリックで洗って、患部に吸い付いてもらえるよう、優しく皮膚にのせていきます。
なかなか、吸い付いてくれない時もあり、その場合は、人間の皮膚の方に少し傷をつけて皮膚をザラっとさせたりしていました。(ヒル優先)
吸い付いてくれたら、血を吸いきってくれるまで置いておきます。症状によっては、パンパンに膨れ上がるほど血を吸うそうです。
そのあと、そっとヒルをはがし、傷口にターメリックをかけたら(消毒と止血)、血を吸ったヒルをターメリック水の中で優しくなぜて吸った血を吐かせてましたね。
その間、人間はまっとけ!状態ですが。笑
ヒル様をまずきれいにいたわってあげて感謝しているところが、アーユルヴェーダらしいなと。
さて、私はどの治療法がメインになるのでしょうか?
では、今日はこの辺で。
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