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メッセージ要約 2024.6.16 「神への反逆としてのバベルの塔」

○創世記11章1節~9節「神への反逆としてのバベルの塔」(安食弘幸牧師)

 聖書の翻訳が、文語訳、口語訳、新改訳、新改訳2017と変っていったように、言葉というものは、時代と共にその言葉の意味が少しづつ変わってきたり、新しい時代になると、古い時代の言葉が使われなくなったりする。ですから、そういう言葉の変化に合わせて、聖書は翻訳し直されていきます。「普通」という言葉も、「広く一般的なこと」という意味ですが、最近の若者は「最高の」「お世辞抜きの」という意味で使うという。若い人が「これ普通においしいです。」って言ったら喜ばねばならない。言葉は、時代と共に変化していくわけです

1.言語の起源

 では、人間はいつから言葉をしゃべる様になったのでしょうか。進化論によれば、最初の人類の先祖には今のような言葉は無かった。擬音のようなオノマトペ(音や声、動作などを音声化して示す方法)でお互いの意志疎通をしていました。そして脳が発達すると、単語を作り出し、文法を考え、今のようになったんだそうです。

 でも、聖書はそうは言っていません。聖書は初めから人間は言葉を喋った。「人は(アダムのこと)全ての家畜、空の鳥、全ての野の獣に名前をつけた。(創世記2:20)」進化論のいうことと真逆である。20世紀のアメリカの言語学者ユージン・ナイダは、4000語の言語を調べた結果、どの言語も降り時代のものほど文法が複雑だということが判明しました。聖書も400年前のキング・ジェームズ訳の方が、文法が複雑で難しい。言語も英語より、ラテン語、古代ギリシャ語、サンスクリット語と、古い言語の方が、文法が複雑になってくるのです。

 またMIT教授ノーム・チョムスキーは、「人間には、初めから言語を習得する能力がある。生まれながらに、文法中枢が脳の中にインストールされているんだ。」と言います。これは、クモがクモの巣を張ったり、ハチが六角形の巣穴を作ったり、渡り鳥が方向を間違えずに戻ってきたり、サケが生まれた川に戻ってくる様な遺伝的な能力です。しかし、この生まれながらに言語に対応する能力があっても、その前の世代に言葉を喋る人がいな

かったら、喋るようにならない。ですから進化論が言うように「言葉を喋れない時代があって、そのうち徐々に徐々に喋れるようになった。」ということはありえない。この点からも聖書の記録の正しさがわかります。

2.一つの共通のことば

 そして、世界には多くの民族がいますけれども、言語がない民族は皆無です。人間である限り、必ず言葉を使って、しかも文法を持ってコミュニケーションするわけです。18世紀のイギリスの言語学者ウィリアム・ジョーンズは、東洋の古い言語であるサンスクリット語の文法を調べ、西洋の古代ギリシャ語と比較しました。すると、この2つの言語には、驚くほどの共通点が見つかったそうです。何故なのか。それが1節に書かれています。「さて、全地は一つの話しことば、一つの共通のことばであった。(1節)」つまり、人類は元々1つの言葉、共通言語であった。その共通の言葉とは、アダムの名が、土(アダマ=ヘブライ語)から取られたから、アダムになったようにこの時代の共通言語はヘブライ語でした。

3.ことばの分裂

 ノアの家族がアララテ山から東へ移動し、シンアルの地(シューメル、メソポタミア)の平地に住みついた。この地方は石が少なく、三角州のデルタ地帯だったので、粘土を焼いてレンガを作り、瀝青(アスファルト)を塗って防水加工し、建築物を作っていました。そして4節で「彼らは言った。『さあ、われわれは自分たちのために、町と、頂が天に届く塔を建てて、名をあげよう。われわれが地の全面に散らされるといけないから。』」と言い、巨大な塔を建てました。この建築プロジェクトのリーダーは、ニムロデという人で、人類最初の独裁者でした。このニムロデが、町を作って塔を立てるというプロジェクトを始めたわけです。この塔の目的は何かというと、「頂が天に届く塔を立てて名をあげよう。」の「天」は複数形であり、第一の天である大気圏、第二の天である天体がある宇宙、第三の天として神がいる領域まで届くという意味。「名をあげよう」とは、「神の領域に踏み込むぞ!」「俺たちが神の代わりになってやる!」という神に対する反逆の象徴、それがバベルの塔であったわけです。そこで、神はこの人間の高慢な行為に、当然黙っていません。神様は、どんな方法で、この介入されたのか。「さあ、降りて行って、そこで彼らのことばを混乱させ、互いの話しことばが通じないようにしよう。(7節)」つまり、神様のこの時の裁きは、お互いが言葉が通じないように、混乱が起こるようにされたんです。「それゆえ、その町の名はバベル(混乱)と呼ばれた。そこで主が全地の話しことばを混乱させ、そこから主が人々を地の全面に散らされたからである。(9節)」その結果、人々は、同じ言葉をしゃべる人同士で、それぞれ分かれて散っていく。神様が「産めよ、増えよ、地に満てよ。」と言った計画がこうして成就していくのです。

 イエス・キリストはおっしゃいました。「神の国と神の義を、まず第一に求めなさい。そうすればそれ以外のものは添えて与えられる。」第一のものを、第一のものとしない世界は、必ず混乱が生まれてくる。私たちも、もう一度、神の国と神の義を神様のことを第一にする歩みを修正しながら進んでいきたいと思います。(T・H)


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