メッセージレジュメ 2024.7.28 「アブラハム契約」
○創世記12*1~9
若い頃はお金はないが希望がある。就職、結婚、子供というように得ていくものが多い。しかし、晩年になると持っていたもの、健康、友人、家族などを次々と失っていく。だから人生の後半は寂しいという人生観を持つ人がいる。しかし聖書は、神様とともに歩む人生は人生最後の日まで希望に満ちていると教えている。アブラハムは正にそのような人生を送った人だ。
1 アブラハムへの召命
アブラハムは75歳で、カルデアのウルという所に住んでいた。ユーフラテス川河口の大都市で偶像礼拝の中心地だった。父親はテラと言い、偶像を作って売る仕事をしていた。ある時、アブラハムは神様から「あなたの故郷を離れて、私が示す地へ行きなさい。」という声を聴いた。それで彼は父や親族とともにカナンに向かって出発したが、途中のハランに住み着いてしまった。その原因は父テラにありそうだ。ハランは偶像礼拝の街でウルと同じ文化や宗教だった。テラはそこを離れ難かったのだろう。しばらくして父テラが亡くなり、アブラハムが族長になった。すると神様は彼に再出発するように呼び掛けた。
2 アブラハム契約の内容
1節から3節は、アブラハム契約と呼ばれ、神様とアブラハムが結んだ契約の内容だ。この契約は、この後聖書の中をずっと流れていく非常に重要なものだ。
≪第1の命令≫「わたしが示す地へ行きなさい。」直訳すると「自分のために行け」となる。出発すると3つの祝福が付いてくるという。①あなたを大いなる国民とする この時彼は75歳で子供がいない。信じ難い約束だ。②あなたを祝福する 霊的にも経済的にも祝福するということだ。 ③あなたの名を大いなるものとする あなたを超有名にしてあげるということだ。この約束は成就している。クリスチャンもイスラム教徒もユダヤ教徒も信仰の父として尊んでいる。子供にアブラハムとつける親も多い。
≪第2の命令≫「あなたは祝福となりなさい。」新共同訳では「祝福の基となるように」となる。受け取った祝福を他の人に与える人になりなさいということだ。
そうすれば3つの祝福が与えられる。 ①あなたを祝福する者を祝福する。 ヨーロッパの歴史を振り返るとよく分かる。
13世紀に一番たくさんユダヤ人がいたのはイギリスだが、当時の王様がユダヤ人に国外退去の命令を出した。かわいそうに思ったフランスがユダヤ人を受け入れた。するとフランスが繫栄した。だが、活躍するユダヤ人をねたむ人が増え、追放令が出る。次にユダヤ人を受け入れたのはイベリア半島の国(スペイン・ポルトガル)だ。するとこの二国はあっという間に国力を上げ、世界一周できる航海技術を持った。ユダヤ人の学問や知識を利用したからだ。さらに、オランダ、ドイツ、ポーランド、イギリス、アメリカと次々に祝福された。②あなたを呪う者を呪う。 ③地のすべての部族はあなたによって祝福される。私たちもユダヤ人から祝福されている。聖書を書いたのはユダヤ人、私たちの救い主もユダヤ人だ。
3 アブラハムの信仰の従順
アブラハムの信仰生活を見ると、神様に何か言われるとすぐに行動している。カナンに着き、神様からこの地を子孫に与えると告げられた。しかしそこはカナン人の住んでいる偶像礼拝の地だ。だが、彼は文句一つ言わず、そこに祭壇を築き、天幕を張った。彼は生涯テント生活をしたが、それは自分の最終ゴールはカナンではなく天の都だと知っていたからだ。つまりこの地上の人生で自分は旅人であり寄留者に過ぎないと考えていた。だから行く先々で祭壇を築き礼拝したのだ。
私たちも地上の旅人で、最終ゴールは天の都だ。だから人生の節目節目に神を礼拝しながら人生を歩んでいこう。 (T・M)