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「牧師夫人の徒然なるままに」(八七三)「空を打つような拳闘」(Ⅰコリ9・26)

私は日々、いろいろな出来事に、様々な感情を抱きます。自分の身に及ばないことがらであっても、その出来事が感情のアップ・ダウンを引き起こします。

私は、プロ野球のあるチームを半世紀以上に渡って応援しています。そのチームが負けると心がふさぎます。また、遠くはアメリカの大統領選挙についてもそうです。何の権利も効力も無いのに、十一月の投票日に向けて、海・山を越え、小さな自分の部屋から熱烈なエールを空に向かって放ち続けているのです。

地球上の方々で起きている戦争についてもそうです。戦況が私の感情を高めたり、沈みこませたりさせます。

今の時代のように、メディアが一瞬にして地球上の出来事を広めることはなかったでしょうが、パウロが生きた時代にも、それなりに様々な出来事があり、人々はそれに少なからず翻弄されていたのではないでしょうか。しかし、パウロは言いました。「この一事に励んでいる」(ピリピ3・13)と。

もし、この「一事」を忘れてしまうなら、虚しい空を打つ拳闘に時を費やすことになってしまいます。世のあらゆる出来事に泣いたり、笑ったりも良いでしょう。それは人生に彩を与えてくれますから。ただ、それに翻弄されて、一番大切なものから決して目を離してはなりません。空を打つ拳闘はしたくありません。
安食道子

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