メッセージ要約 2024.10.6 「煙の立つかまどと燃える松明」
『煙の立つかまどと燃える松明』 創世記15章7節ー21節
前回、不信仰に陥っていたアブラムに対して、神様は「見上げてごらん! 夜の星を」と言い、「あなたの子孫は、このようになる」と約束されました。すると、アブラムの信仰は突如回復し、「アブラムは主を信じた。それで、それが彼の義と認められた」(6節)のでした。今日はその後の物語です。
①契約への備え
今日の聖書箇所では、いよいよ神様とアブラムとの間に正式な契約が結ばれようとしています。まず7節で、神様はアブラムにご自分がどんな存在であるかを自己紹介されます。1「主」(ヤハウェ)は契約を守る神を強調する名前です。今日までいかにアブラムを導き守ってくださったのかを思い出させます。そして8節、アブラムは主なる神に問いかけます。「神、主よ。私がそれを所有することが、何によってわかるでしょうか」と。これは、疑っている人の質問ではなく、信じた人、神の友とされた人の質問です(神に期待した質問)。それに対して、神様は9節で「三歳の牡牛と三歳の雌やぎと三歳の雄羊と山鳩と鳩のひなを持って来なさい」と言われました。通常の5倍の動物が準備されているほど、この契約の厳粛さ、重要性がわかります。そして、10節を見ると、鳥以外の動物をすべて真二つに切り裂き、半分を互い向かい合わせにし、この間を契約者たちが歩くことで契約の締結となります。これは当時の風習によるもので、もしも約束を破った場合、この動物のように切り裂かれても文句を言わないという儀式でした。
②子孫と土地に関する預言
13節から16節でアブラハム契約が締結されようとする前に、神様はアブラムに彼の子孫について預言されます。その内容は、やがて生まれてくる子孫がエジプトの地で苦難に遭い、そしてエジプトの地を脱出することです。この預言は、実際にのちのアブラハムの子孫が430年間エジプトに寄留することになります(出エジプト記12:40-41)。
16節「そして、4代目(ヨセフの骨)の者たちがここ(カナン)に戻って来る」と言います。また、土地に関して18節「あなたの子孫にわたしはこの土地を与える。エジプトの川からあの大河ユーフラテス川まで」とあり、やがて子孫のソロモン王の時にこれらの地を統治することになるのです。
③アブラハム契約の締結
深い眠りに襲われつつ、アブラムは異様な光景を見せられます。17節「日が沈んで暗くなったとき」見よ。煙のたつかまどと燃えている松明が切り裂かれた物の間を通り過ぎた」とあります。この「煙り立つかまど」と「燃えているたいまつ」はシャカイナ・グローリー(神の臨在の象徴)です。通常はこの契約の当事者の両方が通過するのですが、ここではシャカイナ・グローリーだけが通過しました。アブラムはそれを見守っているだけです。つまり、「アブラハム契約」を実行する責任は主なる神様にあり、アブラムとその子孫は、この契約の恩恵を受けるだけであるという意味です。例えアブラムやその子孫が失敗しても、不信仰に陥っても神様はこの契約を守り続けられます。この契約の基本条項は「神はイスラエル民族を用いて全人類を救う」という内容です。
パウロはローマ書11:29で「神の賜物と召命は変わることはありません」と言っています。そして、イエス・キリストを通して私たちに与えられる救いも神様の一方的な恵みです。神の側で、神の御子イエス・キリストの十字架の贖いを100%備えてくださり、一方的に私たちへの赦しが宣言されたのです。
今日の聖書箇所は、「神様がアブラムとその子孫を祝福する」というアブラハム契約についてでした。それと同様に、やがてアブラムの子孫として生まれて来るメシア(救い主)の救いの契約も神様の一方的な恵みによるものなのです。
「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれも父の身もとに行くことができません。」(ヨハネ14:6)
(T.N)