ビジネスパーソン必見!経営数字格言その2
経営数字の観点からの経営格言
成功している経営者は、次の言葉により「あり方=Being」と「やり方=Doing」の両輪が必要だと述べております。
稲盛和夫「京セラフィロソフィ」より
「ビジネスの世界では、徹底した合理主義者、しかし、それ以外ではロマンチストであり、形而上学的なことも考えられる人間でなければいけません。その両面のバランスが取れていなければ、一流の経営者にはなれない。」
永守重信「挑戦への道」より
「夢・ロマンを語ると同様に、会社の力、可能性を具体的な数字として頭に
叩き込んでおくこと。これが経営者の第一条件であろう。」
今回、このうち「やり方=Doing」の部分になりますが、「経営数字」の観点から会社経営・ビジネスにおいて知っておくべき格言その2をご紹介したいと思います。
【格言その2】
実は成功には「運」の要素もかなり大きい。運自体はコントロールできないが、「運の運用」はコントロールできる。
(解説)
「成功するには運の影響が大きいのに誰かの成功話を参考にするのは間違っている。」-イエール大学助教授 成田悠輔氏
「ところで、フッと、いま思ったんやけどな、今日までの自分を考えてみると、やはり、90パーセントが運命やな。しみじみ運命やと思うな。」
-江口克彦著 『経営秘伝―ある経営者から聞いた言葉〜松下幸之助の言葉』
突然ですが、あなたが運で決まると思っている分野にはどんなものがあるでしょうか?
金運、財運、恋愛運、パートナーシップ運、人間関係運、健康運、男運、女運、商売運、出世運・・・様々なものが挙げられると思います。
仮の話ですが、「金運」と「歯磨き運」とあった場合、あなたはどちらが欲しいと思うでしょうか?多くの人は、金運を選ぶのではないでしょうか?
それは、歯磨きに運なんて関係なく、上手くできるかどうかは方法で決まると知っているからです。
しかし、お金の稼ぎ方、収入の増やし方、資産の運用方法を知っている人であればどうでしょうか?金運の話が、歯磨き運と同じように荒唐無稽な話に聞こえると思います。
このことから、結局、「人にとって運とは何なのか?」と考えると、
「運とは、自分では分からない要因のこと。自分ではコントロールできないもの」と定義できます。そして、このように定義すると、「運」には次の2つの法則がありそうです。
【法則1】
「やり方・方法」を知らないために、全てを(自分でコントロールできるところも含めて)運の要素に依存する(例えば、商売運が悪いと思っている人は、商売が下手)。
【法則2】
再現性のある「やり方」を自分で見出していないので、運と不運の不確実性の波に翻弄され、運が良い時はいいが、運が悪い時に大きな損失を被る(回避できない・損失を最小に抑えられない)。
つまり、確かに運自体はコントロールできませんが、物事の全てが運によって支配され、コントロールできないわけでなく(つまり、全てを運に委ねるのではなく)、自己でコントロールできる部分があり、そこを「やり方」の部分でコントロールするのです。
運の良いことに出会えば、利益を最大化できるように、また、逆に運の悪いことに出会えば、損失を最小化するにようにコントロールするわけです。
事業の成功には「運の要素」は大きいですが、経営者はすべてを「運任せ」にしてはいけません。運自体は確かにコントロールできませんが、「運の運用」はコントロールできます。
経営者は、自らコントロールできない部分と、コントロールできる部分を見極め、コントロールできる部分に注力することが肝要です。
例えば、新規の設備投資を行う場合、その稼働率いかんにより、製品の製造原価は異なります。製品原価を下げるためには、常に高い稼働率を確保しなければいけませんが、製品の売れ行きや、製造工程の状況、在庫政策など様々な要因で稼働率は変動します。つまり、稼働率にも不確実性の要素が入るわけです。
このため、経営者は設備投資の際は、現実的な製品需要とそれによる稼働率を見積り、仮に稼働率が下がるよう場合はどうするのか、稼働率を予定通りの水準に保つためには具体的にどうすべきか(設備投資の経済計算を適切に行う)、といったことを考えておく必要があります。これこそが「運の運用」をコントロールするということです。
狩猟型ビジネスは常にサイコロを振っている状態
当社の教育事業で使っているビジネスゲームでは、「サイコロ」を振ってゲームを進めていきます。
このとき、受講者の中から「サイコロの目さえよければ・・・」という意見を聞くことがあるのですが、そのような方に私は次のようなことをお話しします。
「居酒屋さんを営んでいるとして、お客さんが平日に何人来るか、確実に見込めまますか?雨の日や雪の日など天候が悪い日の来客数はどうですか?
また、あなたがハウスメーカーの営業マンだとして、何もしないでお客さんを獲得できますか?常にお客さんを探し、そのための事前投資をしている状況にになってませんか?」
このように、「お客さんが何人くるか?どのくらい受注件数を確保できるか?」といったことは、「確実に見込める」という状況には多くの事業者はないかと思います。
多くの企業やビジネスパーソンが「お客さんを探している」「お客さんに売り込む」ということをやっているはずです。そして、そのお客さんの数は常に変動し、確実な数は分からない・・・不確実性の中にある・・・。
まさしく、このようなビジネスが「狩猟型のビジネス」と言えます。
これは、工務店などの建設業から病院などの医業、専門学校などの学校関係にまで多くのビジネスの分野に当てはまる形態と言えます。
そして、上記の「格言」はまさしく、このような「狩猟型のビジネス」に対して、「ではそのような不確実性の中でどうするか?」ということを問うものとなっています。
さぁ、どうでしょうか?
あなたのビジネスは「狩猟型のビジネス」ではないでしょうか?そうであれば、常にサイコロを振っている状態にあると思います。
そうであるならば、その中でどうするのか?
そのことを「真剣に」考えなければならない格言となっています。