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編集者からみた、原稿執筆の一工夫:1-4.漢字を統一する、表記を統一する

前回は「漢字にする/しない」の統一でしたが、こちらは、「同じことについて漢字を統一する、表記を統一する」というものです。

1-4-1.複数の表現ができる場合

簡単な例ですと、以下のようなものです。
小児/子供/子ども/お子さん
本邦/我が国/わが国/日本
私/筆者/著者

混在するとキレイではありませんので、どれか1つに決めて統一した方がよいと思います。

1-4-2.別名や略語が混在する場合

また、別名や略語が混在している場合なども統一します。
「5ページの特別養護老人ホームと、8ページの介護老人福祉施設と、9ページの特老、12ページの施設。文言違うけど、同じものを指していると思うんだけど、、、」。

このような場合、「特別養護老人ホームで統一するけど介護老人福祉施設ということも伝えたい」と思えば、初出時に「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」として以下は「特別養護老人ホーム」にする、という表記が考えられます。

「2回目以降は略語の特老にしたい」場合は、「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設。以下、特老)」などが考えられます。
伝えたい情報がいろいろある場合は、初出時にまとめて掲載し、2回目以降はどれか1つにする、とした方が、読者にとってわかりやすい文章になります。

1-4-3.見た目が似ている・意味は厳密には異なるがそんなに意識しなくてもよい、という文言が混在する場合

その他、見た目が似ている・意味は厳密には異なるがそんなに意識しなくてもよい、という文言が混在している場合なども統一します。例えば、「エコー」と「エコー図」などです。

使い分けやこだわりがあって、「エコー」「エコー図」を使用していると感じられたときは、その意図をくみ取って編集していきます(操作はエコー、画像・映像はエコー図、と使い分けているのかな、など)。

しかし、そうではない場合はどちらかへの統一を提案します。文章の理解でいえばどちらでも問題ないと思いますが、「情報の正しさ」や「混在することで読者が迷わないようにするため」という点での編集作業となります。
「モニタ」「モニタリング」なども同様です。

「同じものは、同じ表記にする」ということは理解度のためには重要なことなのですが、コピペや変換によってつい忘れがちになってしまいます。できるだけ統一するように日ごろから心掛けることをお勧めします。

●スサノオ
ちなみに、以前、神社についての書籍を読んでいたときの話しです。
日本神話の神「スサノオ」は、「日本書紀」では素戔男尊、素戔嗚尊、「古事記」では建速須佐之男命、須佐乃袁尊などと表記するのですが、いろいろな箇所でこの4つの名称が出てきました(他の神も日本書紀と古事記では漢字が異なります)。執筆者が別々だからなのか、引用元の文章の漢字をそのまま使用したのかわかりませんが、書籍全体で考えた場合、どれか1つに統一すべきと思いながら読んでいました。当然、他の神も漢字表記はバラバラです。なお、しっかりと編集されている書籍は、初出時に「以下、須佐之男命とする」など、統一を図っておりました。

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