「待ち時間が長い」という病院への不満について
病院やクリニックの口コミを見ていると、不満として多いのが、
・受付けの対応が悪い
・医師の態度(対応)が悪い
・待ち時間が長い
の3つで、その中で個人的に気になるのが「待ち時間が長い」です。
「医師は良いけど、待ち時間が長い」などで評価が5段階の2だったり、「待ち時間が長いのでもう行かない」などをよく見かけます。
以下、待ち時間が長いことについて私見を述べますが、一般的な場合を想定していますので、医療機関の規模や診療科、患者人数など様々な条件で異なります。
1.病院の待ち時間が長い理由は?
完全予約制の医療機関ではないかぎり、外来は予約+当日受付の患者の診療となります。
待ち時間は、単純に考えると以下の式で考えられます。
・待ち時間=自分の前に受付して待っている患者の人数 X 1人の平均診療時間
受付時点で待っている人が10人、平均診療時間が5分なら、待ち時間は50分(10 X 5)となります。待ち時間は必然的に、自身より前に受付して待っている患者が多いほど長く、平均診療時間が長いほど長くなります。
つまり、人気のある医療機関なら患者数が多くなるためタイミングによっては待合患者数は多くなり、しっかりと患者を診ている医師の平均診療時間が長いほど待ち時間が長くなります。
よって、待ち時間が長いことは悪いことではない、という考え方ができます。それだけ人気があるか、診療時間をしっかりとっていると判断することができます。
では、なぜ不満が出るのかというと、
・どのぐらい待つのかわからない
・あと○分って言われたのにドンドンずれていく
・予約時間通りに診療されない
・待合所でジッと待っているのが苦痛
・待合所のイスに空きがなく立って待っていた
などがあります。
患者自身が不満に思わないため、また、患者を不満にさせないため、どうすればよいのでしょうか。
2.病院の待ち時間に対して患者ができること
私が医療機関に行くときには、「予約をしていても医療機関は待つもの」と思っているので、基本的に本を持っていき、「待ち時間は読書の時間」と決めています。待ち時間がどのぐらいになるかわからないのに、何もしないで待っているのはもったいないし、辛いからです。
しかし、待合所にいる人たちを見ると、目をつむって何もせずにじっとしている人が多いように感じます。痛い・つらいなどで何もしたくない人たちもいるだろうし、じっとしていることが好きな人たちもいると思いますが、何もせずに待っていることが苦痛な人にとっては、待ち時間が長いのは不満でしかありません。イライラもしてきます。
待ち時間中に何かできる人は、「医療機関は待つもの」という前提のもと、1時間ぐらいの待ち時間(できれば2時間ぐらい)は時間をつぶせる用意をしてから医療機関に行く、ということをすれば、待ち時間への不満がすこしは和らぐのではないかと思っています。
「医療機関は待つものだから、待ち時間対策をしてから行く」ことが、患者ができることだと思います。「予約しても待つ」と思っていた方が、心にゆとりができます。
また、親切な医療機関では、待ち時間が長くなりそうな時は受付に一言告げて外出する、ということもできます。
その他は、混まなそうな時間に行く、混まなそうな医療機関に行く、などが考えられますが、できる場合・できない場合があると思います。
3.待ち時間対策として医療機関ができること
待ち時間を短くするため、患者が多いからと断るわけにもいかず、平均診療時間をいたずらに短くして診療をなおざりにするわけにもいかないと思います(スタッフの業務効率のため、患者が多いと断る医療機関もありますが、、)。
そうすると、医療機関としてできることは、
・予約の人の時間をできるかぎり優先する
・待ち時間を苦痛にさせない待合所にする(一旦外出できない人用に)
・一旦外出しても大丈夫なシステムにする
などが考えられます。
3-1 待ち時間を苦痛にさせない待合所にする
待合所の工夫ですが、実際に医師やスタッフが1〜2時間いれば、待合所の快適度がわかるのではと思っています。イスの座り心地や待合所内の備品で時間をつぶせるかなどを。
待合所が混んでいる想定では、何か物を置いておくにしても数が足りないと手に取れないこともありますし、来院頻度が高い患者の場合はずっと同じ本しか置いてないと手に取らなくなる、なども考えられます。
また、イスの数が少ない場合は混雑していると立って待つことになります。実際口コミの中には、「イスがなく立って待たされた」という不満も散見されます。イスを増やすか、明らかに待ち時間が長くなる患者にはその旨を伝えて一旦外出していただく、なども考えられます。
待ち時間を苦痛なく待っていただく、ということもホスピタリティの考えの1つだと思うので、待機患者が多い医療機関ほど工夫が必要だと思います。
小児科や産婦人科など診療科ごとに必要な対応は変わってきますが、対応の根本的な考え方は同じだと思っています。
余談ですが、以前よく通っていた整体院は待合所に漫画が多数あり、ちょっとした漫画喫茶感覚で待ち時間を楽しんでいました。
3-2 一旦外出しても大丈夫なシステムにする
医療機関の予約・受付システムを提供している会社の中には、受付番号と現在の診療番号、およその待ち時間などがWEBで見られるシステムがありますので、余裕があるならこのようなシステムを導入することも考えられます。
受付時点で待ち時間が長いことがわかり、その間に外出したい人にとってはこのシステムは大変ありがたいと思います。
また、一定の待ち時間や順番になったら連絡が入るシステムもあります。スマホを使えないと設定ができませんが、これもとてもありがたいシステムです。
人気の飲食店で同様なシステムがあり、ずっと店で待っている必要がないのでとても助かりました(個人的には、江の島の「とびっちょ」や静岡の「さわやか」で経験)。
外出する人が増えれば、イスも十分確保できます。長い待ち時間に不満を言う人も少なくなります。
待ち時間を有効活用させるシステムは、医療機関の印象が良くなるシステムだと思います。
患者が通える範囲内で、待合所でずっと待たされる医療機関と、外出可能な医療機関があった場合、外出可能な医療機関を選択すると思います。
待ち時間対策もホスピタリティの1つと考えていただけると、患者としては助かります。