労働人口の減少がチャンスになる?地方テレワークの可能性についての考察
労働人口の減少とテレワークの可能性は、地方の活性化や地域経済の持続にとって、重要な課題とチャンスを内包しています。本日はその考察をしてみましょう。
日本全体では少子高齢化に伴う労働力の減少が深刻な問題として浮上していますが、特に地方においてはその影響が大きく、地域産業の停滞や衰退を招いています。
また都市部でも採用競争力のない企業は採用ができず、人手不足の状態を抱えています。これは様々な企業の採用支援をしている筆者も日々感じています。
しかし、近年のテレワークの普及によって、地方居住者が都市部の企業とつながり、または都市部の企業で働きながら地方に定住することが現実的な選択肢として浮上しています。
本記事では、具体的な事例を交えながら、労働人口減少とテレワークがもたらす可能性について詳しく解説し、地方が直面する課題と、それに対する解決策としてのテレワークの役割を考察します。
労働人口減少とその影響
日本は少子高齢化に伴い、労働人口が急速に減少しています。
2030年には労働力人口が約10-15%減少する見通しであり、特に地方ではこの影響が顕著に現れています。
地方では、若年層が都市部に流出し、高齢化が進む一方で、農業や製造業、観光業といった地域産業を支える労働力が不足しています。
さらに、地域社会の維持が難しくなり、人口減少による地域の縮小や廃村といった問題も浮上しています。
(具体的にはこの資料を参照するのがわかりやすいかと思います。)
Works177号 特集 未来予測 労働力はどれだけ足りなくなる?(リクルートワークス研究所編)
人口減少が招く経済の停滞
人口減少による労働力不足は、経済活動に深刻な打撃を与え始めています。
例えば下記の帝国データバンクの記事を見てみましょう。
注目すべきは、「一方で1人の退職が大打撃となる小規模事業者は今後も苦境か」ですね。やはり1人が担う範囲・領域が大きい業種ほど、深刻な影響になっていることが伺えます。
テレワークの普及と地方の可能性
こうした状況の中で、テレワークの普及は労働力不足を解消するための有効な手段として注目されています。特に、COVID-19パンデミックを契機に、都市部の企業を中心にテレワークが急速に浸透し、リモートワークという新しい働き方が一般化しました。
この変化により、都市部に住む必要がなくなり、地方に住みながらも都市部の企業で働くことが現実的になりました。
テレワークの普及は、地方居住者に新たな働き方と生活の選択肢をもたらしています。
事例:テレワーク中心の業務委託紹介サービス
筆者も登録していますが、テレワーク中心の業務委託紹介サービスがすでに数多く誕生し、大きな市場となっています。こういったサービスを有効活用することで企業側は労働力や優秀な人材を確保でき、労働を提供する側は場所に縛られずに就業することが可能です。
テレワークがもたらす地方居住者への利点
テレワークは、地方居住者にとっても多くの利点を提供します。特に、以下のような点が注目されています。
1. 地方での生活の質の向上
テレワークの普及により、地方での生活の質が向上しています。都市部の高額な家賃や長時間の通勤から解放され、地方での広い住居や自然環境を享受しながら、安定した収入を得ることが可能です。これにより、子育て世代やリタイア後の人々にとって、地方での生活が魅力的な選択肢となっています。
例えば、長野県や福井県などでは、自然環境が豊かな地域での生活を望む人々が増えており、テレワークを活用した移住が進んでいます。都市部の喧騒から離れ、ゆったりとした生活リズムを実現できる一方で、都市部の企業にリモートで勤務することで、地方の生活を維持しながらも安定した収入を得ることができるのです。
2. 地方における収入格差の解消
地方では、都市部に比べて賃金水準が低く、若者が都市部に移住する要因の一つとなっていました。しかし、テレワークにより、地方に住みながらも都市部の企業で働くことが可能となり、地方における収入格差が解消されつつあります。
特に、ITエンジニアやクリエイティブ業界の専門職は、テレワークを通じて地方にいながらも都市部のプロジェクトに参加することができ、都市部と同等の収入を得ることが可能です。これにより、地方での生活を選びながらも、都市部の高収入を享受する新たな働き方が広がっています。
結論
労働人口の減少は、日本全体にとって深刻な問題ですが、テレワークの普及の労働力不足を解消するための大きな可能性を秘めています。地方に住みながら都市部の企業に勤務することで、地方経済の活性化や地域コミュニティの再生が期待されています。
今後、通信インフラの整備や企業文化の変革を進め、テレワークをさらに普及させることで、地方における働き方の多様化が進み、労働人口減少という課題に対する有効な解決策となるでしょう。