罠は心理に仕掛ける(実例:鉄球トラップ)
○TRPGネタなので知らない方にはさっぱりわかりませんですよ。
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色々あってこんな時間に記事更新。
やはり古い人間にとっては最近のシステムよりもD&Dのような古いシステムのほうが楽しいという話。
最近のシステムは「枠が決まっていて事故らない」というユーザーフレンドリーが充実している。「遊びやすさや演じやすさ」という意味では確かに商品としての完成度が高い。
ただ、好みの問題もあるんだろうが私には楽しさがいまいち感じられない。
枠が決まっている=マークシートの解答用紙な感じで。以前も書いたがフリーアンサーの自由奔放さゆえの珍解答が出てこない気がしている。「約束された奇跡」に感動できるかどうか。むろん、名作映画のような出来栄えであれば作られた奇跡でも感動できるはずだが。
私が心底楽しいと思う「ドラマ性」は自分や他人が紡ぐ「作られた物語」「約束された奇跡」ではなく、低確率を実際に乗り越えてきた「リアル奇跡」だ。・・・最近のシステムでは事故と言われ、忌避される部分。最善を尽くしても「雑魚キャラに瞬殺されること」すら、「低確率の奇跡」に出会うために必要なプロセスだと思うわけだ。
昔の不親切なファミコンゲームをどうにか工夫してやりくりする楽しさというべきか。むろん、限度はあるが、古強者ほど事故にすら対処する気概があったように思う。せっかく乱数を得るためにダイスを振るのに、事故が怖いからとスクリーンでごまかしては意味がない。すべてオープンダイスで「事故すら乗り越える」のがPLの力だという意識があった。
例えば私の25年前のシナリオトラップ。ソードワールドの場合。おそらく今後使うことはないネタなので出しちまおう。
0 らせん状に地下に下っていく通路の先にバンパイアとダークエルフが待ち構えているのを退治に乗り込むPCたち。PCは全員暗視もち。地下ダンジョンを事前に透視の呪文で把握。罠や仕掛けは大半が見えている・・・はず。
1 透視の呪文で入り口付近の稚拙な鉄球ころがしの罠を発見。地下に下って踏み板を踏むと、後ろで隠されていた罠の扉が開き鉄球が追いかけてくるトラップである
2 PCはmpを温存したいので罠扉をハードロックする処理をして、踏み板を踏まないようにして先へ進む
3 中途、透視で見つけていたインプを投げナイフで瞬殺する
「なんでこんな雑魚がこんなところに?」と周囲を警戒するが特に何もなし
4 あと少しで最下層というところで「不思議なことに振動は全くないけれど、背後から何か転がってくる音がするよ」というGM。戸惑うPL。
5 透視で見上げても鉄球は見えない。だが音は徐々に大きくなっている。透視で最下層を見ると、最終部屋に飛び込み左右に散れば仮に鉄球が転がってきてもよけられそう。落とし穴などの罠もない。バンパイアとダークエルフが待ち構えているのが見える。
6 mpを温存したいのもあってPC全員駆け出して最下層の部屋に飛び込み左右に散る。一挙にラストバトルへ・・・
7 GM「では全員精神ダメージ。皆、自ら闇精霊に突っ込んだから」PL「見えないの?」GM「だって暗視ってのは闇を見通してしまうんでしょ?」
8 鉄球の音は呪文のものなので振動はない(リプレイスサウンドとイリュージョンやプリザーブサウンドあたりの組み合わせ)。 しかも、あわてて駆け込んだので呪文による事前強化がないままラストバトル。
9 「罠はシーフスキルで仕掛けるあい。相手の心理に仕掛けるもの」ということ。
10 入り口でわざと鉄球を見つけさせることで「鉄球ころがしがあり得る」とPLに刷り込む。インプの箇所で足止めする間に仕込んだ呪文の音を発動。刷り込みがあるPLはあわてる。暗視と透視ですべてを見透かしているという油断(入り口の鉄球の罠を見つけさせているのはここでも生きている)。「ならば最下層に駆け込んでしまえば鉄球が本当でも嘘でもかわせる」という「目先の最善の解決方法」。実は強化呪文の準備できず、しかも闇壁の罠。
わざと発見させた鉄球が表のF(フェイク)、見えてるはずが見えない闇壁が裏のFである。
11 ちゃんと「無振動」「透視で見上げても見えない」というヒントがあるのでノーチャンスではない。ゆえにかかったPLからは称賛の言葉をもらった。ノーヒントでひっかけても意味がない。あくまでもPLは自分の意志で闇壁に突っ込んだのである。優秀なPLであればあるほど、姿が見えず、振動がなくても音がするだけで備えてしまうものだ。
・・・というようなトラップはD&Dやソードワールドなら可能だけど、アリアンロッドでは表現できないように思う。単に調べて判定して解除するルーチンワーク(マークシート)だから。それこそがまさに「アリアンロッドの良さ(だれでも手軽に理解できる簡潔さ)」でもあるのだけど。
とはいえ、昔のルールほどGMやPLに求めるものが多く負担が多いのは事実。商業ベースで売ろうとすればユーザーフレンドリーなのは良いことだ。新しいルールに何を求めるか?
CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。