エアホッケー無双の考え方

エアホッケーについては一度、社会人初期に強敵相手に思考を練り上げたことがあり、駆け引きが存在するのが大きなところである(その時の記事はまたいずれ)。

まず、防御編である。ゴール前にベタ張りでマレットを横に動かすのが基本。このとき中央ではなくて反応をしづらいと思う方からぴったり1パックの距離に陣取るのがミソである。相手が直接狙いであれば開けている方向に適宜ずらすかどうかだけで防御できる。側面反射うちの場合はゴールへの角度が狭くなるので反射させた側に少しずらすだけで9割以上は防御できる(ゴールやマレットの大きさにもよるが)。防御の時はマレットを縦に動かすのはご法度である(理由については攻撃編で述べる)。また、「踏み止め」(マレットを浮かせて上からパックを抑える)防御も私は絶対に行わない。ただマレットが地上にいるだけで防御になっているのに、浮かせる事で間違いが発生するものだ。

そして、攻撃編。まず基本は2パターン。直線シュートと側面反射シュートである。直線を使うのは相手が油断している時や相手がゴールベタ貼りの場合。理由は狙う場所が明確であること、速度を問える展開にするためである。側面反射は相手が警戒している時やゴール前から離れている場合である。理由は警戒している故に反射に反応し過ぎること、相手マレットがゴールから離れていれば後ろに引き込み自殺点の余地があるからである(実際、この狙いで名古屋では自殺点を3回ほど上げている)。

ここまでは基礎にすぎない。反射神経の良い相手を崩すにはこれだけでは不足がある。そういった相手用に防御はともかく攻撃については応用編がある。応用編については次回に続ける。思考を練り上げ、本質に近付いておくことで多少の運動性能の差は凌駕できる。

社会人になりたての頃、よくつるんで遊ぶ同期が8名ほどいたのだが、そのメンバーでエアホッケーが流行ったことがあった。大体の遊び全般にセンスや反射神経を発揮する2名がいて(三国志鬼ごっこの時の私と組んでいた男と私の待ち伏せから逃げきった男 09年9月20日記事参照)その2名のトップ争いに私が妙な形で迫っていくというのが主な展開だった。

エアホッケーの時は2名のうち1名が反射神経の良さを発揮して失点をしないという異様な強さを発揮していた。普通にやりあったら勝てないどころか得点すらできない。2連敗する間にも相手を観察して基本原則に気付いた。3試合目は互いに防御しきって全てを防ぎ合い時間切れ引き分け。(前回のカバーはにはここまでになる)

4試合目は3試合目とほぼ同じ展開だったが、中盤でついに失点をしてしまった。ずっとACFで考えてたがどうもうまくいかないのはパックがある側にしか攻撃権がないからだとして考え方を転換することにした。今度用いるのは孫子の兵法三十六計である。

瞞天過海は幾度も同じフェイントをして見せて警戒心を解くもの。エアホッケーでは空振りフェイントに当たる。目に見える時のフェイント。とりあえず空振りを交えてからシュートしてみたがあっさりと防がれた。声東撃西は狙いを告げておきながら違うところを狙うもの。エアホッケーでは目線や大きな動作でフェイントをかけるもの。「虚」の場所のフェイント。これもあっさりと防がれた。

私『むう、やるな。』

暗渡陳倉は攻撃開始自体をさとらせないもの。エアホッケーでは中央へのドリブルに当たる。目に見えない時のフェイント。中央に進み、相手の様子を見るがガードは堅いままである。いつもは踏みつけ状態から一度構え直してからシュートを打っていたが、今回は踏みつけ状態のまま強く打ち出したがこれも防がれる。

私『結局、一度ゴール前から引き剥がさなければ意味がないな。相手に攻撃権を与えるわけにもいかないし、どうするか・・・。』

結局、思いついたのはコート中央に弱く打ち出してみることだった。相手が釣られて前に出てきたところを一瞬早く側面反射打ちでついにゴールを挙げる。これで1対1。残り時間はわずか。

兵法三十六計ネタが尽きたので、次は三国志から偽撃転殺を持ってきた。これは実際にある場所に一撃を加えて防御を固めさせてその反対を攻める。「実」の場所のフェイント。中央に緩くパックを放っても、今度は予想通りゴールに張り付いている。

私『やはり釣られないか。』

こちらは利き腕が使いやすい左側から正面に強いシュートを放つ。正面の壁に強く反射させるだけのことだが、反射神経の鋭い相手は思わず反応する。これがつけ目である。

私『高速で跳ね返ってくるパックを反射させてシュートするコツは中央線を目印にすることだ。』

あとは跳ね返ってきたパックを逆の右側面に反射させて放り込む。これで2対1。エアホッケーにも本質と言うか原理原則のようなものがある。それさえ把握すれば多少の反射神経の差は凌駕できる。相手にもそれを把握されるとなかなか難しくなるわけだがw



CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。