距離感とダメージの9分類リメイク版

●総論
3×3の9の類型を示す。

A実害発生の3段階
B攻撃発生実害なしの3段階
C攻撃が発生しない3段階

それぞれの中でさらに3段階存在する。

【A 実害あり】

A-1 一撃(回復意味なし)
攻撃側の意図が100%実現する形。格闘技における一撃KOを想起されたい。一撃で戦闘不能、機能停止。意識を失う。
ドラクエのザラキやロマサガの黒点波のような「一発狙い」もここに含まれる。
相手の破壊力が高く、防御してもこの状態になるのであれば防御よりは回避や反撃を試みるべき。

A-2 大ダメージ(回復追いつかず)
致命傷にはならないものの被害甚大で深刻。次の小ダメージとは回復が追い付くかどうかで分類する。

A-3 小ダメージ(回復の目処アリ)
実ダメージは発生しているが回復が追い付く場合。ダメージコントロールでなんとかできる。ただし回復手段に回数制限などがあると小ダメージの蓄積が大ダメージと同じことになる。

●「実害あり」の3段階を分類する軸は「回復との関係性」である。
●「損切り」はあえて部分的に軽いダメージを受け入れることでより大きなダメージを避ける考え方である。損害を受け入れるという部分で抵抗が生じやすいが全体で見た場合は部分を切り捨てざるを得ないことがある。「損切り」は感情的なままでは出来ない。より理性的であることが求められる。
●1兵士にとっては「一撃」であってもグンタイ(軍隊・群体)で見ると小ダメージということはままある。だから個人よりも組織を敵に回すのは厄介なのである。組織を敵に回すと手こずるのはこれが理由である。指揮命令系統である頭を潰さなければA-1にならない。
●孫子の兵法や銀河英雄伝説のヤンウェンリーで有名な「一点集中攻撃」「各個撃破」とはA-3をA-2に。A-2をA-1に効率的に行う手段である。

【B 攻撃発生実害なしの3段階 】


B-1 崩し 「ひびかなければどうということはない」
相手の体勢を崩すなど一定の影響はあるものの「実ダメージ無し」というもの。小ダメージとの違いは積み重ねて致命傷になるかどうか。崩しは崩しに過ぎず、いくら重ねても致命傷にはならない。

ハナーのACF理論でいえばF(虚撃)の時に狙うのは実ダメージではなく、この「崩し効果」。小ダメージを入れるのよりさらに一段階ハードルが低いので格上にも入りやすい。ペースを乱させるきっかけにできる。

最強の崩しの事例はドラゴンボールの太陽拳。あれはじつにわかりやすい。崩してから攻撃したり逃げたりと次につなぐことができる。(ドラゴンボールの中ではもっぱら逃亡のための時間稼ぎに使われていたが)

B-2 装甲 「きかなければどうということはない」
相手の装甲を削るなどできていれば崩しの部類に入るが、それすらできず攻撃が装甲に完全に阻まれる類型。

属性による攻撃吸収等もこの部類に属する。

重装甲の相手は装甲重視ゆえに運動性が低い場合も多いのでそこに付け込むと「崩し」はきまりやすい。ロープで雁字絡めにするとか、攻撃が当たるなら考える余地はある。


B-3 回避 「当たらなければどうと言う事はない」
攻撃を回避されてしまう類型。回避の数値を積み上げて、相手の命中の数値を上回ることで避けてしまう。世間一般のルールやゲームでの防御手段の最高峰である。

回避特化型はその運動性を保つために奏功を犠牲にしているケースが多い。なので不意打ちでも奇襲でもよいので何とか一撃入れてさえしまえば崩せる可能性はある。

「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」というのもまた真理。手数を出し続けて間違いに期待するのも選択肢の一つ。

★攻撃発生実害なしの3段階 を分けるのは「命中と回避」「火力と装甲」の関係性である。

★以前、アリアンロッドで私がマスターをしていた時にプレイヤーに回避特化キャラがいた。まともでは攻撃が当たらない。対策としてはむろんマスター権限でのゴリ押しも一つの手ではあるが、他のプレイヤーに回避の目が皆無になること、なによりも回避特化キャラの特性を力押しでつぶすのは美しくない。
私が行った対策は「放置」である。回避特化キャラを攻撃すればそれだけ回避の有用性を認めることになる。魔獣など頭の悪い敵は別として、ある程度理性的なエネミーは回避特化キャラを放置してその分他の仲間を攻撃した。回避特化キャラは回避に特化している分、パンチ力に欠けるので、脅威となりにくいこともある(なのでフォローで強力な武器を提供したくらいである)。放置されるというのは悲しい反面、回避特化した意味を認めているともいえる。その分、他のキャラはピンチになるわけだが。
タイマンではともかくチームVSチームではこういう選択もままあると言う事だ。

★将棋でも相手の遊び駒をわざわざ手数をかけて取りに行くと、却ってその駒の価値を認めることになる。相手の価値を主張させない最たる手段は「放置」である。

【C攻撃が発生しない3段階 】

C-1 射程外 「届かなければどうと言う事はない」

いわゆる「距離の防壁」。前の段階までと違ってそもそも攻撃の機会を与えない分、より高次元な防御。もし自分が射程で有利ならば一方的に攻撃できる間合いを保つアウトレンジ戦術を行う。相手の方が射程が長い場合なら一挙に遠ざかって逃げてしまうとか、逆に急接近して討ち合いに持ち込むとか2つの選択肢があって考えるのが楽しい。

ゲーム類では殴り合いの方が盛り上がるため、距離や間合いで一方的な展開は保ちにくくなっていたり、いきなり遭遇戦だったりするものが多いが、もし考える余地があるなら意識している人間は明らかに優位に立てる。最近のルールでは簡略化されてしまっていて少々さびしい。


C-2 認識外 「見つかってなければどうということはない」

不可知。相手のその存在を気付かれていなければそもそも攻撃対象に選ばれない。

索敵ルールのあるウォーシミュレーションでは大概索敵が重要。当たり前だが正しい前提情報がなければ正しい判断や行動を行えないのである。

相手に気取られていなければ不意打ちを行うもよし。そのまま離脱するもよし。


C-3 対象外 「そもそも敵って何?」

敵として認識されていない。味方である。防御の最高峰と言うのは文字通り「無敵」なわけだ。そもそもここまでくるとゲームにはならない。


●攻撃が発生しない3段階を分ける軸は「攻撃機会の与えられない原因」による。
「射程外だから物理的に届かない」「認識外だから攻撃対象に選べない」「対象外だから検討すらしない」

●他が火力や命中値の数値の積み上げ、足し算や掛け算をやっている頃。皆さんはその計算用紙を丸ごと破棄する方法まで考えて優位に立てばよい。

●「相互の射程が理想の間合いを決め、相互の機動が現実の間合いを決める」byハナー 機動と射程の関係性については以前詳しく書いたのでそちらに譲る。

●見敵必殺、サーチ&デストロイはC-2の亜種かな。「機会外(先手必勝)」ともいう。相手より先に攻撃して相手に反撃の余地すら与えず攻め潰す。我が家では母親の将棋が該当する。

●敵味方の識別を間違えないことが都と得も重要である。イノシシ猟に出た猟師が仲間の猟師に撃たれては目も当てられない。特に有利な時は味方とは常に緊密に情報共有するオープンバカなくらいでちょうどいい。不利な時は敢えて情報を秘匿することも考える必要はあるが。「悪意のない一撃ほど堪えるものはない」

●現実社会の軍隊でも「識別信号」を出している

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ハナー
CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。