野球少年ハナー「バックスタブ2連発」
今から30年以上前、私は豊上ジュニアーズの一員であった。当時は父が監督、6年生だった長兄は1番ショートのリードオフマンであった。私は補欠だったが、レギュラーのセカンドが負傷して出番が回ってきたことがあった。
相手は地域で一番の強豪校。試合は3回オモテで4-1で負けている状況(長兄はランニングホーマーで1点貢献していた)。相手の攻撃中、ツーアウトランナー2塁であった。その2塁打の処理過程で味方のセカンド黒田君(仮)(私と同い年で唯一のレギュラー)が足首を捻挫をしてしまったわけだ。
セカンドに入る前にピッチャーのところに立ち寄った。第三者が見れば「監督からの伝令」に見えることだろう。私がその後セカンドの位置につくと審判は試合再開の合図を出した。
審判がプレイを宣告し、セカンドランナーがするするとリードをとる。私は背後からバックスタブ(隠し玉)でいきなりアウトを取りチェンジである。ピッチャーのもとに立ち寄りちゃっかりとボールを受け取っていたわけで(笑)。
私の少年野球初プレイは隠し玉という、いかにも私らしいデビューであった(笑)。
その後試合が進み、5回オモテ。得点は6-4。再び相手方の攻撃でこちらはピンチ。ワンナウトランナー1,2塁。ピッチャーが2塁に牽制をしたので私がキャッチしたあとに流れでタイムをかける。内野手全員がマウンドに集まり、私はこれみよがしにボールを明確に渡し、グローブをパンパンと叩きながら守備位置に戻る。プレイ再開後、今度は1塁ランナーが隠し玉でアウトになった。私がボールを渡したのはピッチャーではなく1塁手であった。1塁手とピッチャーが年子1歳差兄弟でよく似ているので、とっさに思いついたアイデアであった(無言でボールを返された1塁手の方はとまどっていたが小声でささやいた)。背番号を注意深く見られたら成立しないわけだが、少年野球でそこまで注意してる人も少ない。
なお、私の肝心のプレイは背の低さを生かしてカット打法で粘って(非力なのでボールが前に飛ばないだけ)フォアボール1回、三振2回で終わっている。相手のリードを2回の隠し玉で抑えたことで攻撃を多少抑えることができ、一時は9-9の同点にまで迫ったが力負けしてサヨナラ負けだったように記憶している。
CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。