北九州市長選(2月5日)出口調査
「無党派層が動いた」という説明がなされている(朝日新聞デジタルの2023年2月24日の記事)。実態としては、自民党内部の無意味な権力闘争に、自民党以外も市民も巻き込まれてしまったということだろう。また、選挙活動を始めるのが早かった自民党系候補の「政党対市民」というような「イメージ戦略」が功を奏したのかもしれない。
朝日新聞社の出口調査の結果によれば、「無党派層」が投票者の3割を占めたということだから、残りの7割が何らかの政党の支持者ということになる。自民支持層は、津森対武内が、46対46なので完全に2つに割れている。立憲支持層は、それが42対37であり、僅かであるが数字としては津森氏に投票した人が多い——その他の候補に投票した人が合計20パーセントであるが。当然自民支持層よりも立憲支持層の方が人数が少ないので影響力が弱く、「無党派層」における「津森23」対「武内56」という状況が決定的な影響力を持った、ということだろう。
グラフに出てこないが、公明党や国民民主党の支持者の投票行動はどうであったのだろうか。
コンサルティング会社代表取締役で「人口100万都市の復活」とか「稼げる街」とかいう公約を掲げる武内和久氏が市長に当選したわけだが、前者は「人口減少時代」にあってはナンセンスであり、後者はそのままでは意味不明である。
落選した津森候補は、誠実そうな若者という印象はあったが、自民党の地元の有力者たちにだまされて出馬してしまったということであろう。「リスクを取ってチャレンジ」(武内和久氏が代表であるブルーミンジャパン社のウェブページにある表現)してしまったということになる。しかし、落選したことはまったく津森氏の責任ではない。