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市民の主張(複合公共施設整備事業と初代門司港駅跡関連遺構)

市民団体の主張や議会への陳情内容について


北九州市議会への陳情

初代門司港駅跡関連遺構に関連して北九州市民が市議会に提出した陳情書がどう扱われているか。 継続審査のものと不採決のものがある。
陳情番号|件名|議決月日|議決結果

陳情一覧

“[門司港地域複合公共施設]建設予定地の門司港駅周辺は、福岡県のハザードマップで最大3~5メートルの高潮浸水想定域内であり、災害対策の拠点施設である門司区役所の移転が含まれており、立地に当たっての災害対策についての検討が他都市と比べ軽視されている。”

陳情第154号
受理年月日:令和5年6月15日
付託委員会:建設建築委員会
件名:門司区役所など、高潮・津波災害想定地域への移転計 画の見直しについて

https://city.kitakyushu.lg.jp/files/001041580.pdf

北九州市が北九州市立地適正化計画の後を受けて策定した門司港地域複合公共施設整備事業を進めている中、先般、現門司港駅東側の建設用地内で発掘調査が行われ、初代門司港駅跡関連施設の基礎を示す様々な地下遺構が見つかった。
1891年の構内図に照らしても、寸分違わない位置に機関車庫のコンクリート基礎とその上に積まれた赤レンガ外壁や、開業当時の駅舎の外郭をめぐる石垣とそれに重複する形で築かれた2代目駅舎跡、また使用燃料廃棄場とみられる石炭ガラの集積も見つかり、まさに往時の九州鉄道起点駅の姿をほうふつとさせる。
機関車庫は地形の変化に応じて基礎工法を変えており、建設技術の進化と変遷が見て取れ、近代日本を支える鉄道産業の歴史を物語る貴重な発見となった。
11月19日午前、午後2回の現地説明会では、鉄道ファンだけでなく、たくさんの門司区民や北九州市民、県内外の文化財関係者、建築設計技術者など、500人以上の見学者が訪れ、この遺跡の関心の高さを示している。
しかし、本調査区は門司区役所をはじめ、幾つかの公共施設の機能が統合・集約された新規高層建物の建設予定地にあるため、見つかった貴重な遺構は、その基礎杭埋設工事のため、ほとんどが壊されてしまうのではないかと危惧している。
国の重要文化財に指定され、数年前改修工事を終えたばかりの門司港駅舎は、北九州市観光の目玉にもなっている人気スポットであるが、その原型である初代門司港駅跡が見つかったことは、現在九州鉄道記念館として公開している九州鉄道本社本館とともに機能し、近代日本産業の動脈と頭脳となり、やがて、世界遺産にもなっている官営八幡製鉄所の創設につながっていった。
30年ほど前、東京の汐留遺跡として発掘調査された旧新橋停車場は、駅舎やプラットホームをはじめとして、機関車庫、客車庫、転車台などが見つかり、現在では国指定史跡として、駅舎も復元されている。
また、近年では、2019年に東京都品川区で高輪築堤と呼ばれる、海を埋め立てて鉄道を通した遺構(基礎石垣)が、再開発工事中に約900メートルにわたって発見され、その一部は早くも2021年、歴史上や学術的に価値の高い遺跡として国の史跡に指定され、現地に保存されている。
初代門司港駅跡関連遺構の発見は、まさに明治日本の石炭産業を物流面で支える原点とも言え、世界遺産の構成資産にも匹敵する価値を有していると考える。
以上のことから、今回見つかった初代門司港駅跡の遺構を現地にて保存し、整備して後世に伝えるべく、必要な措置を講じていただくために、以下のとおり陳情する。
1 今回の発掘調査で検出された初代門司港駅跡関連遺構を現地にて保存し、将来的には現門司港駅舎、九州鉄道記念館とともに一体感のある近代遺産として整備すること。
2 現在進行中の門司港地域複合公共施設整備事業用地については、遺跡保護の観点から共存は難しいと考えるため、抜本的に見直すこと。
3 初代門司港駅跡関連遺構を、北九州市観光の目玉となっている門司港レトロを構成する近代建造物群とも有機的に整備し、周遊性を持たせた町づくりを行うこと

陳情第177号
受理年月日 令和5年12月1日
付託委員会:建設建築委員会
件名:初代門司港駅跡関連遺構の保存について

https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/001071000.pdf

門司港レトロ地区で出土した明治期の初代門司駅関連の鉄道遺構を巡り、市民有志が「初代門司港駅跡の保存を求める会」(中川研治代表)を結成し、北九州市に遺構の現地保存を求める要望書を提出した。市議会にも陳情書を出した。[12月]1日付。

西日本新聞2023年12月5日

複合公共施設に入る9施設のうち耐震改修未実施は門司区役所東棟、門司市民会館、港湾空港局庁舎のたった3施設なので、そこだけを改修すれば費用は大変安くなる。バリアフリー化の改修費用もたかがしれている。市長は、高齢者が門司区役所まで歩いて行くのは大変だとして複合公共施設に建て替える方針だが、門司港駅から区役所までマイクロバスの往復シャトルバスを運行すれば費用は断然安くて済む。それに高齢者は、複合公共施設が完成する令和9年まで待たなくても、今年中に歩かなくて済むようになる。
令和の北九州市が「世界遺産を潰した街」と呼ばれないように、市議会が市長提案の補正予算案を否決するようにお願いしたい。

陳情第187号
受理年月日:令和6年6月3日
付託委員会:建設建築委員会
件 名 令和の北九州市が「世界遺産を潰した街」と呼ばれないようにすることについて

https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/001092678.pdf


2つの市民(住民)団体

初代門司港駅関連遺構の保存を組織の目的として活動している2つの会がある。2024年10月5日の毎日新聞朝刊では、それぞれの最近の活動を並べて取り上げている。
1. 初代門司港駅跡の保存を求める会(代表は中川研治氏)
2. 門司・北九州の未来を考える会(代表は平出隆氏)

初代門司港駅跡の保存を求める会

門司生涯学習センターで2024年3月16日に下記の講演会を開催した。

初代門司港駅跡の保存を求める会


初代門司港駅跡の保存を求める会

facebookもInstagramも、ログインしないと中のページを閲覧することができない。城野遺跡の会のウェブサイトに以下のように講演会(3月16日)のことが紹介されている。

3/16講演会『初代門司港駅の出現』開催、「集会宣言」を採択し、4/4に北九州市長らに要請!
3月16日に門司生涯学習センターで開催された講演会『初代門司港駅の出現-九州鉄道の原点に迫る-』(初代門司港駅跡の保存を求める会主催)には、230人を超える参加者が熱心に3人の講師の講演に聞き入りました【写真1、資料1】

https://ameblo.jp/jounoiseki/entry-12848797030.html


門司・北九州の未来を考える会

オンライン署名活動を2024年7月14日に門司区の11団体がスタートさせた。

オンライン署名活動のページ

門司の歴史を未来につなげる会、門司の躍進を考える会、きくし会、門司港アサカイ、門司港学舎(まなびや)、北九州フライフィッシング、門司の未来を語る青年会、福岡ボンズ倶楽部、門司文化サロン、門司百年企業の会、門司建築士有志の会。(署名まとめ代表 秋武政道

オンライン署名活動をおこなった11団体


「第1回初代門司駅遺構と複合公共施設の現状説明会」 が2024年8月22日に門司生涯学習センターで開かれた。「門司の未来を考える会」(代表吉田清春)という会の名称が使われている。

会に関係するウェブサイトが現在以下のように3種類ある。
(1) https://moji-ikou.hp.peraichi.com
(2)https://airlanguageprogram.com/void/fieldmuseum-net/1st-mojistation/
(3)https://yoshida-moji.com/blogcategory/門司港複合施設建設について/

(1)は、ペライチというウェッブページ作成サービスを利用している。作成者は不明だが、「門司・北九州の未来を考える会」のウェブページと記されている。「北九州シビックプライド」というのは何のことだろうか。(2)は、会代表の平出隆氏の関係するウェブサイトに含まれている。(3)は、「門司の未来を考える会」の代表であった𠮷田清香氏のブログサイトである。

門司・北九州の未来を考える会




【補足:会の名称の変更】
それまでの「門司の未来を考える会」の名称に関して、「門司」を「門司・北九州」とすることになるきっかけとなる提案が、「旧門司駅遺構と複合公共施設の現状説明会」第2回において平出隆氏や門司区以外から出席した市民によってなされたことが記録されている。実際に名前が変更されて説明会が開催されたのは第4回(2024年9月5日)からのようである。

2024/09/02
遺跡破壊のあとに建てられる公共施設の安全性に疑問を投げかけた大室佑介「公共施設の安全性と危険性」の講演後、秋武政道氏の司会により市民の意見、質疑、市議会議員の意見などが交わされた。市の文化大使としてスピーチを求められた平出隆は門司港だけではなく、北九州全域の市民にこの問題を投げかける必要を訴えた。また意見を集約し可視化する先端的IT技術の使用を提案する市民も現れた。

https://youtu.be/beKOePok7uU?si=h17TuAZHYcqHbEYB

第4回@門司区◉2024年9月5日(木):「門司・北九州の未来を考える会」に発展的に名称変更し、TTTCなど新手法による展開を開始。:めがねのヨシダ本店

https://airlanguageprogram.com/void/fieldmuseum-net/1st-mojistation/future-of-moji-kitakyushu/


住民監査請求をおこなう会


参考: 複合公共施設の早期建設を求める嘆願書

北九州市門司区の複合公共施設整備予定地で出土した明治期の初代門司駅関連遺構を巡り、市民有志が施設の早期建設を求める嘆願書を市に提出した。市の財政難が続く中、遺構の発掘や保存をすれば「多くの税金が使われる」と懸念を示し、取り壊しを求めている。
嘆願書は同区の病院職員藤平●●さん(34)や若松区の大庭●●さん(79)らが呼びかけ人になり、市民ら507人の署名も集めた。[2024年4月]19日に市役所で担当者に手渡した藤平さんは「理想は遺構の保存だが、財政が厳しい状態でさらに保存にお金がかかるなら取捨選択が必要。駅の近くに複合公共施設があると便利」と話した。

西日本新聞2024年4月24日web

門司区ではなく若松区の人が「呼びかけ人」の1人となっているようだが、若松区でも、自治会や婦人会で「(門司港地域)複合公共施設の早期建設を求める」ために署名が集められたのだろうか。
「市民有志の嘆願書507筆」 は、「市民有志が自治会や婦人会などを通して集め」たものと、毎日新聞記事(2024年4月21日)は報じている。 

市に早期建設求め市民有志が嘆願書
市民有志は[2024年4月]19日、複合公共施設の早期建設を求める嘆願書507筆を武内和久市長に提出した。
嘆願書は、市民有志が自治会や婦人会などを通して集めた。門司区役所など現在の公共施設が老朽化して利便性が悪いことを挙げ、予定通り早急に建設することを求めている。
嘆願書を提出した門司区の自営業、藤平●●さん(34)は「遺構保存に予算を割けば他の施策に影響が出るのでは。遺構よりも今困っている市民のために税金を使ってほしい」と訴えた。」

毎日新聞2024年4月21日紙面





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