西日本新聞の「独自」記事の意味: 自治体と地元の新聞社との関係について
自治体と地元の新聞社との関係について考えてみようと思う。自治体の関係者がまだ決まっていないこと、議会への説明もしていないことを特定の新聞社の記者にリークし、世論を誘導しようとしているという疑いがある。市長の「争点形成」に協力したり、アドバルーンを揚げたりしているのではないか?
記事のタイトルは以下の通りであり、公表日次等は「2024/1/5 6:00[有料会員限定記事]」となっている。
「独自」ということは、スクープということであろうか。続く本文では、最初に次のように書いている。記事が公表された前日の1月4日に、北九州市が2024年度からの3年間で約300億円の財源を捻出しようとしているという情報を記者が独自に入手したということのようだ。どういう状況であったのかに関心を持たざるを得ない。
次の部分は、「市関係者によると」という表現で始まっていて、記者は、「市関係者」に対する取材で市当局の動きについての情報を入手したものと思われる。情報の出所は、市長ではないということのようだが、市長の指示によるものなのか、市長の了解によるものか。新聞記者は、市長のためにアドバルーンを揚げたということなどはあり得ないのだろうか。
次のように、「投資的経費の上限」の引き下げについての方針についても言及している。これについては、その目的は「市債発行の抑制」であると説明している。
「子育て支援や産業創出」が「次世代への投資」と捉えられているようだが、「子育て支援」によって5年後に合計特殊出生率を1.8人にするというような目標が達成可能だと考えられているとしたら問題である。
また、企業誘致によって、5年後に社会増減が1,000人になると期待しているとしたら認識不足である。
以下で引用するように、重要業績評価指標に言及しているが、合計特殊出生率、社会増減についての議論が記事の中でまったく取りあげられていないのは何故なのだろうか。
さらに付け加えるならば、投資的経費の上限を引き下げることは、経済成長(=もっと「稼げるまち」)という政策と矛盾するのではないか。
記者は、上記のような点について何ら疑問を呈することなく、「市関係者」の話を記事にして、「スクープ」であるとしているのだろうか。
【補足】
続報が1月11日に出た。今回は、「独自」という語句はタイトルに付いていない。
記事の最初の部分と最後の部分を以下に引用する。全体としては前回の「独自」取材に基づいた記事と同じ内容のようだ。