禍々しいもの

以前、職場でだいぶASみ強そう且つ擬態(大仰型・賢い・小物作り趣味)もあり“ミスを認めない”“言い訳する”と言われている子が、なかなか誰もしないようなミスをした時、
その対策をするにあたって、
“誰が本人に理由を訊くか”という話になり、

the多数派で素直で従順で気も利き話しやすく多くの人から可愛がられるような人が、
「私、素知らぬ顔で訊くの得意だよ。“こんなミスした人がいるんだけど〇〇さんはどんな理由があると思う?”って訊いて来ようか?ww」
と、意地悪な笑いを浮かべ、周囲もそれに同調した。

私はその空気をとてつもなく禍々しいと感じた。

悪い奴なんかじゃなくて、むしろ従順で礼儀正しく良い子寄りの人達がそれをやる。
“こうすればプライド傷つかないでしょう?”
“気持ちに配慮してあげる”
“優しいでしょ?私”“大人な私”
が、私には透けて見えた気がした。

自分達が勝手に想像して決め付けた本人の内実の上に、歪曲した策略を立てて、それを腹に抱えて本人の心に触れようとする。その感じにゾッとした。
“この人達は、本人が物凄い心抉られるかもしれない可能性・思い詰めてしまうかもしれない可能性を想像すらできていないのかもしれない”と感じた。

そんな気持ちを持って本人に関わりに行って欲しくないし、
そんな気持ちはどれだけ隠しても滲み出て本人に伝わるもの。
コソコソ噂してるのを本人が振り返って気にしてる姿も見たことある。
バレてるよ。本人に伝わってるよ。
その見下し。
そして本人は怒ってなんかなくて、畏縮している。

本人のことが“怒ってる”とか“偉そう”とか“プライド高そう”に見えるのは、
あなた方の、心の境界線が曖昧で、心の奥底の弱い部分が反応してるからじゃない?とも思う。


とてつもなく胸の奥がもやもやしたから、その時は私が理由を聞きに行くことにした。
でも、本人的にどっちに訊かれた方が良かったのかはわからない。
ああいう時、本人の無意識の中で、意地悪な人達に対する“認めてもらわねば”という畏れが強ければ、苦しいまま自分自身を否定したまま意地悪な人達に迎合し続けるだろう。
だけどそれは、“より特をするための媚び”や“姑息さ”ではなくて、“生きるか死ぬかの瀬戸際でもがく姿”。
本人以外、笑って良いものではないはず。


“多数派”の言動にも、“少数派の中の多数派”の言動にも、そういう意地悪とか禍々しさを感じる事が多々あって、
“無意識に意地悪をする多数派”の中に“多数派に擬態する少数派”“多数派に擬態する少数派に擬態した別の異なる少数派”が混ざっていたりして、
皆、自分とは異なる生態の症状を“未熟”とか“甘え”と思い込んでいるのだと思う。
自らが自分より大きなものに迎合してる事にも無自覚だったり。

自分の中で嫌悪感がブワッと膨らむ瞬間だな。

意地悪は、
“多数派”もやるし、
“少数派の中の多数派”もやるし、
“少数派の中の少数派”もやる。
皆やらかす可能性があるし、
やらかしている。
支援者も皆同じ。
もちろん私自身もやってる。

皆“自分の身を守るため”にやっているんだと思ってる。
皆、裸で、情けなくて、か弱い人間。

“自分が先に経験してるから”、“自分は乗り越えたから”、“自分はできたから”、“皆やればできるから”という無意識の慢心やら無知やらが邪魔をして、
“相手の手順やペースを無視した一方的で杜撰な配慮・アドバイス”が発生してしまう。

私は、
“私にはそう見える”をただ、
“置いておく”だけにした。
誰を変えられるとも思わない。
いつか誰かにとって自己を受け入れるための足掛かりになればラッキー。
過去の自分にモテたいがために綴っている。
良薬は口にうまし、がいい。


これを書きながら、ふいに『すばらしき世界』で役所さん扮する主人公が自分の中の“荒くれ”を抑え込んで周りに迎合するシーンを思い出していた。

私の中にもあの主人公がいる。
確実にいる。
墨が入ってないだけ。
人を拳で殴っていないだけ。




大仰型の彼女にも“やる気のあるフリ”があった。

“やる気のあるフリ”におまけでくっついてくる周囲からの見当違いの気持ちの悪い勘繰りの存在も、私は知ってる。


“上の立場に立たせていただいて…”のような言い回しまである世界では、
“やる気のあるふり”“上に立ちたいふり”をしなければ価値のない人間とされる。
そこに“皆やりたくなくても頑張ってるのに”まで加算されると、“思いやりがない”とか“人でなし”の自己イメージまでくっついてくる。


生きるために必要だった不本意な“フリ”に耐えきれず、実力も足りないから、「もっと向いてる人がいる」「上に立ちたくない」という本心を伝えてやめようとした時、
“根性がないだけだ”“言い訳だ”“負け惜しみだ”という反応が漏れ聞こえてくるのがただただ気持ち悪い。


ドラマとか漫画で見たことある強姦魔の、
「本当は好きなんだろう?」「君も楽しんでいたじゃないか」
「もっと欲しいと言えないのはプライドかい?」
っていう、あれと同等の気持ち悪さがある。


私が“感じてきた”世界とは、そんな世界。

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