良い睡眠って?

2020年、新型コロナウイルス流行。
全世界での感染者数は500万人を超えました。
 日本において、新しく確認される感染者数は減少傾向。先日、緊急事態宣言が解除され、私の身近なところでも、人通り、車通りが増え、街も賑わいを取り戻しつつあるように感じます。
しかし、第2波が冬を待たずして、早期到来する可能性もあり、まだまだ予断の許さない状況です。
 そんな中、今、私たちにできることは一人ひとりが感染予防意識を高く持つこと。マスクの着用、手洗い、うがい、3密を避ける、ソーシャルディスタンスの確保。さらには食事や睡眠、ストレス対策による免疫機能の賦活。人へうつさない、人からうつされない、感染してもしっかりと対抗できる体調を整えておく。一人ひとりが意識を高く持つことで、結果的にみなが協力し、助け合いながら、この世情を乗り越えていけると信じています。

このような世情を乗り越える何かお力になればと、今回は“睡眠”について記載させていただこうと思います。睡眠は免疫機能を活発化してくれるほかに、心身の疲労回復、ホルモンバランスを整えるなど、私たちの土台を作ってくれています。
 しかし、高ストレス社会、24時間社会で、睡眠が満足にとりづらい時代になってきました。日本は世界各国と比較して、韓国に次ぐ第2位の短さ。また日本国内で過去と比較しても、年々睡眠時間は短くなってきている。睡眠不足や日中の眠気による経済損失は15兆円とも言われています。
 さらには昨今の新型コロナウイルスのパンデミック。新しい生活様式の構築が求められる今だからこそ、“睡眠”について見直してみるのはいかがでしょうか。

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睡眠には免疫力の増強、心身の疲労回復、ホルモンの分泌、記憶の再整理、老廃物の除去、細胞の新陳代謝、ストレスの緩和などの役割があると言われています。

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出典:https://www.nishikawa-living.co.jp/lse/comfortable_sleep/


 例えば、睡眠において重要なホルモンで知られる成長ホルモンは睡眠時に分泌されますし、記憶においては記憶の定着のほか、嫌な記憶の消去は睡眠時に行われています。老廃物は体だけでなく、脳の老廃物も除去しているため、睡眠が認知症にも関係していると言われています。
 睡眠がとれていれば、これらの恩恵を得られるのかというと、必ずしもそうとは言えないようです。ホルモンが十分に分泌されなければ、免疫機能は十分に働きませんし、疲労も回復しない。嫌な記憶が消去できていないと、ストレスは緩和されないでしょう。このように、副交感神経をしっかりと働かせ、いい睡眠がとれていなければ、いい休息とならない、睡眠における恩恵は受けられないのです。


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出典:https://www.nishikawa-living.co.jp/lse/comfortable_sleep/

 眠っている間にレム睡眠、ノンレム睡眠が繰り返されています。レム睡眠は体が休み、脳は働いている。ノンレム睡眠は体も脳も休まっている状態。深部体温は下げながら、入眠し、はじめのノンレム睡眠が深く長い。2回目以降は浅く、短くなっていく。レム睡眠とノンレム睡眠の間隔は次第に縮まり、深部体温を上げて覚醒の準備を始めていく。つまり、はじめのノンレム睡眠をより深くすることが、その日の睡眠の質を高めるカギになるのです。
睡眠に関連する2つの脳内伝達物質を紹介します。


1つ目は「メラトニン」アミノ酸の一種、トリプトファンから生合成されます。目覚めて、光を浴びてから14時間後から分泌が開始し、その2時間後には分泌量は100倍以上に増加し、眠気が生じます。余談になりますが、1日は24時間ですが、人の体内時計(サーカディアンリズム)は24.2時間といわれ、0.2時間ズレています。このズレを修正してくれるのが、「太陽の光」といわれています。

2つ目の脳内伝達物質は「オレキシン」です。睡眠と覚醒のスイッチの役割を担っていると考えられていて、オレキシンが活性化していると覚醒し、オレキシンの働きが落ち着いていると眠気が生じます。またオレキシンの語源は「オレキシア」ギリシャ語で食欲を意味し、食欲が満たされると、オレキシンの働きが落ち着き、眠気が来る。昼食後の眠気はオレキシンの働きが関連しているのかもしれません。


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出典:https://mezame-project.jp/reality/

 日本人は睡眠時間が短い。つまりは睡眠の質も確保できていない可能性が高い。睡眠が十分にとれないことで、“睡眠負債”がたまっていきます。これらがたまっていくと、健康面に影響を及ぼします。インスリンの分泌が悪化することで“糖尿病”、食欲が増加し“”肥満“、交感神経優位の状態が続くため“高血圧”となり、また自律神経もアンバランスとなるため“精神状態も不安定”になります。そして、脳の老廃物除去が不十分となり、かつ脳の休息が不足するため“認知症”になりやすいともいわれています。近々、どれもよく聞く疾病ですが、これらの疾病が増加傾向にある要因の一つに、睡眠が関連しているように思います。


 睡眠負債を返済することは非常に難しい。週末の寝だめなど、一時的に長時間睡眠をとることは返済になりません。睡眠リズムを一度崩すことになるので、それ以降の睡眠に支障をきたすためです。

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では、どうすればいいのか?
睡眠がとりづらい現代社会。睡眠負債を貯めずに、質の高い睡眠をとり、恩恵を受けるためには。それは入眠直後のはじめのノンレム睡眠で、深く、長い睡眠をとることです。そのための方法をいくつか紹介したいと思います。

 人は深部体温を下げて、睡眠の準備をします。深部体温には一つ特徴があり、上がった分だけ、下げようとする働きがあり、これを利用します。

 1つ目は入眠前の入浴で深部体温を高めます。こうすることで、しっかりと深部体温が下がり、眠気が生じてくるでしょう。ここでポイントは手足を露出させてあげることです。乳幼児が眠たくなると、手足が熱くなると聞いたことがあるでしょうか?これは手足から熱を放散し、深部体温を下げているのです。手足を覆ってしまうと、熱が逃げず、深部体温が下がらず、なかなか眠れなくなります。冷え性などで、どうしても必要な場合は、眠るときには手足を露出するようにしてください。

 2つ目は脳がポイントです。簡単にいいますと、脳を使わないようにすることです。睡眠前のスマートフォンが良くないと言われていますが、その理由はスマートフォンの光と操作することで“脳を使う”ことが睡眠を妨げると言われています。睡眠前は決まったリズムで決まった時間に眠りにつく、ルーチン化させることで脳を極力使わずに睡眠モードに切り替えていくとよいでしょう。夕食は摂りましょう。夕食を摂らないと、オレキシンが活性化するため、目が覚めやすくなります。

しっかりと目覚めること、心身に朝を迎えたことをしっかり伝えることも、その日の睡眠に影響します。睡眠は朝目覚めた時から始まっているのかもしれません。


 最後にしっかり覚醒する方法を書いて終わりにしたいと思います。
朝の光を全身に浴び、体、そして脳に覚醒したことをお知らせし、体内時計のズレを修正します。朝食をとって、しっかり栄養を摂り、深部体温を上昇。裸足で活動することも、深部体温上昇のお手伝いをしてくれます。水で手洗いなどもよいと思います。私もよくする朝シャン、朝風呂はシャワーにとどめましょう。深部体温を高めてしまうと、また眠気がやってきます。

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 いかがでしたでしょうか。誰もが必要とする睡眠、人生の1/3を占める睡眠。だからこそ大切にして、残りの2/3で皆さんの“らしさ”を発揮し、よりよい人生になることを願っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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