AIの創造性を引き出す秘訣『クリエイティブプロンプト』の活用!
今回は、創造的なプロンプトエンジニアリングを行うためについてを述べたいと思います。
ChatGPTなどのAI言語モデルは、一般的に、「プロンプトは具体的に書いた方がよい」と言われます。これはOpenAI社のマニュアルにも、そのようにあります。
確かに、プロンプトを具体的にすると、自分の期待する回答が生成できる確率があがります。しかし、このように具体的にしてしまうと、AIの創造性が下がってしまうというデメリットがあります。
逆説的ですが、ChatGPTなどのAIを創造的に使うには、プロンプトは具体的に用いるのではなく、抽象的に用いた方がよいのです。この抽象的なプロンプト指示を、本論では「クリエイティブプロンプト(抽象プロンプト)」と呼ぶこととします。それに対して、具体的に指示して回答を固定するのを「フィクスプロンプト(具象プロンプト)」と呼ぶこととします。
プロンプトエンジニアリングの初心者は、まず「フィクスプロンプト」を使って、AIに制限をかけることで、自分の求める回答を引き出すことを学ぶのがよいでしょう。それが出来た上で、AIと人間の創造性を引き出すのが「クリエイティブプロンプト」となります。
※本論は中級者向けに書いております
クリエイティブプロンプトの実例
概念的な話をすると分かりにくいので、いきなり実例から述べます。
私が作った『AI共創イノベーター』と言うGPTsアプリを作るGPTsアプリがあります。このアプリでは、同じプロンプトでも、毎回違う機能のアプリができるようになっています。
例えば、こんな感じです。
一回のプロンプト指示で、上記の画像のようなプロンプトエンジニアリングを自動的に行ってくれます。
この上記の「#基本設定」と「#工程」というセクションは毎回、必ず生成するように私がプロンプト設計しています。その中間のいくつかのセクションはChatGPTが自律的にセクションを形成するようにしてあります。この中間セクションの部分は具体的に指示せずに、抽象的にプロンプトが組まれているため、これが本論で言うクリエイティブプロンプトとなります。
このように抽象的なプロンプト設計にしておくと、ChatGPTは自律的に推論し、ユーザーからの指示を柔軟に対応するようになります。ここのセクションの項目を具体的に固定してしまうと、柔軟でクリエティブな反応ができないのです。
以下は以前にもあげた動画です。
ここと比較すると分かりますが、基本設定と工程は同じ名称ですが、中間のセクション名は前述の画像とは違いますよね。このような部分がクリエイティブプロンプトとなります。
クリエイティブプロンプトの構造
プロンプトを抽象的に出すと、回答にゆらぎがおこり、偶発性によって創造的な回答が生成されます。クリエイティブプロンプトの構造は、この抽象性と想像性(イマジネーション)にある、と言うのがこの項で述べるお話です。
例えば、「リンゴとバナナがテーブルに置いてあるイラストを描いて」と指示すると、ChatGPT・DALLE3はちゃんと、その通りのイラストを描いてくれます。これが回答を固定する「フィクスプロンプト」です。
しかし、「フルーツのイラストを描いて」と言うだけだと、どのようなフルーツが描かれるかはわかりません。
このようにすると、自分が思いもつかないフルーツのイラストができあがる可能性があります。これを本論では、「拡張的創造性(Extended creativity)」と呼びます。
更に、「不思議なフルーツのイラストを描いて」とすると、更に予期しないイラストができます。
ここの「不思議な」と言う修飾語がAIにイマジネーションを与える部分です。この部分は「創造的な」とか「神秘的な」でも構いません。そうすると、自分では思いもつかないような情報が生成されます。
拡張的創造性(Extended creativity)
AIの能力の一つは推論です。この推論によって人間の創造性が拡張される、これを本論では、「拡張的創造性(Extended creativity)」と呼びます。
これまで、AI共創学では、人間のコアコンセプトとAIの能力を創発させ、新たなものを創造することを述べてきました。そうすることで、生成情報は進化しますが(情報進化)、人間の創造性も、それによって拡張されていきます。これが拡張的創造性であり、情報進化と共に拡張され、人間とAIは共進化します。
以下、ChatGPTによる拡張的創造性(Extended creativity)の説明ですが、これはクリエイティブプロンプトを用いています(「例はリンゴにして」とだけの指示であり、自律的にAIに考えさせています)。
ショートプロンプトと創造性
もう一つ、AIの創造性を上げるには、プロンプトを長文にするのではなく、短文にすることです。そのために、プロンプトエンジニアは、抽象的に要約する力が必要です。これは理系よりも文系が有利な作業かもしれません。
短文にすると創造性が上がる理由は、ユーザーの説明不足をAIは推論で補おうとするからです。そこにAIが持つ創造性が引き出されるわけです。しかし、そこはAIの性能にも依存するので、どのAIを用いるかにもよります。
この創造性・柔軟性が最も高いのがChatGPTです。Bardは現在、Geminiとなりアップデートされましたが、私の主観では、ChatGPTの方が上です。
この短文を本論ではショートプロンプト、長文をロングプロンプトと呼ぶこととします。長文にすると、説明が詳細になりますので、フィクスプロンプトになります。短文ですと、前述したようにAIの推論が働くのでクリエイティブプロンプトになります。
前述の例で、「例はリンゴにして」とだけの短いプロンプトで文脈を推論させていくのがショートプロンプトであり、クリエイティブプロンプトです。
ちなみに、これはショートプロンプトの例です。
創造的なのは、私が指示しなくても「Good Afternoon!」「Good Evening」と入れてくれているところです。この文字入れは、ChatGPTがある時、自律的にやりだしました(GPTsの中にも指示プロンプトは入れていない)。
ここには他のテクニックも入っていますが、機会があれば、また述べたいと思います。
以下、ChatGPTによる説明です。
クリエイティブプロンプトとフィクスプロンプトは、AIとの対話や共創プロセスにおけるプロンプトの提供方法に関する二つの重要な概念です。これらは、AIの潜在能力を活用する方法として、それぞれ異なるアプローチを提供します。
まとめ
それでは、以下まとめとなります。
クリエイティブプロンプトまとめ
クリエイティブプロンプトは、短文で抽象的な指示を用い、ユーザーのイマジネーションを拡張するような修飾語を活用するプロンプトの提供方法です。このアプローチは、AIに広範な解釈の余地を与え、未探索のアイデアやソリューションを生成させることを目的としています。クリエイティブプロンプトは、AIの創造性を刺激し、人間側の創造的な思考も拡張する効果があります。
フィクスプロンプトまとめ
フィクスプロンプトは、長文で詳細かつ具体的な指示を含むプロンプトの提供方法です。このアプローチは、ユーザーが期待する特定の回答や結果をAIに求める際に有効で、AIの応答を限定した範囲内で制御します。フィクスプロンプトを用いることで、ユーザーの具体的な要求に応えるAIの出力を得ることが可能ですが、AIの創造性を大きく引き出すことは少ないです。
使用する場面
フィクスプロンプトとクリエイティブプロンプトの選択は、ユーザーの目的や求めるアウトプットの性質に依存します。具体的な情報や回答が必要な場合はフィクスプロンプトが、新しいアイデアや創造的な解決策を求める場合はクリエイティブプロンプトが適しています。
初心者にとっては、まずフィクスプロンプトの理解と習得から始めることが推奨されます。これにより、AIとの対話の基本を学び、プロンプトの効果的な提供方法を身につけることができます。その後、クリエイティブプロンプトへと進むことで、AIの創造的な可能性を探求し、より広範なアウトプットを経験することが可能になります。
どちらのプロンプトも、AIを活用する上で重要なツールであり、それぞれの特性を理解し、適切に使用することが、AIとの共創プロセスを豊かにする鍵となります。
それでは、また。
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