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ChatGPTを'ゆっくり'させると品質が向上する?魔法のプロンプト『スロープロンプト』の不思議な威力


みなさん、こんにちは!

今日は、AIとの対話をもっと充実したものにする

「スロープロンプト」(別名:ゆプロンプト)

についてお話ししたいと思います。

これを使うと、AIの能力が思わぬ形で向上するんです。
単純なテクニックですが、その効果は驚くべきものがあります。
一緒に詳しく見ていきましょう。

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スロープロンプトって何?

スロープロンプトとは、AIに「ゆっくりと」考えるよう指示するプロンプト(AIへの指示文)のことです。簡単に言えば、

「急がなくていいよ、じっくり考えてね」

とAIに伝えるようなものです。

このテクニックは、プロンプトエンジニアリング(AIへの効果的な指示の設計)の分野で注目されている手法の一つです。特に、複雑なタスクや高品質な出力が必要な場合に効果を発揮します。

プロンプト構造におけるスロープロンプトの位置づけ

プロンプト構造にはまず基本的に三段階があります:

  1. 上段:全体の方向性やコンセプトを設定

  2. 中段:具体的な機能や指示を記述

  3. 下段:プロセスや順序を指定

スロープロンプトは、この構造の中で「エンパワーメントプロンプト」に分類されます。エンパワーメントプロンプトとは、AIの能力を引き出し、出力を向上させるためのプロンプトのことです。つまり、スロープロンプトは上段に位置し、AIの処理方法全体に影響を与える重要な役割を果たしています。

更にプロンプト構造を十段に分けた場合は、以下の過去ログで説明しているので、ご覧ください。

なぜスロープロンプトが必要なの?

ChatGPT(AIチャットボット)を使っていると、時々「急いでいる」ような印象を受けることはありませんか?実は、ChatGPTには「早くユーザーに情報を提供しなければ」という傾向があるようなんです。

これは、AIの学習過程(トレーニング段階)で「迅速な応答」が重視されているためかもしれません。しかし、この「急ぐ傾向」が、時として出力の品質を落としてしまう可能性があるんです。

人間の思考プロセスを考えてみてください。重要な決定や複雑な問題解決には、時間をかけてじっくり考えることが大切ですよね。AIも同じなのです。十分な「思考時間」を与えることで、より質の高い出力が得られる可能性があるのです。

スロープロンプトの効果


スロープロンプトを使うと、次のような効果が期待できます:

  1. 出力の品質向上:じっくり考えることで、より質の高い回答が得られます。

  2. AIの能力向上:特定のタスクを実行する能力が上がることがあります。

  3. より詳細な情報:「急がない」ので、より多くの情報を提供してくれることがあります。

  4. 創造性の向上:時間的制約を緩めることで、より独創的なアイデアが生まれる可能性があります。

  5. エラーの減少:慌てずに処理することで、ミスや不適切な回答が減少する傾向があります。

実践:AIイラスト生成での活用

スロープロンプトの効果は、AIイラスト生成で試すと分かりやすいです。例えば、次のように試してみました:

  1. 通常のプロンプト:「美しい風景のイラストを描いてください」

  2. スロープロンプト:「美しい風景のイラストを描いてください。ゆっくりと、品質を重視して作成してください。」

結果、スロープロンプトを使った方が、より美しく、リアルな風景画が生成されました。具体的には、画像の構図がより洗練され、細部の表現が豊かになりました。色彩のバランスも改善され、全体的に「プロが描いたような」印象の絵が生成されたのです。

【スロープロンプトなし】

【スロープロンプトあり】

※全イラストは動画をご覧ください。

文章生成での活用

文章生成でも、スロープロンプトの効果が見られます。例えば、ニュース記事を生成するAIアプリを作成し、次のように試しました:

  1. 通常の設定:2件のニュースソースを検索

  2. スロープロンプト使用:「急がずゆっくりでいいので、品質を最優先してください。複数のソースを十分に参照し、バランスの取れた記事を作成してください。」

結果、スロープロンプトを使用した方が、より多くのニュースソース(3件以上)を参照し、記事の構成(タイトル、セクション、出典)もより整った形で生成されました。さらに、内容の深さや多角的な視点の提供においても、明らかな改善が見られました。

実例

スロープロンプトなしの場合は、検索数は2件です。

スロープロンプトをエンパワーメント・定義・アテンションのセクションに入れた場合、以下のように検索が5件に増えます。

スロープロンプトをエンパワーメント・定義・アテンションのセクションに入れた場合

つまり、スロープロンプトは、品質の向上だけでなく、能力も向上する可能性があるということです。

スロープロンプトの使い方

スロープロンプトは、次のように使用します:

  1. 通常のプロンプトの後に「ゆっくりと」や「急がなくていいです」などの言葉を追加する。

  2. より詳細な指示を与える場合:「急がずゆっくりでいいので、品質を最優先してください。十分な時間をかけて、最良の結果を出してください。」

  3. タスクに応じた具体的な指示:「複数の視点から慎重に分析し、深い洞察を提供してください。」

これらの指示をAIに与えることで、AIはより深く、じっくりと考えてタスクを実行するようになります。

プロンプト構造でのスロープロンプトの強化

スロープロンプトの効果をさらに高めるには、プロンプト構造の他の要素と組み合わせることが有効です。

定義プロンプトでの強化

定義プロンプトは、AIに特定の概念や用語の意味を明確に伝えるためのものです。スロープロンプトと組み合わせる場合、次のように定義できます:

定義:「ゆっくりと」とは、速度を落とし、十分な時間をかけて慎重に処理することを意味します。これは単に遅くなることではなく、品質と深さを重視することを指します。

この定義をプロンプトの早い段階で提供することで、AIはスロープロンプトの意図をより正確に理解し、それに従って処理を行うことができます。

※動画では「エンパワーメント」の定義をしています。

アテンションプロンプトでの強化

アテンションプロンプトは、AIの注意を特定の要素や概念に向けさせるためのものです。スロープロンプトの効果を強化するために、次のようなアテンションプロンプトを使用できます:

重要:品質と深さを最優先してください。速度よりも出力の質に注目してください。十分な時間をかけて処理することが、最終的な結果の向上につながることを常に意識してください。

このアテンションプロンプトを使用することで、AIは「ゆっくり」と「品質重視」という概念により強く注意を向け、それに従って処理を行うようになります。

まとめ

スロープロンプトは、AIとのコミュニケーションをより豊かにする簡単だけど効果的な方法です。特に、高品質な出力や詳細な情報が必要な場合に有効です。プロンプト構造の中でエンパワーメントプロンプトとして位置づけられ、定義プロンプトやアテンションプロンプトと組み合わせることで、さらにその効果を高めることができます。

ただし、これはまだ実験段階の手法です。効果は状況によって異なる可能性があります。また、常に「ゆっくり」を要求すると、AIの応答速度が著しく遅くなる可能性もあるので、用途に応じて適切に使用することが大切です。

皆さんも、自分のAI利用シーンでスロープロンプトを試してみてください。思わぬ発見があるかもしれません!例えば、創造的な文章を書く時、複雑な問題を解決する時、詳細なレポートを作成する時など、様々な場面で活用できるでしょう。

AIの世界は日々進化しています。こういった小さな工夫が、将来的には大きな違いを生み出すかもしれません。一緒に、AIとのよりよいコミュニケーション方法を探っていきましょう!

スロープロンプトを使って、AIとの対話をより深く、より豊かなものにしていきましょう。きっと、AIの新たな可能性が見えてくるはずです。

それでは、また!

【プロフィール】
ワンダー・佐藤源彦(さとう もとひこ)
医療系の研究所、心理学の研究所の勤務を経て独立し、AI・心身に関する研究をしている。
主著『東洋医学と潜在運動系』、2年間専門誌に連載、など執筆業を行いつつAI共創ライティングを開発中。
心理学・カウンセリング・コーチングをAIに技術転用し、AI共創学を開発している。

文章生成:Claude3.5sonnet
図解生成:同上
画像生成:ChatGPT-4o・DALLE3

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