【行動経済学/MBA】④ フレーミング効果/「松竹梅」のおとり効果
こんにちは、白山鳩です! クルッポゥ!
マガジン『能ある鳩はMBA② ビジネススキルで豆鉄砲』での、ビジネススキルにまつわる情報の紹介です。
前回の記事はこちらです。↓↓↓
今回の記事では、行動経済学における「フレーミング効果」という概念を見ていきます。
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フレーミング効果
フレーミング効果とは、
「同じ事柄でも、表現の仕方によって感じ方が変わる」
ことを言います。
「ものは言いよう」というのもフレーミング効果ですね。
ではここで、カーネマンの著書『ファスト&スロー』で紹介されている事例を見てみましょう。
同じことを言っているにもかかわらず、
「手術一カ月後の生存率は九〇%です」のほうが
「手術一カ月後の死亡率は一〇%です」より心強く感じる。
同様に、冷凍肉に
「九〇%無脂肪」と表示してあったら、
「脂肪含有率一〇%」よりダイエットによさそうに感じる。
両者が同じ意味であることはすぐにわかるはずだが、たいていの人は表示されている通りにしか見ない。「見たものがすべて」なのである。
ダニエル・カーネマン、村井章子訳(2014)『ファスト&スロー(上)』(ハヤカワ・ノンフィクション)
「タウリン1000mg配合!」とかもこの類です。
「タウリン1グラム配合!」じゃ、しょぼそうですからねえ……。
かといって、
「タウリン100万マイクログラム配合!」は、
さすがにやりすぎだと思ったのかもしれません。
メンタル・アカウンティング(心理会計)
さて、フレーミング効果の1つに、
「メンタル・アカウンティング」
と呼ばれるものがあります。
金勘定する際、同じ金額だったとしても、
自分の心の中で、知らず知らずのうちに「色分け」してしまう行為を指します。
例えば、同じ「千円の魚」だったとしても、
スーパーの鮮魚売り場のこの魚、千円もするのか……。
『生活費』の千円は大きいよなあ。
⇒買うのは止めておこう……。
この居酒屋の焼き魚は千円か……。
『交際費』の千円と考えると、
⇒今日はまだ贅沢しても大丈夫かな……。
と、文脈によって判断を変えてしまうわけです。
もう1つ、有名な事例として「前売り券」の例をご紹介しましょう。
頭の中で、
「あなたの大好きなアーティストのライブやスポーツの試合」
を思い描いてください。
あなたは、1万円の前売り券を買っていたのですが、
会場に着いたとき、前売り券を失くしていることに気づきました。
まもなく開場スタートです。
あなたは、もう一度、当日券を買いますか?
「買いたくない!」という人や、
「買うのに抵抗はあるけど、しぶしぶ買うよ」
という人が多いかと思います。
では、今度は別のパターンです。
1万円の前売りチケットは買っていなかったとします。
あなたは、いま、会場に到着しました。
その瞬間、
「財布の中に入れていた1万円が無くなっていた」
ことに気づいたとしたら、どうでしょう。
「盗まれたのかも……」
と、いやーな気持ちにはなるでしょう。
しかし、「入場券を買う」ことに抵抗はありますか?
「抵抗はないなあ」という人が多いのではないでしょうか。
実質、手元から無くなったのは同額の1万円なのに!
これがメンタル・アカウンティングです。
自分が行動した結果として得たものは、
心の中で違う勘定に入れてしまうため、
評価も異なってくる、というわけですね。
スーパーでは、10円単位で必死こいて半額品を探すのに、
クルマを買うときは、10万円単位のオプションに、ポんとお金を出す
という話を以前しましたが、
これにはメンタル・アカウンティングも関わっています。
人間は、心の中の財布をシチュエーションによって使いわけている、
というわけですね。
おとり効果:相対化による錯誤
フレーミング効果のその他の事例に、
「おとり効果」
というものがあります。
これは、
「ランキングにダミーを入れることで相対的な順位を変え錯覚を誘う」
というものです。
行動経済学の有名な研究者ダン・アリエリーの著書、
『予想どおりに不合理』
では、おとり効果の事例が紹介されています。
(事例)
雑誌購読の広告で、次の3つの選択肢がありました。
①web版の定期購読:59ドル
・web版の1年間の定期購読
※1997年以降の全ての記事へのオンラインアクセスが可能
②雑誌版の定期購読:125ドル
・雑誌版の1年間の定期購読
③雑誌版とweb版の両方の定期購読:125ドル
・雑誌版とweb版の両方の1年間の定期購読
※1997年以降の全ての記事へのオンラインアクセスが可能
さあ、あなたはどれを選びますか?
2番目の『雑誌版の定期購読』と、
3番目の『雑誌版とweb版の両方の定期購読』が、
同じ125ドルなんだから、
「③雑誌版とweb版の両方の定期購読」を契約したらおトクじゃーん!
と考えたあなたは、
この雑誌社の罠にはまっています。
実験をしてみると③>①>②の順で、購入する人の数は変わるそうです。
ちなみに「②」を選んだ人は0人だそうです。
そりゃそうですね。
「じゃあ②の選択肢なんて無駄じゃないか!」と思いますか?
いえいえ、そういうわけではありません。
ここで2番目の選択肢を削除して、
①と③だけを並べてみましょう。
①web版の定期購読:59ドル
③雑誌版とweb版の両方の定期購読:125ドル
これだと、多くの人は①しか買ってくれない……。
つまり雑誌社に金を払ってくれる人の数が減る、というわけです。
一見無駄に見える選択肢は、あなたを高額な選択肢へと誘い込む「おとり」かもしれないというわけです。
ご注意を……。
まとめ
さて、ここまでの内容を振り返りましょう。
【フレーミング効果】
・同じ事柄でも、表現の仕方によって感じ方が変わる
⇒「ものは言いよう」
(例)タウリン1000mg配合!
【メンタル・アカウンティング(心理会計)】
・フレーミング効果の1つ
・同じ金額だったとしても、文脈に応じて、自分の心の中で、知らず知らずのうちに「色分け」してしまう行為
(例)「前売り券」
・前売り券を無くした⇒当日券をもう1度買うのは、なんか嫌だ……
・1万円札を無くした⇒当日券を買うのは、別の話に感じる
【おとり効果:相対化による錯誤】
・フレーミング効果の1つ
・ランキングにダミーを入れることで相対的な順位を変え錯覚を誘う
(例)雑誌購読の広告
①web版の定期購読:59ドル
②雑誌版の定期購読:125ドル
③雑誌版とweb版の両方の定期購読:125ドル
⇒「③雑誌版とweb版の両方の定期購読」を選んでしまう!
次回の記事では、
行動経済学における「ナッジ理論」
という概念について触れていきます。
お楽しみに。
to be continued...
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