文系博士課程後期課程2:指導教授を探す
博士課程後期課程のへの進学目的が何であるにしても、少なくとも三年間は研究に集中することになるわけですから、指導教授が進学希望者の研究内容について理解をして効果的な指導を行うことができること。このことは指導教授を探す場合に、必須の要件です。病気になった時に、名医を探したいという気持ちを患者はきっと持つはずですが、これと同じような気持ちで名指導教授を探すことが大切です。このことは、博士学位の取得だけでなく、将来研究者としての就職や転職を目指す場合には、さらに重要になります。指導教授の個性もそれぞれであり、博士学位取得の指導が終われば、あとは自己責任でやりなさいというスタンスの先生方も少なくありませんが、このケースでは、正直、院生は将来決定的に後悔をすることになると思います。
文系の博士後期課程研究室は落語や相撲の一門と似通った側面があります。指導教授は師匠であり、院生たちは弟子。研究室の先輩や後輩はそれぞれ、兄弟子・弟弟子と称されますし、指導教授の弟子に弟子ができれば、それは孫弟子となります。私にも孫弟子が一人います。この方は実務経験も有される公認会計士です。師匠と弟子の関係には、少々、人的な信頼関係が横たわることになります。こうした師匠と弟子という関係で、研究室を運営される指導教授の多くは、弟子の将来について相当の責任を背負って指導や就職の面倒を見ることが多いと思います。なので、一門と称されるほど多くの院生が集まるわけです。こうした師匠は、時には弟子の失敗を背負って、各方面に謝罪といったことも行なわれます。大規模な文系大学院ゼミでは、クールな建前の関係ではなく、ウェットな人的関係が師匠と弟子の間に存在することになります。
しかしながら、こうしたウェットな人的関係を好まない院生も多いと思います。しかし、就職や転職ではウェットな指導も受けたい。これも人情です。そのような場合には、院生やOBOGができるだけ多い指導教授を探し出すことが有用だと考えます。ウェットな関係もメンバーが多くなれば、個々人のレベルでのウェットさは薄まります。また、先輩同輩後輩が多いということは、相互に刺激を受けつつ、情報の共有や研究の内外に関する相談なども可能になることを意味します。文系研究者は一般的にごく少数の大学院ゼミに所属されて、非常に少人数の環境で研究を進めることになりますが、これには大きなデメリットがあると考えます。大きな研究室に所属して、隣接諸科学から刺激を受けること、また、自分の研究や学会の流儀以外にも、流儀はあるということを理解しているかどうかで、将来研究者等となった場合に、職場の同僚との関係を上手く形成できるか否かが分かれるとさえ考えられます。
指導教授は大きなゼミの先生で、師匠になってくれそうな先生を探す。なかなかに大変なことですが、この成否はあなたの研究者としての将来に大きな影響を及ぼすと思われます。師匠を訪ねれて〇千里です。
(2022/06/26)