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断酒の歓びを実感した3年

断酒を始めて3年が経とうとしています。この間、私は断酒の歓びを全身で実感してきました。

まず、体調が劇的に改善しました。体重が減り、それまで悩まされていた身体の不調が次々に消えました。お酒を断つことで健康を意識するようになり、栄養のある食事を心がけ、ジョギングや筋トレを習慣化した結果、体型が変わり、20年前のズボンがまた履けるようになりました。これらの変化は、自分自身への自信と達成感をもたらしてくれました。

振り返ってみると、3年前までの私はお酒に溺れた生活を送っていました。30年以上にわたる酒浸りの日々――特に新型コロナウイルスによる在宅勤務が始まってからは飲み方がさらに酷くなり、昼夜問わず飲み続け、酔い潰れてそのまま床で寝るという荒れた自宅飲みを繰り返していました。

若い頃から外で飲むことが大好きで、仕事帰りには飲み屋をハシゴし、記憶を無くすほど飲んでいました。帰り方を覚えていないことも多く、終電を逃して駅で茫然としたり、財布や鞄、上着を失くすこともたびたびでした。そうして失ったものは数えきれません。お金、時間、健康、そして何よりも、妻や子どもからの信頼です。

そんな私が断酒を決意したきっかけは、2022年4月、自宅の前で酔い潰れたときのことです。そのときの自分の姿は、とてもここに書けるようなものではありませんでした。あまりにも惨めで、それまで見て見ぬふりをしていた現実に家族とともに向き合うしかありませんでした。

断酒を始めた当初は不安もありましたが、今では心身ともに健康を取り戻し、もう一生お酒を飲まない人生を送る覚悟ができています。それでも、ときには心が揺らぐ瞬間があります。例えば、おいしそうにビールを飲む人を見たり、雰囲気の良いバーを通り過ぎたりすると、「また飲めるようになったらどんなに良いだろう」と思うことがあります。さらには、「今なら適度に飲めるかもしれない」と都合の良い幻想を抱くことも。

そんなとき、断酒会で聞いた先輩方の再飲酒の恐ろしい経験談が思い出されます。せっかくここまで続けてきた断酒を、自分の甘さで台無しにしたくない――その気持ちが私を踏みとどまらせてくれます。

3年間の断酒で健康は取り戻せましたが、飲んでいた間に失った時間やお金、物は戻りません。そして、家族からの信頼を完全に取り戻すには、まだまだ時間がかかります。それでも、私はこの断酒の道を楽しんで歩んでいきたいと思っています。断酒を通じて得た歓びと手応えを胸に、これからもこの道を力強く歩んでいきます。

(断酒会の会報誌に寄稿したものです)

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