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難しい曲とは
ピアノを聞いた時に、「ああ、難しそうだな」と思ったことはないでしょうか。それはどのような曲の時だったでしょうか。ほとんどの方が、音が多くて、テンポが速い曲の時だと思います。実は、ピアノにおいて難しい曲というのは、それだけではないのです。今回は、難しい曲について紹介します。
難しいには、技術的に難しいと、表現的に難しいの二つがあると考えています。
まず、技術的に難しいとは、先ほども述べたように、音数が多い、テンポが速いといったことです。細かく見ると、
・和音が沢山あって手で一気につかむのが難しい。
・手が小さく書いてある音が届かない
・和音ばかりな上に手の移動が多く、外しやすい。
・単音(一つの音)だけれども、素早く弾かなければならない。(同音連打やラ・カンパネラをイメージしていただきたい)
・単純に求められる曲のテンポが速い
などが挙げられます。これらは、指が上手く動かなかったり、手が小さいことなどが原因であると考えられます。ピアノが上手くなりたい人々は、手をマッサージして大きく開くようにしたり、テンポを落として繰り返し練習することを何ヶ月も続けることで克服しようとするのです。
一方、表現的に難しいとは、その曲をどう表現するのかが難しいということです。表現と一言にいってもその中身は複雑です。強弱一つとっても、程度、変化の速度、変化の範囲などについて考える必要があります。もちろん強弱だけではなく、テンポであったり、音と音の繋がりや、メロディとベース、それ以外の音のバランスなどについても考えなくてはいけません。さらに、元となる曲、つまり交響曲などをピアノに編曲したものであれば、その音が元はどの楽器であったのかまで研究し、その楽器の音をイメージして弾かなければなりません。これらのことは楽譜を研究することで分かることですが、それ以上に表現をしなければならないことがあります。より情熱的に、より悲愴的に、より幻想的に演奏するためには、音色を変えたり、音の出ている位置のイメージを変えたりする必要があります。音数が少なくなればなるほど、その音に対する重要度が高まり、単調な印象を持たせてはいけないというプレッシャーが演奏者に与えられてしまいます。
このように、難しい曲というのは、激しい曲だけではなく、むしろ音数が少なく、ゆっくりな曲ほどどう弾くのかという演奏者の技術が問われることから、様々な曲が当てはまると言えます。もちろん、技術的に難しい曲が弾けることも素晴らしいですが、ピアノの表現的な面も評価されると良いなと思います。
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