世界室内2022感想 その1
陸上コーチのMBです。
セルビアのベオグラードで行われていた世界室内陸上が閉幕した。3つの世界記録が出た。
世界室内記録
男子60mハードル Grant HOLLOWAY
Grant Holloway runs 7.29 (=WiR) & 7.39 for 60m hurdles
準決勝で自身の持つ世界記録に並ぶ7秒29をマーク。スプリントハードルのトップ選手は1台目のアプローチが8歩から7歩が主流になる中、7歩に一切見えない刻みっぷりに驚いた。あれだけの差を60mで差をつけるのだから110mではどれだけの差をつけるのだろうか。今シーズンはAries MERRITTが持つ12秒80を更新する可能性がありそうだ。個人的には十種競技にも一度チャレンジしてみてほしい。初回で8500点は超えそうだ。
男子棒高跳 Armand DUPLANTIS
6.20M ‼️ MONDO DUPLANTIS BREAKS WORLD POLE VAULT RECORD
6m18の世界新(室内)を更新した後6m19を更新するのに、54回の挑戦があったが、6m20を更新するまでにはわずか2週間足らず。跳躍高からすると、まだ上は狙えるのではないか。一体どのくらいのポールを使っているか聞いてみたいものだ。屋外シーズンでは条件が安定しないが、そちらの世界記録挑戦も楽しみだ。
女子三段跳び Yulimar ROJAS
15.74m! WORLD TRIPLE JUMP RECORD FOR ROJAS
ロハスは昨年更新した自身世界記録7cm更新する15m74。身長192cmで長い手足を生かしたダイナミックな助走が魅力。2017年のロンドン世陸で見た時には、未完成の跳躍ながら圧倒的なポテンシャルを見せつけていた。年々、助走の動きが良くなってきたと思っている。最初の6歩以降力強く振る腕振りでの加速が良くなり最後まで走り込んできているように見える。
本人も「私は16mを跳ぶために生まれてきた」と言っているが、正直、16mはあっさりと飛び越えてしまうのではないかと思っている。
世界室内2022サイトまとめ
MBの気づき
①短距離厚底スパイク
昨年から長距離に遅れること4年で短距離でも厚底スパイクが登場した。東京五輪でも多くの選手が着用していた厚底シューズが今大会ではざっとみた感じ80-90%近い割合で増えていたように感じた。(あくまでもMBの目視である)
道具に合わせて人間の体力、技術を進化させていくことも必要だ。まさに棒高跳びや槍投げも道具が変わることによって使われる技術は変わってきている。
今後長距離同様、厚底スパイクが主流になりそうな気がする。今年のオレゴン世界選手権ではどうなっているか見どころの一つになりそうだ。
②走幅跳と三段跳のファール判定装置
これまで走幅跳や三段跳のファールを判定する白旗、赤旗は踏切版の前に審判がいて跳躍後に目視で確認をしていた。また、選手権クラスの大会ではファールゾーンを粘土板を利用し、際どい跳躍の際には跡が残っているか確認をする形だった。
しかし、今大会は踏切板の前に審判はおらず、その代わりにカメラを設置して、ファールの有無を確認し際どい時には選手がモニターで確認できる形に変更されていた。また、白赤の旗の代わりに棒のようなものが置かれてノーファールの場合は「青」のランプが、ファールの場合は「赤」のランプが点灯し、わかるようにしてあった。
個人的には、今回の変更は良いことだと思う。なぜなら、踏切板の位置に審判がいると、圧迫感があるように感じる。また、たまにファールかどうか際どい時に悩む審判がいるので、動画に残しておくことで正しく判定できる。とはいえ、このシステムは国際大会等では適応できても、全ての競技会に実用されるのはまだまだ先になりそうだ。
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