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【今更聞く!】人工呼吸器って何!?①

皆さんこんにちは!

世間的には大分コロナウイルスも落ち着いてきた様子がありますが、
皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
ご無事ですか?

このコロナショックの影響で知名度が上がったものの一つが「人工呼吸器」だと思います。
皆さんも明日は我が身。いつ使うことになるか分かりませんよね。

今回はそんな人工呼吸器について、
まずは歴史から、そして仕組みとかを説明していって、 最後には謎のアルファベットの数々についてお伝えして終わりにしたいと思います。

後半に行くにつれてマニアックな内容になるので、看護師試験を受けるとかそういう訳でなければ途中で読むのをやめて頂いても構いません。

人工呼吸器を使う上での注意点とか患者のケアとかそういう知識も大事だと思うのですが、そこまで学ぶモチベーションが現在なかったことと、今の僕にとっては必要のない知識だったため今回は割愛します。すみません。
ここら辺の情報は調べればすぐに出てくると思います。


このブログでは、こんな感じで僕が気になったことを調べて皆さんに紹介しています。
興味が沸いたら他の記事も覗いてみてください!


歴史

では早速堅苦しいところから解説していきます。

こんなの知っていてもクソの役にも立たないので、「へぇーそうなんだなー」と読み物程度に読んでください。(元々読み物程度だけど)


発祥ですが、これは1928年のアメリカだと言われています。

当時のアメリカでは「ポリオウイルス」と言うウイルスが猛威を奮っていました。
どうやらポリオにかかると呼吸するために動かす筋肉が動かなくなるらしいんですよね。
それで息が出来なくなる人が続出!!
これはイカンということで、人工的に無理やり肺を動かす方法が模索され始めました。


・・・

なんだか似たような話を聞いたことがありますよね・・・
約100年経ち、再び新種のウイルスが人間の呼吸を侵害し始めているわけなのです。


で、
そもそもなんですけど、みなさん呼吸の仕方ってご存知ですか?
恐らく看護系に関わる人もまず最初に呼吸の仕方について教わるのではないかと思いますが、
ここで呼吸の仕組みについて解説していきましょう。


呼吸のメカニズム

ではみなさん、息を吸って、吐いてみてください。

どこに力を入れましたか?

鼻、胸、お腹、肺

などなど想像するかもしれませんが、
実は人間は直接肺を動かすことができません。

肺にくっついている筋肉がないのですね。
いくら人間が「肺を膨らませるぞ!」って思っても肺は動かないのです。

でも息を吸ったらお腹(肺)は膨らみますよね?

じゃあ誰が肺を動かしてるの??

という事ですが、そのメカニズムがこちら!

1.横隔膜を下げる
2.周りの空気が横隔膜を押す力が弱まる
3.肺が膨らむ
4.できた空間に鼻や口から空気が入り込んでくる

こんな感じです!
要するに横隔膜を動かして体内の圧を変えているのですね。
そうすることで周りから押されなくなった肺が膨らむ。結果的に肺の中に空気が入り込んでくるわけです。逆も然り。

1.横隔膜を上げる
2.周りの空気が横隔膜を押す力が強まる
3.肺が潰れる
4.肺の中に入っていた空気が外に押し出される

この時、肺とつながっているのが口とか鼻だけってのも味噌ですね。
直接体外に空気が出ていくことになるのです。


ちょっと細かい話になりますが、
↑の例は厳密には「外呼吸」と呼ばれます。
呼吸の中にはもう一つ「内呼吸」と呼ばれるものもあって、
そちらは人間の体内での酸素のやり取りを言うそうです。


世界最初の人工呼吸器

というわけで、皆さんはもうどうすれば人の体に空気が入って、そして出ていくのか完璧に理解できたと思います。

どうでもいいですが、「肺に空気が入る」ってダジャレみたいですね

そう。
要は周りの空気の圧力を上げ下げすればいいわけです。

てな考え方でできた世界初の人工呼吸器がこちら!

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な!なんじゃこりゃー!!!(一同驚愕

こちら、アメリカで開発された「鉄の肺」と呼ばれる人工呼吸器です。
筒の中に入った患者に対して気圧を上げ下げすることで肺を膨らませたり、萎ませたりして呼吸させます。

皆さんお察しの通り、
でかい!高い!!使われない!!!

どうやらそんなに流行ることがなかったようで・・・
もっと現実的な物じゃないと駄目なんですね・・・


ちなみに、このような仕組みの呼吸器を
「陰圧式呼吸器」と呼んでいます。
より人間の呼吸のメカニズムに近い形ですね。


一方で、陽圧式呼吸器と呼ばれるものもあります。

そちらはもっと直観的で、
外から空気を無理やり肺に押し込む
という仕組みです。
多分皆さんが想像するような仕組みだと思います。

陽圧式登場

時は過ぎ、1950年代初頭
今度はスカンディナヴィア周辺でポリオが流行り始めました。

(あと30年したらまたコロナも流行るのでしょうか・・・?)

またしても需要が高まる人工呼吸器。

しかしここで問題が発生します!

アメリカで開発された「鉄の肺」の導入が現実的ではなかったのです!
なんてったって

デカい!高い!!特許料取られる!!!

やってられっか!!!!
こんなんだったら直接喉切り開いて管突っ込んで空気送り込んだ方が早いわ!!!

こうした考えの元、作られたのが上記でも説明した「陽圧式人工呼吸器」です。

仕組みはとっても簡単。患者の喉を切って、そこに管を入れ、その管にポンプから空気を送り込むだけ。
非常に直観的!
しかも確実に空気を送れるし、でかい装置に身体を入れるとかそういう面倒なことをしなくて済むので致死率も下がったそうです!
(喉切っちゃうから声出なくなるけどね!!!)


最終的にはデカくて高いから量産できない陰圧式よりも手術とちょっとの機械だけで運用できる陽圧式の方が普及していきました。

現在ではそもそも手術すら必要のないマスクタイプも登場しています。

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コロナにかかったら皆さんが使うのはこれですね!


まとめます

では、役者が揃ったところで2種類の人工呼吸器をまとめてみましょう。

○陽圧式
・外から空気を送り込む形式
・無理やり空気を入れられるので違和感がある。
・外から空気が突っ込んでくるので肺に負担がかかる。

手術が必要なくなったり、入れる空気の量を調整する機能も追加され、どんどんデメリットが小さくなってきてます。


○陰圧式
・人体の気圧を変えることでより呼吸に近い形で空気が送り込まれる。
・規模がでかくなりがち
・使える場所も限られる。

最近では腹巻きサイズまで小さくなってるみたいです。
夜間無呼吸症候群の人とかは寝てる間に使ってるみたいですね。


このような感じになってます。

現在では陽圧式が主流となっているため、今後この記事では陽圧式についてのみ記述していきます。(陰圧式まで調べるのは面倒くさかった


余談なんですが、
一度僕もお試しで呼吸器を付けてみたことがあります。

マスクをつけて数回息をすると、その呼吸状態から機械が適切な空気量を送ってくれるらしいです。
と言っても、普通に安定した呼吸ができているので機械の方も大分困ったと思いますが(笑)

んで、計測後に空気が送られてくるのですが、一番最初はかなり違和感があります。
普段息を吸うときって自分の力だけで吸ってるって感じじゃないですか。
それが、向こうから空気を送られてくるんですよ。
「なんじゃこりゃ!!!」ですよ。

もちろん、必要以上に送られてくることはないので苦しくもありません。
それもまた不思議な感覚でしたね。

息を止めると送られてくる量も増えます。
こちらは息を吸う準備ができてないのでびっくりします。
本当はあまり息を止めたりしちゃいけないのかもしれません・・・

数秒すると慣れるくらいには自然な送気量でした。




最後にちょこっと用語を解説していきます。

用語解説

TPPV
Tracheostomy Positive Pressure Ventilation
(気管切開型陽圧式換気)

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気管(喉元)を切り開いてそこにチューブをつなげるタイプです。

喉元に接続部分が作られるので、そこにチューブをつなげることは誰でもできます。カチャってつけてスポって外せばいいだけですね。
そして、喉にある接続部分のコネクタは簡単には外れません。

チューブをだれでもつなげられる上に、コネクタはしっかりしているのでお手軽なのが長所!
喉を切るので声が出せなくなるのが短所!
長所と短所の振れ幅がでかすぎっすね!

因みに、空気を良い感じに漏らして音を出すことで「声っぽい何か」を発してコミュニケーションを取れる人もいるらしいです。


コネクタをつける部分なんですが、
喉を触ってみると固いですよね。
そのまま下の方に指を降ろしていって・・・
鎖骨との交点辺りまで行くと急に固くなくなる部分があると思います。

この部分が直で喉に通る部分らしくて、ここに穴をあけるそうです。

触ってみた方は分かると思いますが、この部分って少し力入れて押さえるだけで苦しくなりますよね。
絞殺するときはここを押さえるらしいです。という豆知識。役に立てないでください。


また、似たようなチューブの入れ方で、気管挿管というものがあります。

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こちらは口に管を入れてその管を介して空気を流し込むって形ですね。

この手法は主に、全身麻酔の手術中とかで行われます。
全身麻酔しているってことは息もできていませんからね。
ちゃんと外から空気を流し込まないとね!

もう、この状態って生きてるんだか死んでるんだかわかりませんよね。

この手法、うっかり抜けたらやばいです。
その人は息できていないわけですから。

「やべw抜けちゃったwwちょっと入れなおすわwwwうまく管入るかな?www」

とかやっている間に死にます。
なので動ける状態にある人には向きません。

しかも肺炎になりやすいってデメリットもあるみたいで、
”特定の場所で”、”一定の期間内で”利用されます。

それ以上使用期間が長引きそうであれば上記の気管切開を行い、喉から空気を入れることになります。


〇NPPV
Non-invasive Positive Pressure Ventilation
(非侵襲的陽圧式換気)

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こちらは手術をしないって意味です。
要するにマスクで賄うってことですね。

大体、ちょっとコロナにかかったくらいで喉引き裂かれたら堪ったもんじゃないですよね!
そういった大したことない方々はマスクを使います。

あと、一日中呼吸器をつけておく必要のない方(夜間時無呼吸症候群とか)も夜中だけマスクをつける~と言ったような使い方をします。

見てわかる通り、付け外しも簡単。
顔にギュってやってベルトぐいってやるだけでOK!
庶民の味方!!


続きます

はい。キリが良いので終わります。
こんな感じで後半も解説していきます。
後半では機械から患者までの回路の流れや人工呼吸器の動作モードという日本人泣かせのアルファベットの数々を解説する予定です。


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