日記 私だけ知らなかった
私の勤めている会社は、結婚する社員がいると社内の掲示板に「結婚のお知らせ」というのが出る。今日そのお知らせが出て、見ると社内同士の結婚だった。
見た瞬間「ええっ」と声が出た。隣の席の後輩が「どうしたんですか三毛田さん」と言うので「営業部の〇〇さんと財務部の××さんが結婚だって。ほら」とお知らせの画面を見せると、「ああ。知らなかったんですか?」と言われた。社内ではけっこう有名なカップルだったそうだ。
せつない。なんだろうこのせつなさは。別に誰と誰が結婚するとかしないとか、そういうことに対する執着からはとうに卒業した。今はもう大人の微笑みで心から門出を祝うことができる人間である。
しかし問題なのは、私がその情報を「知らなかった」という点においてである。大人数で飲む時は呼ばれるが仲の良い少人数でしっとり語ろうよという時には呼ばれない、そんなボーダーラインが見えた気がした。
いや、いいんだ。ここは仕事の場である。私は努めて明るい声で「そうだったの?言ってよ~」と後輩に言って業務を片付け、定時に退社した。今週もお疲れ様でした。