プロダクトマネージャーの最も大切な役割
近年「プロダクトマネージャー」という言葉と職種が非常に広がってきていると感じています。
「重要でやりがいのある立場」と感じている方も多いかと思いますが、「具体的に何をやるべきなのか」が組織によって異なるということがよくあるのではないかと思います。
プロダクトの企画や立案に携わり、方向性を考えること。
プロダクトの開発や保守に携わり、製品を作り上げていくこと。
どれもプロダクトマネージャーの役割の一つであり、組織や環境に応じて、柔軟に立ち振る舞いを変えることが必要なことだと思います。
そのような中、今回は「プロダクトマネージャーとして最も大切な役割」を考えてみたいと思います。
あくまで個人的な意見なので、私はこれを大事にしている!みたいなご意見あれば、ぜひ教えてください。
0.結論
私自身が考える「プロダクトマネージャーとして最も大切な役割」は、
「物事を決断すること」
だと思います。
プロダクトマネージャーとして働かれている方であれば、自分一人だけではなく多くの方と関わりながら、日頃から様々な事象と向き合っていると思います。
そんな中「決断する」ことがプロダクトマネージャーの最も大切な役割だと私は考えます。
なんだそんなことか、と思われる方も多いかと思いますが「決断する」ことは、思った以上に難しく、大切。
組織やプロダクトが大きくなればなるほど、その難易度は上がるため、具体的な事例と注意点を紹介します。
1.具体例
ここでは、決断する具体例を3つ紹介しようと思います。
1-1.要件定義,仕様決定における決断
プロダクトを作る際や改善、機能追加をする際、どのような仕様にするか、どのような要件にするかを検討すると思います。
その中で、
「この仕様にしよう!」
と決断をするのは、プロダクトマネージャーの大きな一つの役割だと思っています。
プロダクトや組織が大きくなればなるほど、関係者も増え、意見も増えます。開発側の意見、Designerの意見、企画側の意見、カスタマーサポートやマーケティング観点での意見。それぞれの立場で貴重な意見を上げてもらう中で、必ずしも全ての意見が同じ方向を向いているとは限りません。
プロダクトマネージャーは、全ての関係者の中立にいる者として、それらの意見を全て踏まえた上で「この仕様にしよう!」と決断し、皆さんにその理由と根拠を説明することが大切だと考えます。
1-2.優先順位,スケジュールに関する決断
要件定義フェーズで決断した仕様に関して、開発組織に伝達し、開発していくという流れを取っている組織は多いと思います。
その中で「全機能、この日までに、よろしくね!」
という伝え方をすると、優先順位やスケジュールの認識がずれてしまうことがあります。
そのずれを無くすために、プロダクトマネージャーは
「仕様だけではなく、優先順位やスケジュールも決断し伝達する」
というのが大きな役割になります。
どんなことでも、作業に取り組むときには、
・何を
・どの順番で
・いつまでに
やるかということを意識するはずです。
機能には必ず、優先順位とスケジュールをセットにしてお伝えする。
どの優先順位でいつまでにというスケジュールはプロダクトマネージャーが決断する。
この決断によって、作業イメージがクリアになり、雑音少なく開発を進めてもらえることが多くなると思います。
※「全ての機能が最優先です!」みたいなことがよくありますが、それは優先順位を決めていることにはならないので、お気をつけください!
1-3.障害時や緊急事態に関する決断
1や2とも関連する部分がありますが、障害時や緊急事態の際に、どう動くべきかを決断するのもプロダクトマネージャーの大きな役割です。
障害が発生した際の動きは、落ち着いて整理する必要があります。
・障害を止めること
・障害が起きていることを伝えること
・障害の影響範囲を調べること
・二次災害が起きないかに気をつけること
これだけではなく、全ての情報を客観的に判断する必要がありますが、割と「やらなきゃ!」という意識が先走り、手当たり次第になってしまうことが多くあります。
プロダクトマネージャーとしては、
「冷静になり、誰に何をやってもらうのか、プロダクトしてどう対応するかの決断を行う」
ことで、混乱している状態を整えていく必要があります。
2.注意点
ここまで、具体的な決断シーンを3つ紹介しましたが、気をつけなければならないこともいくつか存在します。
ここでは、6つの注意点を紹介します。
2-1.できるだけ早く決断する
「物事の決断」は早ければ早いほど、より良いと言います。
とはいえ、私自身も迷うし、間違っていたらどうしようという不安も多く感じます。
人間は無意識に、決断することを避けてしまう部分があるので「早く決断しよう」という意識を持つ「決断しない理由を書き出す」など、少しでも決断が早まる仕組みを取り入れることをおすすめします。
ただし「焦って決断する」ことは避けなくてはなりません。
プロダクトマネージャーの決断に多くの人が左右されるため、冷静に客観的にそれでいて早く決断する。バランスの良さが大切です。
2-2.根拠を明確にする
決断する際には、必ず「なぜこの決断をしたのか」を明確にすることが大切です。
決断に従って対応してもらう人達にはもちろん、自分自身のためにも、根拠を明確にすることで、客観的に正しかったのかという判断ができるようになります。
感情的に判断していないか、考慮漏れはないかなどのチェックとして利用するのも良いと思います。
2-3.100点を取ろうとしない
全ての人の望みを100%叶える、100点の決断を取る必要はありません。
むしろほとんど全ての決断は80点が取れれば良いという感覚を持つと良いかと思います。
100,000人の利用者がいるアプリで、1人のユーザーのものすごい強い意見を最優先にするのか。
デザイナーや企画、影響など、特定の組織の意見を100%採用するのか。
など、関係者が多くなればなるほど、100点を取ることは不可能になります。
「その意見もわかる」「事情もわかった」
「ただし、今回はこういう根拠でこの決断をする」
という形で、きちんと説明した上で、決断をしていくことが大切です。
2-4.間違えたと感じたら、真摯に訂正する
100点は取る必要ないとお伝えしましたが、時には3点くらいの決断をしてしまうこともあります。
そのときは、自分の決断に固執せず、素直に訂正を行い、謝罪することも大切です。
「この決断は間違っていない!」と固執してしまうことは、意外と多くあります。
人間無意識に「自分の決断は正しい」と正当化してしまうのも、自然なことです。
だからこそ、客観的に決断を見返し、「あ、これ間違ってたな」というときはすぐに訂正することも大切です。
2-5.ブレない、迷わない
訂正する中で、もう一つ注意しなければならないのは、その修正の頻度になります。
間違っていたことは仕方がない。
訂正し、新しい決断を進めれば良い。
ではあるのですが、その頻度があまりにも多すぎると、
・作業や方向性が見えなくなる
・決断に従って良いのか疑心暗鬼になる
といったように、信用が無くなります。
そのため、修正決断をするときはより慎重に、さらに再修正を行うときは、本当にその修正が必要なのかを考えることが大切になります。
2-6.必ずしも「プロダクトマネージャーが決断した」にこだわる必要はない
「決断する」ことが大切だと記載しましたが、これ自体も、組織や環境によって、柔軟に変えなくてはいけない部分も当然あります。
「決断権を持っている人が他にいる」「決断されると嫌がる人がいる」など、各組織で「決断できない」ということもあると思います。
そのような場合は、無理に「PMが決断するので」とする必要はなく、決断はお願いした上で、自分自身でちゃんと理由をフォローできる形をとってあげると良いかと思います。
3.まとめ
以上、プロダクトマネージャーの最も大切な役割をお伝えしました。
ここに記載した以外の部分でも多くの「決断すべき」シーンはあります。
また「意見は言うが決断はしない」人が多いというのも事実です。
「私はこう思いますが、どうでしょう」
「こういう観点もあると思いますが、決断はお任せします」
こういう会話が交わされることは日常茶飯事です。
そんな中で、「皆さんのご意見を踏まえた上で、これで行きます!」と決断し、プロダクトを前に進める。
それだけでもプロダクトマネージャーの存在価値はあるのではないかと思います。
プロダクトマネージャーの皆さんやプロダクトマネージャーと関わる皆さんに、少しでも参考になっていただければと思います。
プロダクトを磨くには、作ってみなければわからない。
良いプロダクトがたくさん生まれ、より良い生活ができる世界を。
皆さんからのご意見もお伺いしたいです!是非お聞かせください!
それでは、また!