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映画感想文「すばらしき世界」

刑務所から出所した反社系の人の社会復帰についてのお話。自分を認めてくれる場所が結局は組しかないという現実から、カタギに戻ることへの葛藤が描かれている。


ジャーナリストが放ったこの一言。
「どうして自分がそんなふうになったと思います?それってやっぱり生い立ちに関係があるんでしょうか?怒りや暴力を抑えられない人の多くは、子どもの頃に酷い虐待を受けて脳が傷付いているそうですね。でも子どもは、どんな酷い目に遭っても、たった一人の母親を慕うことはやめられない」

私はこの数年たくさんの人と出会う中で、「人間の器」「人格形成」というものを考えたときに、生い立ち、特に母親の愛情の影響を強く感じている。

例えば自分の幼少期を思い出すと、すぐカッとなって暴言や暴力に頼る父母とは反対に、いつも冷静で温かい親戚のおじさんおばさんを羨ましく思っていた。あぁ、あの家の子に生まれたらもっと幸せだったのかな、豊かな暮らしができたのかなと。

父母の生い立ちを知る限りでは、表立った虐待こそ聞いていないものの、経済的物質的に恵まれない幼少期だったように見受ける。私だって、その環境で生まれ育っていれば、きっとそうなっただろう。

結論から言えば、私は自分の生い立ちにおいて、友達や同僚ともうまくやっていく術、今の人格を身につけてもらった。これは、お金を払って身につけられるものじゃない。

映画の中では触れられていなかったが、犯罪心理学においても生い立ちの重要性、その後の人生への影響は明らかになっている。

だからダメ、だからいいというものではない。でも、反社の人でなくても、生きづらさを感じている人はきっとたくさんいるのだろうなと想いを馳せた映画でした。

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