泣く大人

32歳 Tokyo / 猫、本、外食、海外、観葉植物、化粧品、映画、アニメ、BLACKPINK

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映画感想文「ルックバック」

小学生の頃から寝食を惜しんで漫画を描く2人の女の子のお話。 どちらかの熱量が高くても低くても、きっと漫画を通じて知り合いこそすれ、一緒に漫画を描こう!とはならなかったはず。 男女間に限らず、お互いを補完して高め合えるパートナーというのは、自分の人生を豊かにしてくれるということは前提で。 特に漫画家さんを始め、自分の記憶や考えや人生や未来を預け合いながら、ゼロから1を産み出す人にとっての"パートナー"というのは、半ば自分の一部のような、合体したような存在になっているように思う

    • 父が死ぬ一週間前に言い遺したこと

      「まずはなんでもやってみること」 終戦した年に生まれ 幼くに父母を亡くし 15歳で集団就職で上京し 20代で兄弟の事業手伝いのために京都へ戻り 結婚し、離婚し、再婚し、 40代で突然起業し 76歳で亡くなるまで働き続けた父。 父が亡くなる1週間前、ふと「人生でこうしておけばよかったなと思うことある?」と聞いた。 (今から思えば死ぬ間際の人に酷な質問してるな私) それに対して父は、 「まずはなんでもやってみることやなあ」 と言った。 そのときの私は、「質問に対してちぐは

      • 辻村深月「噛み合わない会話と、ある過去について」読後感

        過去、「根アカ」と呼ばれた分類で生きてきた人間は一読すべき内容。 友人関係も上手くいき、両親にもそこそこ恵まれ、教師や周りの大人にも気に入られてきた人生を歩んできた人間にはわからない感情があると、最近思う。 何故そんなに卑屈になるのか、何故そんなに保険をかけるのか、そういう人の気持ちは根本的に分からないなあと思うことがある。 本作は4つの短篇で構成されていて、そのどれもが、強者•弱者の関係性にあった者たちの過去と現在を描いていた。 自分には決してそんなつもりがなくても

        • アニメ「BANANA FISH」

          ここ最近では自分的に一番のヒット。。 アメリカ、ニューヨーク、マフィア、華僑ネットワーク。 実際海外では、小児性愛、薬物依存、性的暴行は日常的なものなんだろか。あぁ、また?くらいの確率で起こるような。日本で普通に生きてるとそんなに出くわさないので、アメリカって現実もこうなんだろうかと気になった。 出てくるのは、血も涙もない大人たちばかり。 でも、そんな苦しみや悲しみの溢れた世界を経験するからこそ、人は人に優しくできるようになってるような気もする。 以下、心に残しておきた

        • 固定された記事

        映画感想文「ルックバック」

          映画感想文「missing」

          石原さとみの快演との評判と聞いて鑑賞。 「missing」欠けている,見当たらない;行方不明の,失踪中の;欠席している 娘が失踪してただでさえ気が滅入ってる家族に、「ライブ行ってたから育児放棄」「弟が怪しい」などと、わざわざ家族が開設してる捜索協力のサイトに書き込む人。それも、数件とかのレベルじゃない、沢山の人が攻撃的な投稿を綴る。 子が誘拐されたご家族だけじゃない、世の中でこういった事件に巻き込まれて個人名が世間に晒されたご家族は、多かれ少なかれこんな想いをされてるんだ

          映画感想文「missing」

          映画感想文「耳をすませば」

          これまで機会に恵まれず、この歳で初視聴。 思春期や進路を迷う時期特有の、中学生の心理描写。 周りと自分を比べた時の焦燥感、人を好きだと思う気持ちに向き合うこと、良くも悪くも影響を受けやすく、多分誰もが一度はあの頃に経験したこと。 聖司のおじいさんのことば。 「その石の大きな原石があるでしょう。 実はそれは磨くと、かえって、つまらないものになってしまう石なんだ。 もっと奥の小さいものの方が純度が高い。いや、外から見えない所に、もっと良い原石があるかもしれないんだ。」 しず

          映画感想文「耳をすませば」

          映画感想文「市子」

          一つ嘘をつくと、どんな小さな嘘でも、その後嘘に嘘を塗り重ねて生きないといけなくなる。 「離婚後300日に産まれた子ども」の規定、昔知り合いの夫婦にも同じことが起こってた。 男性側は前妻と離婚調停を挟んでいたから、実質もう関係は終わって実際に離婚が成立するまでのその間に新しいパートナーが妊娠。今度は「いつまでに籍を入れないと、父親と認められない」とかっていうタイミングにも気を遣ってた。 にしても本作に出てくる大人がひどい。取り巻く大人、全員クズ。 分かる。本人たちの気持ちは

          映画感想文「市子」

          アニメ「コードギアス 反逆のルルーシュ」

          2006年の作品。 戦後、ブリタニアという架空の国家の植民地下に置かれた日本人(11番目の植民地ということでイレブンと呼ばれる)や解放を願う解放戦線、ブリタニア総督府や王族の血縁関係者が、自国や民族のプライドを戦い合わせる話。 登場人物全員が、強い意志を持って生きている、行動を起こす、そんな戦後を感じる展開。 以下、登場人物たちの名言。 ドラマや現実世界では小っ恥ずかしくて言えないような数々のセリフが、アニメだとすんなりと受け入れられるのは不思議。 ルルーシュ「撃っていい

          アニメ「コードギアス 反逆のルルーシュ」

          映画感想文「ピノキオ」

          機会があり、先週ディズニーランドへ出掛けた。 10年ぶりでなおかつ日頃ディズニー映画を見ないので、パレードに出てくるキャラクターの大半を知らないという事態。 知らないが故に楽しめないって勿体無いなと思い、早速Disney+に入会して、美女と野獣、ラプンツェルなどのいくつかの新作(?)映画を見つつ、小さい頃にビデオが擦り切れるほど何度も見た「ピノキオ」をふと見つけた。 ピノキオで覚えているのは、おじいさんがくじらに飲み込まれるシーン(?)が毎回恐ろしかったなくらいのもので、幼

          映画感想文「ピノキオ」

          ドラマ「サンクチュアリ -聖域-」備忘録

          Netflix制作ドラマ。 相撲をテーマにしたドラマと聞いて、文化への興味で鑑賞。 こういう企画って誰が持ち込むのかな? 日本ユーザーにもだが、海外ユーザーウケがかなり良いのでは?と思った作品でした。 最近、外国人の同僚からは、「Old enough!(初めてのおつかい)」や、「ストリートグルメを求めて(居酒屋とよの紹介)」、「クイアアイ」など、Netflixで"Japan"を観た感想や質問が話題にあがることが多い。 今回のサンクチュアリでテーマとなっているのは相撲。

          ドラマ「サンクチュアリ -聖域-」備忘録

          F「20代で得た知見」の振り返り

          とあるきっかけで、「20代で得た知見」を読み返している。 著者のことは、店頭で「いつか別れる。でもそれは今日ではない」という本を手に取ってから、その文体に熱く惹かれて以来のファンである。 RADWIMPSの歌詞のような、伊坂幸太郎先生の小説のような、粗品のツッコミのような、昔から私の大好物であるwitに富んだ言葉を紡ぐタイプの人である。 これは、私が28歳の頃にAmazonに書いた本作のレビュー。 「著者の三作目。 書名の通り、著者の人生経験で得られた教訓が、具体的エピソ

          F「20代で得た知見」の振り返り

          ドラマ「ブラッシュアップライフ」備忘録

          本ドラマのテーマにもなっている「来世を、今世をよりよいものにするために徳を積む」という考え方。 一人暮らしが長くなると「誰も見てないしなぁ」と、自分勝手に生きる時間も長くなる。 食器を片付けなくたって誰も見ていない。ゴミの分別をしなくたって誰も見ていない。靴が揃っていなくても誰も見ていない。いつもそんな気持ちでいる。そんな私の来世はグァテマラ南東部のアリクイどころか、雑草にもなれない気がするなぁ…なんて思いながら観た。 また、これはドラマの本題ではないが、1991年生まれの

          ドラマ「ブラッシュアップライフ」備忘録

          映画感想文「すばらしき世界」

          刑務所から出所した反社系の人の社会復帰についてのお話。自分を認めてくれる場所が結局は組しかないという現実から、カタギに戻ることへの葛藤が描かれている。 ジャーナリストが放ったこの一言。 「どうして自分がそんなふうになったと思います?それってやっぱり生い立ちに関係があるんでしょうか?怒りや暴力を抑えられない人の多くは、子どもの頃に酷い虐待を受けて脳が傷付いているそうですね。でも子どもは、どんな酷い目に遭っても、たった一人の母親を慕うことはやめられない」 私はこの数年たくさん

          映画感想文「すばらしき世界」

          ドラマ「Woman」備忘録

          全11話、坂本裕二脚本。 この人の作品を見ると、あぁドラマって本当に脚本大事なんだなと思わせられる。 私の中では小説「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」、「母性」と並ぶ、母と娘(子)との関係性を深く描写した作品。 10年前、20代前半だった当時も観ていたはずだけど、大人になって視聴するとストーリーそのものよりも、人の感情に想いを馳せられるようになったかな。 台本そのまま売れるのでは?と思うほど、いい台詞が多過ぎる。多くの人が言語化できないことを、言葉やシーンや人と人との関係性で表現

          ドラマ「Woman」備忘録

          映画感想文「ハケンアニメ」

          「人生には、大事なものを失っても、何かを成し遂げないといけないときがあると思うんです。最後の最後に奇跡が起きて失った音が戻ってくる、そんな都合のいいことありません。失ったから手に入るものだってあります。 この物語の十和子たちにはもう、誰かの都合で描かれたハッピーエンドはいらない。失った先にもきっと、ハッピーエンドはあると思うから。」 辻村深月作品の実写版。 小説全体を網羅しようとせずに、フォーカスすべきところを決めて細かい設定はカットして構成したこの脚本、とてもよかった。大

          映画感想文「ハケンアニメ」

          伊坂幸太郎「チルドレン」読後感

          「子供のことを英語でチャイルドと言うけれど、複数になるとチャイルズじゃなくて、チルドレンだろ。別物になるんだよ」とよく言った。そういう性質なのだ、と。 まるで実在する話のように読めてしまう。 辻村作品の登場人物には、あくまでも"登場人物"としてえらく肩入れをしてしまうが、伊坂作品の登場人物はどことなく"居酒屋のその辺にいる人"、"知り合い"ぐらいの近さを感じる。小説というより、エッセイを読んでいるような楽しみ。 そしてその人たちは、そのシーンにはちぐはぐそうに見えるワードで

          伊坂幸太郎「チルドレン」読後感