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電話応対コンクール/言葉のサプリ【おしごと】

志望動機に「文字を書くのが好きだから」という全く的外れなことを書いたのに採用されたのはよほどに人手不足であったのであろう。
応募したのは運送会社の事務職である。

当時を振り返ると本当に恥ずかしい。教育学部を卒業していて履歴書の書き方もわからないのだから教員を目指さなかったのは社会にとっても良い選択であっただろう。
ちなみにもう一つ同じ志望動機を書いて応募したところがある。行政書士事務所だ。なぜかこちらも内定をくれた。

もちろん文字を書くのが仕事ではない(書くこともあろうけど、文字を書きたければ書家を目指してくれ)。

入社後はとにかく忙しかった。思ってた仕事と違うなと気がつくのに数年かかった。

今は仕事内容を聞かれると主に電話応対であると答えられる。入社から20年経っている。


電話応対が仕事という人はご存知であろうが、電話応対コンクールという大会がある。オペレーターの甲子園のようなものをイメージしていただくのがわかりやすいであろう。
地区大会があり、県大会があり、県代表が決まる。
設定された状況の下、様々な業種業態の従業員を演じ、かかってくる模擬電話の応対をしてその応対レベルを競うものである。
スポーツなどの競技と違い、芸術的な評価の要素が強く、審査員の好みによるところも出てくるのは確かだ。しかしながら優勝を目指し、同じ仕事をしているもの同士が様々な価値観をすり合わせるなかで得られるものは多い。

今年も県大会に散った。でも「あなたの応対が好きだった」と言ってくれる人もいる。

準備段階では「もう今年で最後にしたい」と口にしながら、終えると「また来年」の欲が出る。

毎年同じみの運営スタッフさんには「他の方にもお会いしたいんですけどね〜」と言われそろそろ出禁になる覚悟である。

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