見出し画像

自己都合退職の国家公務員の退職手当っていくら?【計算シミュレーションあり】

この記事の内容
● 国家公務員の退職手当の計算方法(自己都合退職)
● 国家公務員の退職手当の計算シミュレーション(自己都合退職)
● 支払われるまでの流れと、支払われたら気を付けること3つ

「国家公務員を辞めたいけど、退職後の生活費が心配。退職手当(退職金)っていくらもらえるんだろう?」

 「国家公務員を退職したい!」と思っても、心配なのは退職後の生活費。

 公務員は失業手当がありませんので、当座の生活費として最も頼りになるのは「退職手当」です。

 だけど、退職手当がいくら支払われるのかわからないままだと、当てにしていいかわからず、不安です。

 私・まゆりんごも、退職の1年前に退職の意思を固めてから、退職手当の計算シミュレーションを行い、「私の勤続年数・退職理由からすると、おおよそこれぐらいの金額なんだな」と想定した上で退職することができました。

 2023年3月国家公務員を退職して、実際に退職手当を受け取った経験も交えて、国家公務員の退職手当の計算方法を解説します。

 「細かい説明はいいのですぐに計算シミュレーションしたい!」という方は、『2.退職手当の計算シミュレーションをしよう【勤続年数15年・自己都合退職の計算例あり】』からお読みください。



1.国家公務員の退職手当の計算方法

1.1退職手当の計算の根拠

 国家公務員の退職手当は、「国家公務員退職手当法」に基づき支払われます。

 この「国家公務員退職手当法」の中で、退職手当の計算方法が定義されていますが、法律なので読み解くのがとても難しいです。

 人事院のホームページに、「退職手当制度の概要」について、少しわかりやすく記載しているページがありましたので、本記事では、法律を参照しつつ、人事院のページを参考に計算します。


1.2退職手当の計算式

 退職手当の額は、以下の計算式で計算します。

退職手当 = 基本額 + 調整額

 退職手当は「基本額」と「調整額」で構成されており、別々に計算します。


1.3退職手当の「基本額」とは

 「基本額」は、以下の計算式で計算します。

基本額 = 退職日の(a)俸給月額 × (b)退職理由別・勤続期間別支給割合

(a)俸給月額

 行政職俸給表の月額。いわゆる「基本給」のこと。地域手当、扶養手当、俸給の特別調整額等(管理職手当など)の諸手当は含めない。

(b)退職理由別・勤続期間別支給割合

 「退職理由」と「勤続期間」で決定する数字。

「退職理由別・勤続期間別支給割合」一覧(人事院ホームページより引用)


1.4基本額の計算における「勤続年数」とは

 「退職理由別・勤続期間別支給割合」の表の左端に「勤続年数」があり、「勤続年数」によって、表中のどの数字を使うかが変わります。

 「勤続年数≒在職年数」ですが、在職中の休職・休業期間(育児休業や私病による休職期間)は控除するルールになっています。

1.4.1勤続期間から控除する休職・休業期間(代表的なもの)

*下記の期間は、2分の1の期間を「勤続年数」から控除する

私傷病による休職の期間
●懲戒処分としての停職の期間
育児休業の期間(ただし、子が1歳に達した日の属する月までの期間は3分の1の期間に換算する。)


1.5退職手当の「調整額」とは

 「調整額」は、在職期間のうち、以下の表に該当する俸給だった月数を高い順に60月とり、各月ごとに調整額を掛け算して合計した額です。(<計算例>を参照)

調整額=(区分ごとの月数 × 各区分の調整額)の和

退職手当の調整額区分表(給与法適用職員の例)】
区分1 - 指定職(6号俸以上)、これに相当する職員 95,400円
区分2 - 指定職(5号俸以下)、これに相当する職員 78,750円
区分3 - 行(一)10級、これに相当する職員 70,400円
区分4 - 行(一) 9級、これに相当する職員 65,000円
区分5 - 行(一) 8級、これに相当する職員 59,550円
区分6 - 行(一) 7級、これに相当する職員 54,150円
区分7 - 行(一) 6級、これに相当する職員 43,350円
区分8 - 行(一) 5級、これに相当する職員 32,500円
区分9 - 行(一) 4級、これに相当する職員 27,100
区分10- 行(一) 3級、これに相当する職員 21,700
区分11- その他の職員(非常勤職員を含む。) 0円

調整額区分表(人事院ホームページより引用)

<計算例>
ほとんどの人が、在職期間の終わりに行くほど高い俸給だと思いますので、例えば以下のような在職期間の場合

●4級に昇格してからの期間:36月
●3級に昇格してからの期間:48月
●2級以下の期間:72月

調整額が高いところから60月なので、

●4級の期間は36月全部
●3級の期間は60月-36月(4級の期間)=24月を採用

調整額
=27,100×36月+21,700×24月
=1,496,400円

 なお、「自己都合」退職の場合は、勤続9年以下の場合は調整額の支給はなく、勤続10年以上24年以下の場合は調整額が半額となります。

●勤続「9年以下」の「自己都合」退職者は調整額が支給されない
●勤続「10年以上24年以下」の「自己都合」退職者は調整額が半額になる。


2.退職手当の計算シミュレーションをしよう【勤続年数15年・自己都合退職の計算例あり】

2.1<手順①>退職手当の計算に必要な数字を確認する

まずは、計算に必要な数字が、自分の場合いくつなのか、確認しましょう。

退職手当の計算に必要な数字
(1)退職日の俸給月額
(2)勤続年数
(3)退職理由別・勤続期間別支給割合
(4)各俸給ごとの期間(勤続10年以上の場合のみ)

 ここからは、ひとつずつ具体的な数字でシミュレーションしていきます。

ここから先は

3,993字 / 1画像

¥ 300

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!