東京寫眞帖 : 東京国立近代美術館工芸館(移転前)
ブログを書こうとしてネットを検索してみたら、金沢に移転したとかですでに工芸館としての活動は休止していました。今ではもう中に入ることはできず、外から見るだけとなってしまったようです。残念。
2007年のこのとき、工芸館では蒔絵師・松田権六の展覧会を開催していました。
漆の美術品を見るのはその時が初めてでしたが、以来ずっと松田権六先生のファンです。
先生の仕事のひとつに国会議事堂御休所(当時は帝国議会御便殿)の漆装飾があります。その重厚華麗な装飾は写真で見てもため息が出るほど。
さて、帝国議会の議場はニスやラックで仕上げることになっていたけれど、議会建設の漆芸監督だった先生は、
「本当は日本国民の代表者たる議員たちの議論の場である議席こそ立派に漆(ジャパン)で飾るべきだ」
と総責任者に進言して、徹夜で工程見本や仕上げ見本の製作をしたのだとか。
先生の懸命の説得が容れられたかどうか、あいにくわかりません。
けれどなんというのでしょうか、その道の第一人者たる人は、その道に真摯であるが故に、自分が直接携わる部分以外にも目が届くし意見も持つものなのだ、と。そして意見を出す以上は言いっぱなしでなく自分の手をちゃんと動かすものなのだ… と深く納得したのでした。
ところで、金沢に移転した国立工芸館には松田権六先生の仕事場が再現されているのですよ!
そして建物は陸軍第九師団の司令部庁舎。
これは行かずばなりますまい…
https://www.momat.go.jp/cg/visit/architecture/
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