理系か文系か
小学生の頃、もっぱら算数が大好きだった。決まった答え、頑張って導き出した答えが正解だった時の達成感、ありきたりな理由が学習意欲を掻き立て塾にまで通った。
もちろん成績アップ、中学生になると学年でトップ3には入るほどだった。数学以外の科目もバランスよく頑張った、5科目にとどまらず音楽や美術、体育では毎年クラス対抗リレーの選抜メンバーであった。
優等生
そう言われるのが嬉しく、高校も近くて1番の進学校へ入学した。
高校の数学が始まる。
解けない、いくら考えても解けない、解けたとしても時間がかかりすぎる。私は自他共に認める理系のはずだ。
物理基礎の授業中、不覚にもウトウト、その瞬間を見逃さない先生から当てられる、答えられない。何度かあった。なんてったって眠たい。
その後、文理選択に伴い面談が始まった。理系がいい。漠然と医療系に進みたいと思っていた私は先生に想いを伝える。
「あなたが医療系に進まなければいけないということはないよ」
なんだこの先生、嫌いすぎる、喋りたくなくなった。
成績的に考えても理系に進むには厳しいのは薄々分かっていた、分かりやすく落ち込んだ。理系削減計画があるんだよと裏で噂になっていた。
ある先生は集会で胸ポケットに入るペンを取り出し「これをどうやって作るか考えるのが理系で、どうやって売り出していくか考えるのが文系だ」と言った。
他の友だちはみんな文系に進むという。
文系にいこう。
今思うと単純である。そう決めてからは心が軽くなった、文系のクラスが楽しかった。みんなが大好きだった。
進路を決める時期、とりあえず大学進学を考える。経済学部、興味なかった。国際文化、ん〜別に不可もなく。色々考えたが社会福祉に1番心弾んだ。
「ここに進んでどうするの?」「介護とかー」「やめなさい給料安いから」親からの鶴のひと声だった。病院で働く父から「放射線技師は?給料もいいと思うよ」
「なにそれカッコいい」単純である。
決めてからは文系からでも行けるところを探した、簡単にあった。数学ⅠⅡ、物理や生物や化学においては基礎しか習っていない文系が進む。理転である。
もちろん物理かよーと嘆いたが、それで諦めるの?と父に言われた記憶がある。さすが負けず嫌い、奮起させられた。
無事に国家試験合格し放射線技師となった私。
理系か文系かどっち?と言われても未だ答えは出ていない。
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